THE NEXTALK ~次の世界へ~ 日産自動車 IT and ITS技術企画グループ エキスパートリーダー 二見徹インタビュー(5/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
これからが、仕事を楽しめる時
二見徹は、「もっと早く電気自動車の時代が来ると考えていた」と語る。鉄道が、蒸気機関車、ディーゼル機関車、電車、そして新幹線の誕生という道筋をたどって発展したように、クルマも電気自動車に行き着くと、大学を卒業し日産の中央研究所に就職した80年代初頭から思っていたという。
当時はエレクトロニクス(電子工学)が上り坂で、その延長として二見徹の脳裏には電気自動車が描かれていたのである。「それから30年も経ってしまった…」と、二見は振り返る。「バッテリー技術がこれほど大変だとは、当時、知識が十分ではありませんでした」と言う。 カーエレクトロニクス一筋に歩み、リーフ発売までこぎつけた二見徹を支えてきたものは何か?
【二見徹】座右の銘は「これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」で、友人から聞いた、論語です。何をやるにしても、新しいことへの挑戦は苦しく、また内外からの逆風もあり、批判を受けることもあります。それでも、自分が心底楽しく、そのことのために生きようとするならば、自らのエネルギーを注ぎ込んで、やりきるしかない。
入社以来カーエレクトロニクスの創生期に関わって来られたのは、非常に幸運でした。何事も創生期に関わることは重要で、新たなやり方、新たな知識が求められ、それを得ていく過程で個人やチームは成長することができます。
電気自動車も、そのタイミングにありました。 もう50歳を過ぎました。職人の世界では、50までが修行で、その後に力を発揮すると言われているようですから、これからはせいぜい仕事を楽しむことに身を置こうと思っています。実際、いま楽しんでやっていますよ。
定置型蓄電機能+電力の配達=電気自動車。 街づくりの一環となるこの新たな電気モビリティの価値の発信、そして人々にそのことに気付いてもらうことが我々の義務でもあるという二見徹の意志は、従来の自動車メーカーという枠組みに収まるものではなくなっている。
日産自動車は、7月11日、本社ビルに太陽光発電を設置し、そこからの電力を一旦リチウムイオンバッテリーに蓄電し、そしてリーフに充電する実証実験を公開した。8月2日には、電気自動車から家庭へ給電するシステムを公表し、積水ハウスとの共同研究を公開した。そして、今年度内の発売を表明している。
21世紀の自動車メーカーの姿が、電気自動車によって新しく開拓されていく足音がもう聞こえている。19世紀末に誕生し、道路網によって20世紀の都市構造に影響を及ぼしたクルマが、エネルギー源として深く生活に浸透していくのが21世紀の役目であろうという、まことに示唆に富んだ二見のインタビューであった・・・END
御堀 直嗣(みほり なおつぐ)プロフィール
1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。
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