RX-7やセリカ、ディアマンテの思い出に浸る! 平成に生産中止になった名車5選

クルマは時代を映す鏡!? どんな名車でも消えてしまう時もある

収容力に優れた軽自動車にアクアやノート、プリウスなどのハッチバック、そして全世界で売れ筋のSUVと、未だに販売の主力であるミニバン……現在「売れるクルマ」の形態は、このように固定化されてきています。そのため、かつて販売の主流だったセダンや、ごく当たり前にカタログに載っていた2ドアの車種が激減しているのはご存知の通りです。

車種が減らされた中には、コロナ、カリーナ、ブルーバード、セドリック、ファミリアなど、国産車が大きく発展した時代を支えた車名が含まれています。また、スポーツカーやスペシャリティカーも次々と姿を消しています。

そこで今回は、膨大な「生産が終わってしまったクルマ」の中から5車種をピックしてお送りいたします。消えたクルマには名車が多く、チョイスには大いに悩みましたので、筆者の好みや独断が大きく反映されていることをお許しください(笑)。

>>【画像特集】苦労して集めた懐かしの名車画像! 歴代サニーやディアマンテも

マツダ RX−7 (1979-2002)

実は、これを書きながら「FD3Sの生産終了は2002年……もう17年も前なのか」と驚きを隠せません。

初代(SA22C型)『サバンナRX−7』は、マツダの宝、ロータリーエンジン(RE)を搭載するスポーツカーとして1978年に登場しました。初代は名前が示す通り、サバンナ(海外名RX−3)の後継にあたります。リトラクタブルヘッドライトの採用は、スーパーカー世代の子供達をも熱狂させました。低いノーズの下に収まる12A型REは当初130psで、のちにターボを備えて165psまで強化されました。

1985年には2代目(FC3S/3C、左写真)にスイッチ。正式な車名にはまだサバンナが冠されます。高級感もあるモダンなデザインとインタークーラーターボ付き13B型REより本格的なスポーツカーに進化しています。当初185psだった馬力は、最終的には215psを発揮するに至りました。

そしてRX−7として最後のモデル、3代目(FD3S)は1991年にデビュー。マツダ5チャンネル戦略のため『アンフィニ』ブランドで扱われました。外観はRX−7のアイデンティティを残しつつ流麗なデザインに変わり、改良やパワーアップを行いながら2002年まで販売され、終焉を迎えています。後継はRX−8ですが、こちらもすでに生産終了。REを積んだ新型スポーツカーの登場が期待されます。

トヨタ セリカ(1970−2006)

1960年代に入り経済も発展。自家用車の普及もいよいよ始まり、クルマは多様化していきました。1970年に初代(A20/A30系)が登場したトヨタ セリカは、アメリカで『フォード マスタング』がヒットしたことを受けて開発された、日本初のスペシャリティカーでした。スポーツカー的な走行性能と快適な内装、2+2の利便性を持つキャラクターが市場で受け入れられて大ヒットに。

DOHCを含む3種のエンジン、3種のトランスミッション、3種の外装、8種の内装を自由に組み合わされるシステムも斬新でした。

その後もセリカは2リッター以下クラスのスペシャリティとしてモデルチェンジを重ね、1985年の4代目(T160系)からは駆動方式をFFに転換。1999年から2006年まで販売された7代目(T230系)がその最後を飾りました。2000年代はすでにミニバン文化真っ盛り。背が低いスペシャリティカーの需要がなくなったこともありセリカの生産はついに中止されてしまったのでした。

後部ハッチドアの有無はあったにせよ、36年にわたり一貫して、手が届きやすい2ドアスペシャリティという性格はブレませんでした。お見事。また、ラリーでの活躍もいつまでも記憶にとどめておきたいポイントです。

日産 サニー (1966-2004)

言わずと知れた日本を代表する大衆車がサニーです。初代(B10型)がデビューした1966年からトヨタ カローラと覇を競い合っていましたが、2004年に後継のラティオ(ティーダ ラティオ)にその座を譲って生産が終了。全9世代、38年の歴史に幕を閉じています。

デビュー時の日産ではブルーバードが小型車の主力でしたが、モデルチェンジによって1.2リッタークラスに移行したことで、約700cc~1000ccクラスの小型車枠に手駒がなくなってしまいました。でも、ライバルのトヨタはすでに700ccのパブリカを投入していたのです。そこで日産は1000ccエンジンを搭載したダットサン サニーを開発。モダンでクリーンなデザインと高い経済性、そして低価格から大ヒット作となりました。車名が公募で選ばれたのも日本初のことでした。

