ルノー カングー 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:森山俊一
フランス発のハイトワゴンが国内デビュー。激戦区に新しい風が吹き込まれた。
コンパクトサイズの国産ハイトワゴンは、個性的なモデルが各メーカーから登場している。ところが輸入車は何故かこのジャンルに参入せず、'97年に誕生したルノー・カングーの独断場だ。しかも総生産数100万台を超える人気モデルながら、国内へは5年間導入されなかった。その理由はおそらく需要の70%が花屋さん、パン屋さん、郵便屋さんといった小回りが必要な商用ユースだからだろう。けれども昨年のモーターショーに参考出品してみると意外に評判が高く、導入のきっかけとなったようだ。
全体が柔らかい曲線で構成されたフォルムは、お茶目でユニークな印象。一方、インテリアは極めて機能的なデザインを採用している。このアンバランスが、カングーの個性であり魅力といっていい。ボディカラーは欧州車らしいレモンイエローをメインに、青、赤、緑、グレーの5色が揃う。
ちょっと乗りづらい欧州車らしいテイストが面白みにつながっている。
1.4LのSOHCエンジンは低速域のトルクがやや少なめで、中速域から元気のいい加速感を見せるいかにも欧州車然としたフィーリングだ。このため発進加速はやや苦手で、巡航が得意の場面となる。定員乗車や荷物をたくさん積んだ時、あるいは登り坂でやや非力な面が残るが、クラスを考えると不満は持たないはずだ。ルーテシアと同じ学習機能付の4速ATは、シフトアップが遅めで4000rpm付近を多用する。このためエンジン音が少し大きめに感じてしまうのだ。国内の道路状況のデータが少ない輸入車全般にいえることだが、制御の緻密さももう少し欲しい。乗り心地はさすがに商用車的で、路面の段差を越えるとサスがガタピシいうが、小回り性は高い。
前後ともに視界がいい運転ポジションは、商用車的なステアリングの角度と大きな径が気になるところ。チルトハンドルが装備され、ハンドルの径がひと回り小さくなれば、扱いやすさはグンと高まるはずだ。
独創のユーティリティが群を抜いた使い勝手の高さを生んでいる。
カングーの自慢は、全長3.99mとは思えない居住性とユーティリティの高さだ。室内に乗り込むと、驚きのヘッドクリアランスと室内幅が広がり、後席の足元も余裕タップリのスペースが用意されている。商用ユースが基本になっているだけあって、ラゲッジは見るからに大きい。フロアにトリムは張られていないけれども、タイヤハウスの出っ張りが小さいのだ。おかげで荷物がたくさん積み込めるだけでなく、使いやすさも伺える。分割可倒式の後席は、背もたれを倒し、座面ごと持ち上げればラゲッジスペースをさらに拡大できる。シートアレンジのしやすさも好印象だった。
両側スライド式のリアドアは、乗り降りと荷物の出し入れに貢献する。見逃せないのは、国産に比べて非常に軽い力で開閉できること。この機構は国産メーカーも是非研究して欲しいところだ。豊富な収納も魅力のひとつ。特に高い天井を活用した前席のオーバーヘッドコンソール、後席&ラゲッジの両サイドに装備された飛行機タイプの収納はアイデアものだ。
枠にはまった国産車とは違う自由気ままなフランスの気性がカタチになった。
日産との提携で知名度はグンと高まったとはいえ、ルノーのラインアップはあくまでも地味だ。3月13日に導入された新型ルーテシアにも同じコトがいえる。ところがカングーは、お目立ち度の高いスタイルに機能的なユーティリティをドッキング。華やかさと魅力を十分に発揮している。確かにクルマとしての仕上がりは100%ではない。だけど商用車的なテイストも個性としたカングーは、国産車とは一線を画したハイトワゴンとして、激戦のこのクラスに新旋風を吹き込んだ。おそらくルノーのイメージを担う、主力モデルとなっていくことだろう。
今回、導入されるカングーは1グレードのみだが、本国には1.6Lモデルと観音開き式のバックドア仕様も用意されている。カングーの人気上昇とともに、バリエーションが追加されることを楽しみにしたい。
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