日産 ステージア 試乗レポート

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本格的Lクラスツーリングワゴンとして、セダン+αの魅力が正当進化した。

初代ステージアが登場したとき、ビッグサイズのステーションワゴンは、クラウンやセドリックのワゴンだけだった。そこにスポーティなステージアが加わったので、たちまちヒット作となった。ステージアのヒットを見て、クオリス、ランカスターなども登場したが、ステージアは常に30%近いシェアを保っていた。そのステージアがフルチェンジした。

2代目はキープコンセプトではあるがエンジン、シャーシなどを一新した。全長は旧型より35mm短いが、ホイールベースは130mmも長くなった。エンジンも直6からV6になったことで、重量バランスもよくなった。

スタイリングは、直線と面を巧みに融合させたこれからのカーデザインの、主流になるコンセプトを採用した。

プラットフォームはスカイラインと同じFMパッケージ。エンジンはVQ25DETが新開発だ。

エンジンバリエーションは2.5LのターボとNA、3LのNAの3タイプ。2.5LのNAは4速AT、他は5速ATが組み合わされる。ATはいずれもマニュアルシフトモード付だ。駆動方式はFRと4WD。ターボは4WDのみで、3LはFR、2.5LのNAはFRと4WDが用意された。グレードはラグジュアリー系のRXシリーズと、スポーティ系のRSシリーズに大きく分かれている。さらに、最低地上高を高くし、ややワイルドさを強調したAR-Xというシリーズも1グレードだけだが設定された。

試乗は2.5Lターボエンジンを積む250t RS FOUR V。Dレンジでスタートするが2000rpm以下のトルクはやや細め。そのまま加速していくと4000rpmからは弾けるような加速を体感できる。エンジン音は3000rpmあたりから高まるが、高回転になっても耳ざわりではなかった。コーナリングはバランスのよい4WDスポーツが、小気味よく走るのを味わえる。ロールはしなやかに抑えられている。乗り心地はややかためだ。3L+FRは3000rpmからトルクがある。しかし安定感は4WDにはかなわなかった。

ワゴン機能を極めた、広大なラゲッジルームと使い勝手の高さ。後席の居住性も見逃せない。

旧型に比べて長くなったホイールベースの恩恵は、リアシートに座ってみるとわかる。やや高めの着座位置だがヘッドスペースはたっぷり。レッグスペースもフロントシートに身長180cmクラスが座っても、スペースは確保される。

ラゲッジスペースはリアサスペンションの形状を旧型とは異なる形式にしたことで、室内への張り出しは少なくなった。床面とバンパーは同一平面なので、荷物の出し入れもラクだ。便利なのは、リアシートの背もたれをバックドアの近くに設けられたレバー操作によって倒すことができること。それも背もたれがちょっと動くのではなく、自動的にフラットになるところまで倒れるのだ。床面下にはサブトランクがあるが、この床ボードもレバーを引くと、ダンパーで開く。これも便利だった。バックドアはウインドウ部分のみの開閉もできるようになった。

質感の高い走行フィールは、最適な前後重量配分とサスの専用チューニングが決め手。

ハイパワー/ビッグサイズのステーションワゴンは、今回のフルチェンジでさらに磨きがかかったように感じる。特に4WDは、これまでのアンダーステア傾向のハンドリングを、重量バランスを修正することで、かなり向上させている。基本的なコンポーネンツはスカイラインと共通だが、ステージア独自のセッティングはドライバビリティのアップに向けられている。

スノーシンクロモード付アテーサE-TSも路面条件が悪くなるほどに真価を発揮するはずだ。直線と面をスムーズに結びつけたボディデザインも、中味の進化をよく表現している。今回の試乗会には、日産のスポーツチューンを担当しているニスモ(NISMO)仕様も参加していた。こちらはサスペンション、タイヤ、マフラーなどがチューンされていたが、とてもバランスよく仕上げられていたことも報告しておく。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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