WRC第2戦ラリー・スウェーデン、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamが優勝

ラリー・スウェーデンラリーでトヨタ勢が総合優勝

2月17日(日)、2019年FIA世界ラリー選手権(WRC)第2戦ラリー・スウェーデンの競技最終日となるデイ4がトルシュビーを中心に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)が優勝した。

チーム加入2戦目のクリス・ミーク/セブ・マーシャル組(#5号車)は総合6位で、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(#10号車)は総合21位でフィニッシュし、ヤリス WRCは全車が完走を果たすという結果になった。

ラリー・スウェーデン最終日のデイ4は、サービスパークの北側で2本のSSを行ない、その後サービスパークのすぐ横でパワーステージを1本走行するステージ構成だった。

デイ3で総合2位の選手に54.5秒差を築いたタナックは、最初の2本のステージを注意深く走り、最終のパワーステージでは2番手タイムの選手に3.5秒差をつけるベストタイムを記録。パワーステージのみで与えられるボーナスの選手権ポイントを5点獲得し、完璧な勝利を飾った。

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タナックは今回がスウェーデン初優勝であり、初めて選手権をリードする立場になった。また、チームにとってはWRC復帰初年度の2017年以来、2回目のスウェーデン制覇となった。

総合6位でデイ4に臨んだミークは、最後までしっかりと順位を守りフィニッシュ。週末を通して厳しい戦いが続いたが、確実な走りで選手権ポイントを獲得し、チームはライバルと1ポイント差ながらマニュファクチャラー選手権首位に立った。

また、ラトバラは金曜日のデイリタイア後再出走を果たし、デイ3では総合25位に浮上。デイ4では最初のSSでベストタイムを記録するなど、調子を取り戻してラリーを戦い終えた。

なお、プライベーターとしてヤリス WRCで出場したベテランドライバー、マーカス・グロンホルムは久々の復帰戦を完走で締めくくった。

チーム総代表 豊田 章男氏のコメント

今シーズンの2戦目となるラリー・スウェーデンでタナック選手、ヤルヴェオヤ選手が優勝しました。今季の初勝利をもたらしてくれた2人の選手とチームのみんなに“おめでとう”と“ありがとう”を伝えたいと思います。そして、応援いただいたファンの皆様、パートナーの皆様にもお礼申しあげます。ありがとうございました。

一昨年、WRC復帰からの2戦目であったスウェーデンでの初優勝は、私の想像を超えるものでした。その時の驚きと喜びは今も鮮明に覚えています。今回のラリー・スウェーデンでは序盤から常に優勝争いに加わりながらの戦いでした。初優勝を遂げた一昨年の戦い方、悔しい想いをした昨年の戦い方を思い出しながら、今年の戦いを見ていると改めてチームとしての成長を感じます。チームを引っ張り続けているマキネン代表へ、改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。

今大会の表彰台ではタナック組の横に、私にとっては見慣れないレーシングスーツ姿のラッピ選手、フェルム選手が立っていました。やはり、ラトバラ組やミーク組にそこに立っていて欲しかったという悔しさはありますが、“少し”嬉しさも感じました。昨年まで一緒に戦った彼らの笑顔がそこにあったことが嬉しく感じた理由のひとつであることは間違いありませんが、一方で、強力なライバルとして彼らがいるということに嬉しさを感じたのかもしれません。

次はチームのドライバー全員が彼らより高いところに立っていたい……。マキネン代表はじめチームのみんなも私と同じように、強くそう感じてくれていると思います。そして、それが負け嫌いのTOYOTA GAZOO Racingにとって次への大きな力になっているだろうということを感じた、嬉しさなのだと思います。

シーズンは、まだ始まったばかりです。強力なライバル達とも切磋琢磨しながら、これからもTOYOTA GAZOO Racingは戦ってまいります。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。

チーム総代表 トミ・マキネン氏(写真右)のコメント

今シーズン2戦目で優勝し、両選手権をリードするなど素晴らしいラリーになりました。オィットは週末誰よりも速く、このような難しいコンディションでどのように走ったら良いのかを皆に示しました。彼は今、本当に強いドライバーだと思いますし、タイトルを取るために集中していた20年前の自分を見ているようです。

