THE NEXTALK ~次の世界へ~ 日産自動車 IT and ITS技術企画グループ エキスパートリーダー 二見徹インタビュー(3/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
- カメラマン:佐藤靖彦
スマートグリッドとEVの関係
ここで、電気自動車がスマートグリッドの一翼を担うという話につながる。 その前に、スマートグリッドとは、いったい何か?
【二見徹】電気の需要と供給を「見える化(視覚的にわかりやすく:筆者注)」するのが、スマートグリッドです。電力の基本的な仕組みは、次の通りです。
①電気を作る「発電」
②それを需要地へ送る「送電」
③そして、「消費」
これまでの発電は、消費地の自分勝手な利用状況にあわせ、必要とされる電気を発電所で発電し、需要と供給のバランスをとってきました。とくに日本は、最大の消費電力に見合う発電所の規模が確立されています。
一方アメリカでは、経済的合理性から、最大ではなく、平均的な消費電力に見合う発電所の規模しかありません。したがって、需要が上回ると停電の恐れが出ます。世界的に経済成長が進むなか、電力消費も増えていき、それにあわせて発電所を増設するとなると、大きな投資が必要になります。
そこで、大掛かりな設備投資をしなくても、利用する側の省エネルギーや、必要ない電気は使わないようにするなど、賢い電気の使い方をすることにより停電しないようにしよう――つまり、需給バランスを最適化しようと、
①リアルタイムで現状を把握
②需要の見込みを立てる
そのために、電力の需要と供給を見えるようにするのが、スマートグリッドの基本なのです。
ヨーロッパでは、再生エネルギー比率を高めていくと、太陽光発電にしても風力発電にしても、天候に左右され、発電が不安定なので、需要と供給をリアルタイムで高度にバランスさせることが大事になります。ここでも、スマートグリッドが求められるわけです。
天候に左右される再生エネルギーによる発電では、とくにバッテリーにいったん充電しておくとよいわけで、電気自動車や、電気自動車で使い終わったリチウムイオンバッテリーが蓄電機能として役立ちます。
日産リーフ車載のリチウムイオンバッテリーの価格が、市販のリチウムイオンバッテリーの1/5ほどであるという実情はすでに紹介しましたが、中古のリチウムイオンバッテリーであれば、劣化したとはいえまだ70~80パーセントの容量(蓄電能力:筆者注)を残しており、定置型(家庭やビルなどでの設置用:筆者注)としての使い道が十分にありながら、中古価格ということで、さらに安く販売できます。
こう考えてくると、電気自動車に対する見方が、単にクルマとしての性能やゼロエミッション車(環境への負荷がゼロのクルマ:筆者注)であるというだけでなく、大きく変わってくるのではないでしょうか。
群馬県太田市では、太陽光発電の実証実験のため、およそ600戸に太陽光発電が設置されている。だが、晴天の日には、太陽光発電によってたくさんの電力が、電力会社の系統電源(送電線)へ送り込まれ、電圧や周波数を不安定にする悪影響を及ぼすため、やむを得ず発電を停止させているという。これほどもったいなく、また意味のない太陽光発電の利用はない。
しかし、そこに定置型の蓄電機能があれば、系統電源を混乱に陥れることなく、昼夜を問わず安定したクリーン電力を運用できるようになる。再生可能エネルギーによる発電は、蓄電機能とセットでなければ恩恵にあずかれないのだ。
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