MINI E、電気自動車として初めてニュルを走破
BMW グループは、難コースとして名高いドイツ、ニュルブルクリンク北コースを電気自動車で走破するというチャレンジングな試みを成し遂げた初の自動車メーカーとなった。標準仕様のMINI Eを改良したレース仕様車のMINI E Raceは、「グリーン・ヘル(緑の地獄)」と呼ばれる数々の伝説を生んできた一周20.8 kmのコースを、9分51秒45のラップタイムで駆けぬけた。このMINI E Raceは、187 km/hの最高速度をマークした。
「北コースの長さと形状は、技術的にMINIの電気自動車にきわめて高い要求を課します。MINI E Raceは、この難問に敢然と立ち向かいました」と、このプロジェクトの指揮をとるBMWグループのペーター・クラムスは語る。「このユニークな試みは、MINI Eに備わるずば抜けた能力と、環境適合性に優れたドライビング・コンセプトを強くアピールできる場を設けることが目的でした。」
この電気自動車のハンドルを握り、すばらしいラップタイムをマークしたのは、ミュンヘン出身の元DTMレーシング・ドライバー、トーマス・イェーガーである。「これまでに何度となくこのサーキットを走行してきましたが、こんな特殊なクルマで走るのは初めてのことです」と、2006年、MINIのワンメーク・レース、MINI CHALLENGEの覇者にもなったイェーガーは言う。「電気モーターのパワーは驚くばかりで、いつでも余裕あるトルクをめいっぱい使えます。この素晴らしい経験で得られたもうひとつの要素として、ドライブトレインからのノイズがないことがあります。総括すると、私がこれまでに走ってきたなかで、最高にクリーンで、最高に静かなレースでした」
このマシンをニュルブルクリンク北コースに持ち込むに当たっては、広範にわたる準備を行う必要があった。MINI E Raceには専用の軽量ボディとロールケージが装着され、サーキット上で最高のパフォーマンスと安全性を引き出せるよう図られた。また、サスペンション、ブレーキ、タイヤなどの様々なコンポーネントにも、レース仕様のものを採用した。ただし、それ以外の部分でこのクルマはMINI Eの標準的な仕様にほぼ準じている。たとえば、5,088個のリチウムイオン・バッテリー・セルから電力の供給を受ける、同じ仕様の150 kW(204 ps)の電気モーターを搭載している。また制御用意のエレクトロニクスやソフトウェアは、ニュルブルクリンク北コースにおいて最高のパフォーマンスを発揮できるようにプログラミングを組み直した。排出ガスを出さない電気モーターから引き出されるパワーは、高めのギヤ比に設定されたシングル・ステージのヘリカル・ギヤボックスを介してフロント・ホイールに伝達されている。