ルノー 新型メガーヌGT 試乗|昔ながらの良さと、今のフランスを想わせる先進性が絶妙に融合(2/2)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:茂呂幸正
4輪操舵“4コントロール”の病みつきになりそうな操縦フィーリングが印象深い
GTのエンジンは前に書いたように1.6リッターターボだ。ルーテシアR.S.に積まれているものと基本的に同じだが、最高出力205ps、最大トルク28.6kgmと独自のチューニングがなされており、ルノーがEDCと呼ぶデュアルクラッチ・トランスミッションは7速になった。
メガーヌR.S.のような爆発力はないものの、自然吸気エンジンを思わせるシャープでレスポンシブな加速が味わえる。でもパワーユニットの印象はそれほど鮮烈ではなかった。やはり4コントロールが印象に残ったからだ。
4コントロールの動き方は、ノーマルモードで60km/h、スポーツモードで80km/h以下では後輪が前輪と逆方向に切れ、それ以上では同じ方向に切れる。なので駐車場や交差点ではCセグメントとは思えないほど小回りが効く。これはありがたい。そして山道の低速コーナーではリアが振り出されるような動き。後輪駆動車でドリフトをしているような感覚に近い。
逆に4輪が同じ向きに切れる高速コーナーは、低速ほど明確ではないものの、遠心力で外側に膨らむフィーリングが薄れ、斜めに平行移動するようにコーナーのインに入っていくような感触だ。通常の前輪駆動車とはひと味違う安定感で、病みつきになってしまいそうだった。
新型メガーヌが素晴らしいのは、こうした4コントロールの瞬間芸を楽しみながら、ロングランを快適にこなせることだろう。タイヤサイズは225/40R18と、メガーヌR.S.よりワンサイズ細いだけなのに、速度を上げるにつれて絶大なフラット感に支配され、直進安定性は盤石。つまりルノーの美点がそのまま受け継がれている。
昔ながらのルノー車らしさと最先端のフランスを感じる先進性が絶妙に融合
ルノーの良さはこれまで、スペックでは表せない、説明しにくいものだった。だから僕たちジャーナリストも良さを伝えるのに苦労した。
でも新型メガーヌには、カングーのフレンドリーな雰囲気やルノースポールのパッション、トゥインゴのリアエンジンらしさに匹敵する、4コントロールのハンドリングという革新的な武器がある。
昔ながらのフランス車らしさと今のフランスらしさが絶妙にミックスしている。いままでのメガーヌとは明らかに違う。ルノーとルノー・ジャポンがこのクルマに賭ける意気込みが五感を通してしっかり伝わってきた。
[レポート:森口将之/Photo:茂呂幸正]
ルノー メガーヌ&メガーヌ スポーツ・ツアラー スペック比較表 | ||
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車種名 | メガーヌGT | メガーヌ スポーツ・ツアラーGT |
駆動方式 | 前輪駆動 | 前輪駆動 |
トランスミッション | 7EDC | 7EDC |
価格(税込) | 3,340,000円 | 3,540,000円 |
全長 | 4,395mm | 4,635mm |
全幅(車幅) | 1,815mm | 1,815mm |
全高(車高) | 1,435mm | 1,450mm |
ホイールベース | 2,670mm | 2,710mm |
乗車定員 | 5名 | 5名 |
車両重量(車重) | 1,430kg | 1,480kg |
エンジン | ターボチャージャー付 | ターボチャージャー付 |
排気量 | 1,618cc | 1,618cc |
エンジン最高出力 | 151kW(205PS)/6,000rpm | 151kW(205PS)/6,000rpm |
エンジン最大トルク | 280Nm(28.6kgf-m)/2,400rpm | 280Nm(28.6kgf-m)/2,400rpm |
燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | 無鉛プレミアムガソリン |
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