家族間でもソーシャルディスタンスが必要!? 後部座席で40cmの距離を確保せよ!
コロナ禍においては、家族で移動する際、電車やバスではなくマイカーでという人が増えている。先日、ファミリー向けミニバン「新型エルグランド」を発売した日産が「家族の車利用の実態」という調査を行ったところ、なんと車内での「家族間ソーシャルディスタンス」という課題が浮かび上がったというのだ。これは一体どういうことだろうか。
コロナ禍で見直されるマイカー移動と家族間の距離
日産が「コロナ禍での家族の移動手段について」というテーマで子どもがいる30代~50代の男女300人にアンケートを行ったところ、およそ90%もの人が移動には電車やバスでなくマイカーを使うと答えた。これは、公共交通機関を避けてより安全に移動するための選択だろう。
しかし、一緒に暮らしている家族のみでのプライベート空間なのだから、マイカーならさぞかし安心…と思いきや、実は、家族の車内空間といえども不満がないわけではなかった。
約6割が「家族でも一定のディスタンスが必要」と回答
そこで車内空間に対する家族のニーズを調査したところ、ストレスを感じる要因として「におい」や「汚れ」よりも「車内空間の狭さ」を挙げる人が多く、2人に1人が車内空間の狭さにはストレスを感じていると答えた。
残念ながら、これは単にマイカーが小さくて手狭という意味ではない。回答者の約6割が「コロナの影響を受けて、家族間でも適度な距離を保つ必要があると感じている」と答え、家族であっても一定のディスタンス(距離)が必要だという認識が明らかになったのだ。
どう感じる? 日本人のパーソナルスペースは左右40cm
車の広さや快適性は、家族にどのような影響を及ぼすのだろうか。東京大学薬学部教授で脳研究者の池谷裕二氏に聞いたところ、車内でのディスタンスとは、その人にとっての個人的な空間である「パーソナルスペース」の問題であるという。
パーソナルスペースとは、そこに他人が入り込むと心理的不快感が生じる物理的な距離のことだ。その広さは対人関係や文化背景によっても変わり、たとえば典型的なアジアの家族では、自分の左右40cmほどが他者との境界線と言われている。つまり、これが人とのコミュニケーションに適した社会的距離というわけだ。
そして、車内のような狭い空間内で長時間パーソナルスペースを侵害され続けると、コミュニケーション上のストレスだけでなく、自律神経など健康状態にも影響が出てしまう。人によっては膀胱への蓄尿量が増え、突然の尿意にもつながるなど、トイレが自由にならない長距離移動では無視できない問題になりかねないのだ。
家族間のソーシャルディスタンス確保にも優れたミニバン
2020年10月12日にマイナーチェンジがおこなわれた新型エルグランドの室内高1300mmで、小学校低学年くらいの子供であれば車内で立つことができる高さを確保。さらに、フロントシート(運転席)の座面から天井までは1050mmあり、日本人男性の平均的な座高が90cm程度(国土交通省 その他統計資料より)であることを考えると、頭上にも十分なゆとりがある。
その他車種の室内高を見てみると、日産 セレナやライバルであるトヨタ アルファード、トヨタ ヴォクシーの室内高はすべて1400mmで、現在ファミリーカーとして人気となっているミニバンの多くは、十分な室内高を確保。また、5人以上の家族でも、3列目まで使用すれば左右の距離も確保しやすい。この余裕のある広さこそが、国産ミニバンが人気の理由であることが改めて分かる。
車内空間にも必要なのはゆとり
パーソナルスペースが大切だが、一人につき左右40cmとなると、普通車の後部座席でこれを確保することはなかなか難しい。しかも長距離移動の場合はさらに広いスペースがあるのが望ましく、左右の距離を補うためにも、上部の天井方向にゆとりがあるのが良いという。このような面から考えるなら、家族の車としてはコンパクトカーなどの小さな車より、ミニバンのような広い室内空間を持つ車が望ましいと言えるだろう。
あるいは、手軽にできる空間確保といえば、車内の片づけや収納の工夫も有効な手段だ。お出かけ自粛を機に洗車やコーティングに励む人も多いが、後部座席用の収納ポケットやかさばらないゴミ箱などの便利グッズを上手に使い、少しでも広く快適な車内を作り出すのもストレス軽減に役立つ。
このように「車内」という閉鎖空間だからこそ、ゆとりは極めて大切な要素となる。空間的なゆとりは、こころと健康のゆとりそのものとなりうるのだ。
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調査概要
概要:新型コロナウイルスの影響による車の価値の変化に関する調査
日時:2020年10月3日~10月5日
性別:男女
地域:全国
サンプル数:300ss(子どもがいる30代~50代の男女 各年代100名)
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