スバル WRX STI、進化したマシンでニュル24時間レース3連覇を狙う
スバルテクニカインターナショナル(STI)社長の平川良夫氏は、「私どもSTIは、パートナー企業様の多大なるご協力を賜りながら、ご覧いただいた新しいスバル WRX STIレースカーを開発しました。今年はスバルにとって、2008年以来10回目のニュルブルクリンク挑戦の年となります。これまでのノウハウと経験を生かし、3年連続・通算5回目のSP3Tクラス優勝を目指します」と述べた。
WRX STI NBR 2017は、国内での最終調整を経て、4月中旬までにドイツに輸送され、4月22日・23日に現地で行われる24時間レースのためのクォリファイレースに出場し、5月25日から始まる24時間レース本番に備える。
STIパワーユニット技術部、車体技術部、車両実験部などの各セクションを戦略的に統括して効率的な車両開発を行うため、STIは新たにモータースポーツ技術統括部を設置し、開発体制を強化した。
また、2016年までNBRチームのSTI総監督を務めていた辰己英治氏は、テクニカルアドバイザーとしてプロジェクトに参加することになる。
シェイクダウンを終えたドライバーの山内英輝選手は、「マシンの挙動はさらにしなやかになり、全体のバランスはより進化したと感じました。今回もニュルブルクリンク24時間レースへチャレンジするチームの一員として僕を迎えていただき、大変光栄に思います。皆様のご期待に添えるよう、精一杯頑張ってきます」と抱負を語った。
2016年車両からの課題と改善点
【パワーユニット】
2016年はエアリストリクター(空気吸入制限装置)の小径化によるパワー低下に苦しんだため、それを補うためエンジン内部部品の最適化や高圧縮比化による燃焼効率改善を施し、4-2-1エキゾーストマニホールド、シングルスクロールターボへの変更などが盛り込まれ、出力向上・トルクアップを図った。
さらに、ドライバーの負担軽減のためパドルシフトを採用し、追い抜き加速性能重視のためのトランスミッションギヤ比のクロスレシオ化、センターデフ制御見直しなど、パワートレイン全体を改良した。
【エアロダイナミクス】
新しいWRX STIのフェイスを採用したボディワークも、フロントのダウンフォース増を目指して各所にモディファイを施している。さらに、タイヤハウス内のエアを効率的に抜くことなどで、空気抵抗を減らしながらダウンフォースを増加させるセッティングとした。
また、課題のひとつであったドライバー環境改善のため、コクピット内への導風経路も変更した。
【シャシー】
定評のあるハンドリングをさらにリファインすべく、ロングホイールベース化、リヤトレッド拡幅、フロントサスペンションストローク増加などのメニューを盛り込んだ。
ファルケンタイヤは、コーナリングフォースを改善しつつ、耐摩耗性を見直す改良が盛り込まれており、タイムロスの低減とラップタイムの安定化を狙っている。
フロントサスペンションのバンプストローク増は上下左右の入力の多い区間に対応し、また効率的補剛、電気ハーネスの簡素化、外装部品の再設計による徹底した軽量化、重量配分の最適化などのメニューはくねくねと曲がりくねった中低速セクションで効果を発揮すると目論んでいる。
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