人気のヤリスクロス、選ぶならハイブリッドそれともガソリン!? 価格差を燃費で埋めるのは困難、それでも将来の価値を考えればハイブリッドを推す
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:TOYOTA
トヨタのコンパクトSUV「ヤリスクロス」が人気だ。2021年上半期(2021年1月~6月)で約5万2590台、月平均でおよそ8800台を売っている。コンパクトで扱いやすいサイズに加え、低燃費なのも大きな魅力。なかでもハイブリッドモデルは27.8km/L~30.8km/L(FF)と圧倒的だ。いっぽう価格の安さも魅力のガソリンモデルも18.8km/L~20.2km/L(FF)で、こちらも十分魅力的。果たしてどちらを選ぶべきなのだろうか。
ヤリスクロス、ガソリンモデルとハイブリッドモデルの価格差はおよそ37万円
トヨタ ヤリスクロスには、価格の安い直列3気筒 1.5リッターガソリン車と、燃費に優れたハイブリッド車が設定され、駆動方式はそれぞれFF(前輪駆動)と4WD(四輪駆動、ハイブリッドはE-Four)が用意されている。
基本グレードは3タイプあり、価格差は同グレード間で37万4000円となっている。
ヤリスクロス ガソリンモデル(FF)のカタログ燃費は18.8km/L~20.2km/L[WLTCモード燃費、以下同]。これに対し、ヤリスクロス ハイブリッド(FF)のカタログ燃費は27.8km/L~30.8km/Lとなる。リッターあたり9~10kmの差が生じる。
この燃費差を大きいと感じるか、意外とガソリン車も燃費が悪くないなと感じるかはひとそれぞれかもしれない。ただ多くの方が気になるであろう点は、37万4000円という価格差が、果たして燃費差で埋められるのだろうかという点だ。
ヤリスクロス、ガソリン車とハイブリッド車の価格差を燃費差で埋めるには14.5万キロ走らないとならない
あらためて、トヨタ ヤリスクロスのガソリン車とハイブリッド車の価格差37万4000円を、リッターあたり9~10kmの燃費差で埋めることが出来るかどうかを調べてみよう。今回は最上級グレード「Z」のFFモデルで比較してみた。
ガソリン代を150円と想定した場合の燃料代を、カタログ燃費を目安に計算してみよう。あくまでもWLTCモード燃費を基準とした机上の計算だから、リアルワールドでの実燃費に基づく厳密なものでない参考値である点は、念のため先にお伝えしておく。
5万キロを走行した際の燃料代は、ガソリン車39万9836円に対し、ハイブリッド車26万9784円。10万キロを走行した際の燃料代は、ガソリン車79万7872円に対し、ハイブリッド車26万9784円となる。
10万キロ走行しても、単純なガソリン代の差額は25万8304円で、およそ37万の価格差を埋めるまでには至らない。この先14万5000キロを走行して、ようやく差額37万4541円という計算になる。
エコカー減税などでハイブリッドは8万円以上優遇! 下取り価格も“環境に配慮したエコカー”のハイブリッドが有利だ
上に記したヤリスクロスのガソリン車とハイブリッド車の違いは、ガソリン代とカタログ燃費をシンプルに比較したものである。実際にはハイブリッド車の場合、購入時に優遇されるポイント、いわゆるエコカー減税がある。
まず購入時の自動車重量税の優遇は、ハイブリッド車の場合およそ2万2500円。さらに環境性能割(従来の自動車取得税に代わるもの)で約6万3400円の優遇も得られる。
したがって、ヤリスクロス ハイブリッド購入時の諸費用からは、およそ8万5900円が節約できることになる。37万4000円の価格差が、29万円弱に縮まるのだ。これなら10万キロ少々の燃料代の差額で価格差は回収出来ることになる。
ヤリスクロスのガソリン車は、小型軽量なボディと相まってなかなか軽快に良く走る。これまでのガソリン車と比べれば、実燃費もかなり良好だ。
これに対しヤリスクロスのハイブリッド車は、ガソリン車を上回る低燃費性能に加え、モーターによる静かでスムーズな走りを体感出来る点も大きな優位点となる。2つを悩んでいるなら、まずはディーラーで試乗車を乗り比べてみると良いだろう。
将来のリセールバリューもハイブリッド車に追い風
環境問題の意識の高まり、そしてカーボンニュートラルに向けた取り組みの強化もあり、今後ますますハイブリッド車の需要は増していく。5年後には「まだガソリン車乗ってるの?」と言われる世界へ様変わりしているかもしれない。
そう考えるとこの先5年後、7年後の中古車価格(リセールバリュー)、つまりハイブリッド車の下取り価格はガソリン車より確実に有利な条件となるだろう。
およそ37万円の価格差は、確かに当初の支払い時に大きな差として負担となる。しかし長いスパンで考えれば、ハイブリッドを選ぶのが賢い選択となりそうだ。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:TOYOTA]
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