クリスとヤリ-マティにとっては困難な週末になりましたが、彼らもまた我々のクルマのスピードと、信頼性の高さを証明してくれたと思います。

オィット・タナック選手(ヤリスWRC #8号車)のコメント

とても良い週末でした。我々にとっては金曜日が鍵で、あのような路面コンディションでタイムロスを最小限に抑えなくてはなりませんでした。しかし、土曜日は良いリズムを保ち、ミスをしないように走るだけで十分でした。今日はパワーステージのためにタイヤを温存し、パワーステージでは思い切りプッシュしました。自分でも良い走りができたと思いますし、全てがうまく進んだのでリラックスしてドライブする事ができました。

我々のチームは本当に強く、だからこそシーズン序盤に良い結果を得られたのだと思います。

ヤリ-マティ・ラトバラ選手(ヤリスWRC #10号車)のコメント

今朝の最初のSSは、今回のラリーでもっとも良いステージでした。路面はしっかりと凍り、両側には雪壁もありました。流れるように高速な道には多くの起伏があり、運転がとても楽しく感じられ、良いリズムを取り戻す事もできました。

最後のパワーステージではポイントを獲得して良い形でラリーを終えたかったのですが、非常に難しい路面コンディションで、特にステージの最後の部分は大量の雪と解けた雪で困難な状況でした。

気持ちは既に切り替わり、今はもう次のラリー・メキシコを楽しみにしています。

クリス・ミーク選手(ヤリスWRC #5号車)のコメント

今朝のステージは全体が氷で覆われ、運転を楽しめるような良いコンディションでした。

今日の自分の目標は、総合7位のセバスチャン・ローブ選手の前でフィニッシュする事でしたが、タイム差を拡げられたので満足しています。

パワーステージではクルマの左前に大きな衝撃を受け、その後は運転に苦労しました。今週末の暖かな気候により、路面は私がテストで走った時と大きく異なり、そのため力を十分に発揮できませんでした。それでも、最後はチームのためにポイントを獲得できたので良かったと思います。

ラリー・スウェーデン デイ4の結果

1. オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(トヨタ ヤリス WRC)2h47m30.0s

2. エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム(シトロエン C3 WRC)+53.7s

3. ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+56.7s

4. アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー(ヒュンダイ i20クーペ WRC)+1m05.4s

5. エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(フォード フィエスタ WRC)+1m08.2s

6. クリス・ミーク/セブ・マーシャル(トヨタ ヤリス WRC)+1m38.8s

7. セバスチャン・ローブ/ダニエル・エレナ(ヒュンダイ i20クーペWRC)+1m49.7s

8. ポントゥス・ティディマンド/オーラ・フローネ(フォード フィエスタ WRC)+3m37.7s

9. オーレ・クリスチャン・ヴェイビー/ヨナス・アンダーソン(フォルクスワーゲン ポロ GTI R5)+6m34.0s

10. ヤンネ・トゥオヒノ/ミッコ・マルックラ(フォード フィエスタ WRC)+8m21.4s

21. ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ(トヨタ ヤリス WRC)+14m44.4s

(現地時間2月17日16時20分時点のリザルトです。最新リザルトはwww.wrc.comをご確認下さい。)

次戦のWRC

次戦のWRCは、3月7日から10日にかけて開催される第3戦ラリー・メキシコ。

メキシコのステージはグラベル(未舗装路)で、雪道が舞台となった開幕2戦とは大きく異なる路面での戦いとなる。ステージはメキシコ中央部の都市レオン周辺の高地に展開し、最高地点の標高は2,737mに達する。そのため空気がかなり薄い状態となり、エンジンはパワーが通常よりも20%程度ダウンする。また、外気温は摂氏30度前後に上昇するため、例年「熱」が大きな問題となりることで知られる。

さらに、路面は全体的に滑りやすいルーズグラベルで覆われているため、出走順が前方の選手は不利な路面コンディションでの走行を強いられるのも特徴だ。

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筆者オートックワン 編集部
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