衝撃のデリー!!オートエキスポ2012 小沢コージが現地レポート(2/3)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:小沢コージ
スズキがまたまた大胆な市場開拓を
肝心のオートエキスポ2012。表向きのヒーローはある意味、日本車と言えるかも知れない。
ご存じの方も多いと思うが、なにしろ乗用車市場の約半分を牛耳ってるのが我らがスズキ。83年に当時の日本のアルトをちょいと伸ばして出した「マルチ800」を皮切りに、いち早く乗用車市場に乗り出したこともあって、市場占拠率、現状なんと45%!一応現地マルチ社との合弁企業「マルチスズキ」で作ってはいるものの、技術的にはほぼスズキ単独。
よってここ30年のインド乗用車市場はスズキが創ってきた…と言っても過言ではない。まずはマルチ800のような「軽ベースのコンパクト」で需要を作り、その後スイフトのような「グローバルコンパクト」でステップアップ層を作り、今回また新たなアイデアで市場創成を狙おうというわけだ。
それが今回発表され、新春発売される「エルティガ」。マルチスズキとしては初の3列シートミニバンで、1.4リッターの新型Kシリーズガソリンとフィアット設計の1.3リッターディーゼルが選べるが、最大のポイントはサイズとお値段。全長4265×全幅1695×全高1865㎜で特に全長は今までのインドミニバンではあり得なく短く、値段も60万から70万ルピー、つまり100万円ちょいで買えると目されている。
所得が伸びているとはいえ、今のインドは50万ルピーのスイフトが売れ始めた頃で、ミニバンはそれくらいが妥当。それでも値段的には高めだが、家族のやたら多いインド人。ちょっと上を目指すと欲しくなる頃合い。絶妙なポジショニングだと言える。
もう一つ出したのがSUVの「コンセプトXAアルファ」。文字通りのコンセプトカーで、詳細は明らかになっていないが、これまた全長4m以下のサイズがポイント。
実は日本の8倍強の広さの国土を持つインドだが、市街地が狭いのとコンパクトカーに対する優遇税制があって、4m以下のA2クラスが売れている。XAアルファはまさにそこにドンピシャなのだ。これまたちょっとだけ背伸び…という絶妙な戦略である。
そのほか今年はデリー初出展の日産がイメージリーダーとして「GT-R」や「フェアレディZ」を展示したのとNV200バネットがベースのスタイリッシュミニバン「エヴァリア」を発表。トヨタも去年発表した初のインド向けコンパクト、エティオスのワンメイクレースを発表。これはレース活動というより、トヨタユーザーによる若いトレンドリーダーを作るのが狙いで、インド攻略としては非常に新しい。まさにあの手この手の戦いが繰り広げられているのだ。
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