エコカーの真相/ゼロスポーツ破産が物語る、コンバートEVへの不安とチャンス(1/3)
- 筆者: 桃田 健史
ゼロスポーツの大型受注は業界内でも大いに注目されたのだが・・・
「やっぱり無理だと思っていたよ」
これが、ゼロスポーツ自己破産について、自動車業界で聞かれる多くの声だ。
ゼロスポーツ(岐阜県各務原市/中島徳至社長)は3月1日に事業停止、同月7日に岐阜地裁へ自己破産を申し立てた。
同社は1994年に操業された、いわゆる「アフター系」企業。ザックリ言えば、スバルの改造車ショップだ。
90年代後半に改造車ビジネス市場全体が下降線となり、同社はゴルフカート事業に活路を求めた。ゴルフカートが電動車であることから、電気自動車ビジネスへの可能性を探ってきた。
そうしたなかで、日本郵政の郵便配送車のコンバートEVを試験的に開発した。
日本郵政、つまりは郵便局という巨大ビジネスに、改造車ショップが食い込んだのだ。だから、自動車業界からは羨望の目が注がれた。
しかし、1,030台の納入決定というニュースが流れると、業界内からは
「そんな大量に、ゼロスポーツが作れるのか?」
「仮に作れたとしても、安全性や耐久性など、どこまで保証出来るのか?」
「国はいったい、何を考えているんだ?」
など疑問の声が噴出した。過去に日本で、いわゆる「アフター系」が、完成型改造車を千台レベルで販売、または納入したケースはないからである。
そして訪れた、自己破産の報道。
業界からは「やっぱり無理だと思っていたよ」という声につながった。
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