日本車に肉迫するヒュンダイの脅威/桃田健史(3/3)

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:ヒュンダイ・モーター・カンパニー
日本車に肉迫するヒュンダイの脅威/桃田健史
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決断が早い! やることが徹底している!

日本車に肉薄する韓国ヒュンダイ車の脅威

韓国の大手企業は経営判断がとても早い、と言われている。

いわゆる、トップダウンによる意思決定が多い。そのため、現地生産のための工場建設でも、市場調査→社内協議→最終判断が日系メーカーの何倍も早い。

例えば、インドでのヒュンダイ工場建設について「あれほどまでにスピーディに決めるとは思ってもみなかった。ウチでは出来ないことだ」(日系メーカー幹部)という。また、ある韓国系タイヤメーカーの話だが、同社が数年前にドイツ北部で生産工場を建てた。それはドイツの大手タイヤメーカー工場の近く。そして多くの技術者や作業者が韓国系メーカーに転職していった。

ビジネスは徹底した競争であり、やるからには誰よりも早く、より高利益を上げるという姿勢が自動車関連の韓国企業では徹底している。同様の目標を、日本企業も当然立ててはいるが、社内での意思決定の遅さ、さらには競争意識が徹底していない(最後の詰めが甘い)など、韓国の大胆なビジネスセンスに負けることが多い。

政府が強くバックアップ

日本車に肉薄する韓国ヒュンダイ車の脅威

韓国の面積は約9万9000k㎡(日本の約3割)、人口は約5000万人(日本の約4割)。資源がとても豊富というわけでもない。そのため韓国は日本と同じく、海外から原材料を購入し、自国内で加工・製造し、輸出するという経済パターンが主流だ。さらに近年、韓国は日本と同じく、自動車メーカーが世界各地で現地生産を開始した。

こうしたなか、韓国政府がヒュンダイ・キアを主軸とした自動車産業の発展のため強くバックアップするのは当然だ。その意味でも、為替レート(韓国ウォン)安が韓国の輸出を助けている。これはまさに、韓国政府の政策だ。その結果として、各国でのヒュンダイ・キアの新車販売価格は同クラスの日系モデルより安い設定が可能だ。

対する日本円は70円台後半に突入という超円高。日本からの輸出は大打撃。現地生産化に全て移行すれば、日本国内は「空洞化」の危機。こうした超円高への打開策について、日本政府の対応が遅いのは周知の事実だ。日本自動車産業界はいま、大きな岐路に立っている。

日本車に肉薄する韓国ヒュンダイ車の脅威

またもうひとつ、韓国政府が推し進めている施策に世界各国とのFTA(自由貿易協定)がある。これは二国間の関税を段階的に撤廃、または低下させ、より自由な貿易を促進するための政府間の取り決めだ。日本ではFTAの環太平洋版である、TPP(環太平洋経済連携協定)への参加の有無について大きな議論を呼んでいる。このFTAは自動車産業界にとって大きな影響力を持つ。日本の経済産業省の資料によると、FTA(現在、発行済、大筋合意、交渉中を含めて)により販売可能な自動車販売台数は、韓国が4100万台に対して日本はその1/5の810万台だ。

以上のように、韓国車の主役であるヒュンダイ・キアは、クオリティは日本車レベル、デザインは斬新、ウォン安と各国とのFTA締結で輸出がし易い。だからヒュンダイ・キアは世界市場で急激にシェアを伸ばしているのだ。この勢いはけっして、短期間では終わらない。技術はさらに蓄積され、FTA発効が増えていくからだ。だから、日系メーカー幹部たちはヒュンダイ・キアを脅威と感じているのだ。

韓国自動車メーカーの成長はまだまだ続く。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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