オーテック セレナライダー 試乗レポート/渡辺陽一郎 with 美波千夏(1/2)

オーテック セレナライダー 試乗レポート/渡辺陽一郎 with 美波千夏
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国内市場を重視するミニバンの象徴がセレナだ!

90年代の中盤以降、日本ではミニバンが売れ筋だ。理由の筆頭は、優れた空間効率に基づく広い室内。

多人数で長距離移動が行えて、3列目を畳めば広い荷室にアレンジできる。

しかし、高い人気の理由はそれだけではない。セダンやSUVが海外指向を強める中で、ミニバンはプレマシーなど一部の車種を除くと基本的に国内専売だ。

日本のユーザーの生活を見据えて開発される。「あなたのために造りました」という開発者の意気が伝わってくるからこそ、多くのユーザーがミニバンを買う。

日本市場でこれだけ高い人気を続ける背景には、クルマのツール化があることは事実だが、それは理由のひとつにすぎない。

このようなミニバンの中で、トップクラスの売れ行きを誇る車種がセレナ。居住性は5ナンバーサイズのミニバンでは最も優れ、特に3列目の広さで他車に差を付ける。

シートアレンジが多彩で、自転車も積みやすい。さらにサイドウインドーの下端を低めに抑え、ミニバンの欠点とされる側方視界を向上させた。

以上のようにセレナは、日本のユーザーニーズをキッチリと押さえ、高い人気を獲得した。海外向けに開発された「日本はオマケ」の車種とは違う。国内市場を重視するミニバンの象徴がセレナといえる。

従って多くのユーザーがセレナを買って満足しているが、かつてクルマ好きだったお父さんの中には、「良いクルマだけど、ちょっと物足りないね」という意見もあるだろう。

ミニバンはファミリーユーザーが便利に、快適に使えるクルマだから、どうしても所帯じみた雰囲気がつきまとう。

また、高重心のボディが左右に振られると乗員が不快感を抱くので、操舵に対するクルマの反応もあえて鈍く抑えている。

このミニバンが持つ商品特性と、クルマ好きが求める趣味性のギャップを埋めるのが、日産車に幅広く設定されるライダーシリーズだ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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