日産 セレナ 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:小宮岩男
マイチェンで全車QRエンジンを採用。グレード体系も一新して、ライバル車に勝負を挑む。
ミドルサイズのワンボックスカーは、ステップワゴンを頂点にセレナ、ノア/ヴォクシーの三つ巴戦が繰り広げられている。だが'99年6月誕生のセレナは、昨年フルモデルチェンジを受けたライバル車に比べて魅力が色褪せてきたのは事実。そこで昨年末、大掛かりなマイナーチェンジが行なわれた。
最大の変更点はエンジンバリエーションだ。従来はSR系の2Lガソリンエンジンと2.5L直噴ディーゼルターボを搭載していたが、全車QRエンジンにスイッチ。2Lと2.5Lの自然吸気のラインアップとした。注目は「超-低排出ガス」認定の取得。環境面ではライバル車を一歩リードしたといっていい。
スタイルは前後のデザインを一新。インテリアは新造形のインパネや新しい内装色などが取り入れられた。装備はリモコンオートスライドドアやTV/ナビ&バックニューモニターなど、利便性のアップが図られている。
燃費はイマイチだが、低中速域の力強いトルクはクラストップレベルの加速感だ。
ワンボックスカーのイメージは、『走りよりも居住性に力が注がれている』だろう。ところがセレナの2L QRエンジンは、発進から力強い低速トルクを発揮。軽くアクセルを踏むだけで、元気のいい加速感が味わえるのだ。このエンジンフィールを体感すると、ノア /ヴォクシーが非力に思え、走りに自信のあるステップワゴンも低中速域のトルク不足を感じてしまう。
ハイパーCVTとの組み合わせも、この好印象に貢献しているだろう。ストレスのない吹き上がり、静粛性の高さはライバル車に確かに後塵を浴びせた。その代わり、市街地と高速走行を組み合わせた燃費は8km/L台にとどまる。気になったのは停止直前のブレーキフィーリング。予想以上にエンジンブレーキがかかり、やや違和感を伴う。
F/ストラット、R/マルチリンクの足回りは、乗り心地重視のセッティング。コーナリングのロールは大きめだが、快適なクルージングが楽しめる。
3列シートともに余裕の居住性を備えるが、多彩なシートアレンジの操作はやりづらい。
ボディが1種類のライバル車に対して、セレナは8人乗りにハイルーフを用意。さらに、3列ともに大きく座り心地のいいシートが配置され、セカンド&サードシートはロングスライド機構を備えている。ゆとりの空間を備えた居住性は、ワンランク上といっていいだろう。
ところが多彩なシートアレンジをためしてみると、力が必要で操作がしづらいことに気がつく。原因は脱着式セカンドシートの採用だ。対座モードや大きな荷物を積む際に、重たいシートを2脚も付け替えたり、はずしたりしなくてはならないのだ。しかも女性の腕力では無理に等しく、たとえ男性でも敬遠するほど。さらにはずしたシートを置くスペースも必要になる。セカンドシートの居住性は多少劣っても、操作性のいいアレンジメントが望まれる。
サードシートはスライド&チップアップ機構を持つベンチシートが標準仕様。左右に跳ね上げられる5:5分割シートはオプションの設定だが、ヘッドレストをはずす分、ライバル車よりも手間がかかる。
豊富なバリエーションを持つ福祉車両が主力と思えば、脱着式セカンドシートの採用もうなずける。
子供を最優先したステップワゴンに対して、スタイルこそ個性的だが中身はオーソドックスなワンボックスカーがノア/ヴォクシー。この2台に対して、セレナは走りも居住性も二重丸の仕上がりといえる。だがシートアレンジは大きなマイナスポイントだ。欧州仕様ならともかく、脱着式は受け入れられない国内であえて採用した理由はあるのだろうか。
考えられるのは福祉車両のラインアップだ。セレナは従来から福祉車両としての需要が多く、リフト式やスロープ式の車いす同乗仕様が用意されている。脱着式セカンドシートの採用は、標準車と福祉車両の両方に対応するためのアイディアだったのかもしれない。だが結果は、どちらにも中途半端になってしまった気がする。
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