フィスカー カルマ 海外試乗レポート/ピーター・ライオン(1/2)

  • 筆者: ピーター ライオン
  • カメラマン:フィスカー・オートモーティブ
フィスカー カルマ 海外試乗レポート/ピーター・ライオン
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「フィスカー・カルマ」とは何モノなのか?

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フィスカー カルマの「動画試乗レポート」はコチラ

電気自動車の市場はまだ未熟で初期段階と言っていいだろう。

1992年のインターネットの未熟さみたいなものに例えられる。でも時間が経つにつれ、その当時、家庭用コンピューターはIBM陣営とアップルに分かれたのと同様に、EV(電気自動車)も、ピュアなEVといわゆるEVレンジ・エクステンダー(シリーズ式〔プラグイン〕ハイブリッド)という2つに分かれつつある。

つまり、前者は、80km~200kmまでの距離をバッテリーの力だけで走る、日産リーフやテスラ・ロードスターみたいなクルマ。そして後者は、航続距離延長装置のための発電専用エンジンを搭載したEV。

フィスカー・カルマ(本当の発音はカーマ)に試乗するまでは、充電機能+ガソリンエンジンを搭載し、バッテリーだけでは最高80kmの距離を走行できる、ただのアメリカ製EVコンセプトカーだと思っていた。

しかし、全貌が明らかになったフィスカー・カルマを試乗すると、その考えは間違っていたことに気付かされた。紛れもなく正真正銘の走行可能距離が長い、本物のEVとなっていたのだ。

そこで、2008年のデトロイト・ショーで自らのエコ意識をアピールしていたレオナルド・ディカプリオ氏とキャメロン・ディアス嬢にも、よく聞いていただきたい。お洒落なハリウッド地域で環境を案じて乗り回しているそのプリウスを、最新のEVにアップグレードする時がついにやって来ましたぞ!ということを・・・。

フィスカー・カルマはラグジュアリーEVの流れを変えられるのか!?

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まず、驚いたのはこのフィスカー・カルマのポジションが、これまでのEVとはまったく違う所に位置しているということだ。

アメリカ生まれのこの最新高級EVは、メルセデス級の高級感と、BMW並みのハンドリングを持ち、そしてボディはマセラティが担当したと言っても過言ではないくらいの美しいデザインが魅力。その上、最高にクリーンでエコな資質も備えている。

そして、この4人乗り4ドアセダンの実力は、驚くことなかれ最高出力403ps。しかもトヨタ プリウスよりCo2排出量は低い。そんなカルマの量産モデルに、陽光溢れる南カリフォルニアで試乗してきた。

はじめにご紹介したいのは、カルマに搭載される軍事専用車からインスピレーションされたという「ステルス技術」だ。

敵に気付かれずに、静かに忍び寄るステルス戦闘機を思い浮かべてしまう物騒なネーミングだが、この技術がどのような経緯でカルマに搭載されることになったのか?

それは、メルセデス・ベンツやBMWのコンバーチブルを改造したフィスカー・コーチビルド社のデンマーク人CEO、ヘンリック・フィスカーとビジネス・パートナーのバーンハルド・コエラーが、2005年にクァンタム・テクノロジー社を立ち上げた時にまで遡る。

代替エネルギーを研究製造するクァンタム・テクノロジー社は、アメリカ政府との契約で陸上において敵陣に静かに侵入できるステルス自動車の開発を行っていた。

しかし、フィスカーは軍事関連から少し視線を変え、独自で同じ無音のEV開発に参入したという経緯から来ているのだ。

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ところで、カルマの解説を進める前に、一旦ここでフィスカー氏を紹介しておこう。

彼は、フィスカー社のCEOの座にただ君臨している人間ではない。彼は同社のチーフ・デザイナーでもあるのだ。実は彼、これまでにアストン・マーチンDB9、V8ヴァンテージ、BMW Z8などのデザインを手がけてきた名デザイナーでもある。

それを聞けば、ヨーロッパの香り漂うカルマのデザインに、なるほど!と、納得することができるだろう。だが、美しいボディは実はうれしいオマケに過ぎなかったのだ。

最も注目すべきは、カルマ特製のアルミ・スペースフレーム・シャーシに搭載された「EVドライブ・トレーン」。これはクァンタム・テクノロジー社がアメリカ軍用に開発してきたものだが、そのノウハウを得たパワートレインは、最高出力161psの電気モーターを2基とリチウムイオン・バッテリーパックを搭載。

その結果、バッテリーだけで約80kmの走行は本当に可能となったという。そして走行中に充電が必要となれば、GM製の最高出力255ps、2.0リッター4気筒ターボガソリンエンジンの出番が来る。

ただし、その役目とは車を走らせることではなく、バッテリーを充電することにある。

フィスカーが特許を取得している「EVer」のセットアップは、80kmまではEVだけで走行が可能で、エンジンがリチャージすることで、さらに400kmへと航続可能距離が増し、総航続可能距離は480kmとなるというのだ。

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筆者ピーター ライオン
MOTA編集部
監修者MOTA編集部

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