トヨタ FJクルーザー 実燃費レビュー【総評編】(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:トヨタ自動車(株)/オートックワン編集部
FJクルーザーは“希有な存在”
FJクルーザーは、BMW MINIやフィアット500のような小型車ではないが、同じくセルフサンプリング手法によって生み出されたクルマだ。
1960年から84年まで造られていたトヨタのランドクルーザー FJ40系のかたちを現代風にデフォルメし、シャシーやパワートレインなどをランドクルーザー・プラドと共用している。
ボディはひと回り半ぐらいオリジナルのFJ系ランクルよりも大きくなっているが、オリジナルの特徴をよくつかんでいる。
その上、現代のクルマとして一度見たら忘れられないような造形が施されている。
FJクルーザーがBMW MINIやフィアット500と違うのは、プラドを用いながら、ランクルFJ40系の延長線上にあることだろう。
ヘビーデューティなオフロード4輪駆動車にとって必須の装備である副変速機を省かずに備えているところは、カッコだけでない証拠だ。
副変速機が付いていれば、プラド同様に、道なき道を行くのも何の不安もない。
非常にマジメで、誠実なクルマ造りに感心させられてしまうが、同時に、「ヘタだなぁ」とも思ってしまった。
このクルマは、かつてのFJ40系のようなハードな極悪路などには行かないわけだから、副変速機などは省いてしまって、“なんちゃってオフロード4輪駆動車”だったとしても、誰も文句は言わなかっただろう。その方が軽くなって、燃費も稼げる。
でも、そのことを裏側から見れば、FJクルーザーは希有な存在となってくる。つまり、本格的なオフロード走行性能を、いま風のイケてるかたちで両立できているわけだから。
FJクルーザーの価値は、そこにある。カジュアルなんだけど、本格的。
世界的にも、同じようなクルマはありそうでない。
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