【ahead femme×オートックワン】-ahead 4月号- アンティーブの松本葉さんを訪ねて(1/3)
- 筆者:
- カメラマン:若林葉子
私の手帳の2月20日のページに、松本 葉さんから届いた1通のメールの文面をプリントアウトして貼り付けてある。
――あなたの原稿を読むといろんな思いにとらわれることがあって、昔の自分を見る気がしたり、姉のような、時には母のような気持ちになることがあります。
――同性を実感することもあって、分かる分かるって肩を叩きあいたい。
――いろんなことに出会って、ねぇ、どう思う? ってあなたに聞いてもらいたいことがしばしばある。
そんなことが綴られていた。
葉さんの気持ちがうれしくもあり、海外に暮らす葉さんの心情が切なくもあり、他のメールに埋もれてしまわないようにと、大切に手帳に貼り付けたのだ。でも本当は、今すぐ飛んで行って葉さんに会いたい、なぜかそんなちょっとせっぱ詰まった気持ちに捉われていたのだった。
けれど、フランスは遠い、お金も掛かる。そんな時、「会いに行ってきたら」という編集長の言葉に後押しされ、アンティーブへと旅立った。
経由地のフランクフルトから飛び立った小さな飛行機は、ニース・コートダジュール空港が近づくと、海岸線をぐーっと旋回する。夕方の傾きはじめた太陽に、まだきらめきを残した海と、海岸線近くにまで迫る建物の群れに地中海まで来たことを実感する。
日本を発つ前、葉さんに「お土産は何がいいですか?」 とメールで尋ねると、「重くなければ文藝春秋を」という答。
文藝春秋か…。
3年半に渡るやりとりがあっても、私は松本 葉さんという人のことを何も知らないのだ。
果たして、葉さんとちゃんと肩を叩きあえるのか。そもそも、葉さんと肩を叩きあう相手は私でいいのだろうか。ここまできてにわかに不安が頭をもたげる。
――松本 葉さんは1960年生まれ。大学卒業後、新しく創刊された自動車雑誌『NAVI』の女性編集記者となり、テレビ朝日系列「カーグラフィックTV」のキャスターも務める。その後、取材で訪れたイタリアの魅力に取りつかれ、'90年2月にトリノに移住する。
葉さんは、'80年代に、まだ女性の少なかったクルマ業界の第一線で活躍した大先輩なのである。恐れ多い。
そう思いつつ、空港を出たら、葉さんが立っていた。グレーがかった細身のパンツに、黒いニットの上着をふんわりと羽織って、手には丸めた雑誌。きりっとした面立ちに笑みを浮かべて、「疲れた?」。それが初めて聞く葉さんの声だった。そしてホテルまで送ってもらうだけで、その日は別れた。
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