新型ランドクルーザーの納期が長過ぎる! 公式発表は「1年以上」だが実際には2年以上とも… ランクル人気の背景に転売業者の暗躍
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:島村 栄二・TOYOTA
2021年8月に発売された新型ランドクルーザー300に、異例ともいえる納車待ちが発生している。その納期は2年待ちや3年待ちとも噂されており、トヨタでもランドクルーザーの公式サイトトップに大きくスペースを割いて『<新型ランドクルーザー>納期目途に関するご案内』と記載し『納期は1年以上となる見込みです』と詫びているほどだ。
ランドクルーザー300の納車待ちが長期化する背景には、国外への輸出を目論む業者の存在があるという。カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎がレポートする。
新型ランドクルーザー300の納車待ち、都内の販売店では「納期は2年以上」との回答も
2021年8月2日に発売されたばかりのトヨタ 新型ランドクルーザー(ランドクルーザー300)だが、納期が大幅に遅延していることでも話題を呼んでいる。昨今は新型車発売前から予約受注を行うことが多いため、このような納期遅れの話題は良く聞かれるようになったが、ランドクルーザー300の場合は特に大幅な納車待ちが発生している。
23区内のトヨタ販売店に尋ねたところ「ホームページなどでは1年以上と案内されているが、現時点(2021年9月上旬)では2年以上に延びている」と述べた。
トヨタ ランドクルーザー300は、全てが日本国内で生産される。販売は中東などが中心で海外でも人気が高いため、日本割り当て分の納期は大幅に遅れてしまった。
トヨタ販売店で商談の際には、転売しない趣旨の誓約書も求められる異常事態
新型ランドクルーザー300をトヨタ販売店で購入する時は、転売をしない趣旨の誓約書も書かされる。異例なことだが、購入予約者の中に海外への輸出を見込んで購入する業者が多いとみられるためだ。
トヨタのランドクルーザー開発者はこう説明する。
「複数のランドクルーザーを購入して、高値で売却すると、本当に乗りたいお客様に届かない。それを防ぐために誓約書を用意した」
先代のランドクルーザー200などから乗り継ぐ優良顧客を待たせるのは、トヨタとしても本望ではないのだろう。
販売店では以下のように述べた。
「納車前に転売目的だと分かれば、契約を取り消させていただく場合もある。また購入後に投機のために転売したことが分かると、その後の取り引きを断わる場合もある。しかし普通に購入されたお客様が、例えば転勤などの理由で転売するのであれば、まったく問題はない」。
世界的なランクル人気に伴う中古車需要が高値で推移する流通価格を支え続ける
転売が生じる背景には、ランドクルーザーの世界的に高い人気がある。残価設定ローンの3年後の残価率(新車価格に占める残価の割合)は、ガソリンのZXが70%、ディーゼルでも67%に達する。一般的には3年後なら43~48%だから、ランドクルーザーは際立って高い。この残価率と転売禁止の誓約書は、根底では繋がっている。
事実、旧型のランドクルーザーの中古車は国内のみならず海外での中古車需要が旺盛とあって、国内で開催される業者向け中古車オークションでも、常に高値の取引が行われている。日本では過走行とされる走行距離20万キロ超の車両や事故修復歴のある車両でも、引く手あまたの状態にある。
トヨタ 新型ランドクルーザー300は優れた商品だが、市場の混乱を招いていることも事実だ。増産は難しい判断だが(増産したらその後も同じ生産ペースを維持しないと生産設備にムダが生じる)、なるべく対応して、納期を抑えていただきたい。
[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:島村 栄二]
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