サニーは経済の発展とともに排気量とボディサイズの拡大、装備の充実が進んでいきましたが、どの世代も常に、ファミリーカーの本質である親しみやすさと経済性、実用性を持ち続けていました。後継のティーダ ラティオは従来の同クラスセダンの常識を破る室内の広さを誇り、評価も高いクルマでしたが、外観は「クルマらしい」3ボックスセダンの面影はなく、サニーが消えてラティオが誕生した時、筆者は時代の変化を強く感じたものでした。

その後も国内のセダン市場は縮小が続き、2016年にはいよいよサニーの血を残していたラティオまで生産中止となり、1966年から続いた伝統あるこのクラスのセダンが、日産から消滅しました。そのため、サニーのポジションはノートが担うことになりました。

でも、本当にセダン市場が不振なのかしら? 魅力ある小型セダンが出れば、需要が掘り起こされるのでは、と思うことしばしです。

ホンダ トゥデイ (1985-1998)

現在、日本の新車販売で軽自動車の比率は、なんと4割ほどに達しているとのこと。主流はトールワゴンなどのユーティリティに優れたクルマですが、以前の軽自動車のメインは、ボンネットがついた1.5BOXスタイルで商用登録(4ナンバー)の「軽ボンネットバン」か、それの乗用仕様(5ナンバー)でした。全高は、かつての乗用車の平均的寸法の1.3m台で、中でもとびきり低かったのが1985年デビューの『ホンダ トゥデイ』です。

全高はなんと1315mm! その代わり、パワートレーンの前後長を切り詰め、タイヤを四隅に追いやって、可能な限り広い室内を確保することにしました。その結果、ボンネットとフロントウインドウの角度が近いワンモーションフォルムが誕生。当時としては斬新なデザイン、画期的な設計を持つ意欲作でした。

1993年にはフルモデルチェンジで2代目となりました。今やホンダの軽自動車はベストセラーの一角に入っていますが、1974年から初代トゥデイが発売されるまでの11年間、ホンダは軽自動車を作っていなかったのですからこれも驚きです。その意味でも、トゥデイの存在は決して忘れていけないと思います。

なお、トゥデイは1998年で生産を終えてしまい、後継は軽トールワゴンのはしりである『2代目ライフ』が務めました。1.3m台から一気に1.6m近い高さへのモデルチェンジで、その変わりっぷりにびっくりしましたっけ。

三菱 ディアマンテ (1990−2005)

今や小さなクルマでも多くが3ナンバーになっていますが、以前は5ナンバーと3ナンバーには自動車税額で厳然たる“差”が設けられていました。1989年までは、3リッター以下は81,500円、3リッター~6リッター以下で88,500円、6リッターを超えるとなんと148,500円も払わねばならなかったのです。そのため、あの頃の3ナンバーは一種のステータスシンボルでした。でも、この税制のために大排気量のアメリカ車が売れない、という海外からの不満を受けて、1989年度いっぱいで税制が変更。現在のように3ナンバーでも極端な高負担のない体制になりました。

そこで、国内のメーカー各社は、こぞって3ナンバー車のラインアップを拡充。5ナンバー車のバンパーを伸ばして3ナンバーサイズにする旧来のモデルから、当初から3ナンバー専用ボディを開発したモデルなどが次々と生まれました。後者の代表が1990年に登場した『三菱 ディアマンテ』です。

税制変更直後、国内にはまだ3ナンバー専用のクルマはごく少なかったこと、数多くのハイテクデバイスを満載していたことなどから大ヒット。1990−91年の日本カー・オブ・ザ・イヤーも獲得しています。

国産3ナンバー高級車といえばFR、という図式を打ち破ったことで、日産 マキシマ、トヨタ ウインダムなど各メーカーがディアマンテを追随。つまりディアマンテは、FFの3ナンバー高級車という新しい国産車のジャンルを作ったエポックカーでもありました。

1995年に2代目に正常進化を遂げますが、時代がセダンからミニバンへと主流が移っていたこと、三菱の経営不振などもあって残念ながら2005年に生産を中止しています。

[筆者:遠藤 イヅル]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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