テスラを追え!欧州プレミアムEVスポーツの行方【ジュネーブショー2018】

ついに本格化したテスラ包囲網作戦

2017年、世界で販売されたEVの総数は142万台だ。

その約半数は中国で、メーカーではBYDなど中国地場メーカーが上位を占める。

また、世界市場でのEV累積販売台数では日産 リーフがトップ。これをテスラが猛追している状況だ。

テスラはロードスターに始まり、現在主力のモデルS、その進化版であるクロスオーバーのモデルX、さらに価格が比較的低い普及型のモデル3の量産が始まったところだ。

こうしたテスラが得意とするカテゴリーを、一般的にプレミアムEVスポーツと呼ぶ。現状では、テスラの独り勝ちだ。

そのため、プレミアム系の自動車メーカーは、世界市場でEVシフトが叫ばれる中、テスラの牙城を崩すべく、プレミアムEVスポーツへの本格参入に向けた準備を急いでいる状況だ。

打倒テスラの最右翼はポルシェ

3月6日にプレスデー初日を迎えた、スイス・ジュネーブモーターショー2018。

注目が集まったのが、プレミアムEVスポーツだ。

中でも目立ったのが、ポルシェだ。記者発表でポルシェ幹部は「我が社として初めてのEVとなる“ミッションe”を来年発売する」と明言したのだ。テスラ モデルSとのガチンコライバルと目されるミッションeは、北欧の公道での走行テストがスパイフォトされるなど、量産開始が近づいているとの情報はあった。発売時期は、2019年~2020年にかけて、との噂があったが、今回の発表で2019年発売が確定した。

さらに驚いたことに、ポルシェはテスラ モデルXへの対抗意識を表面化させるようなコンセプトモデルを発表したのだ。それが、ミッションe クロスツーリスモだ。ミッションeをベースに、背の低いクロスオーバーに仕上げた逸品だ。外観デザインは、ミッションeの雰囲気を十分に残しながらも、他に類のないポルシェらしいい独特のフォルムを実現した。ドア形状は、テスラ モデルXのようなガルウイングではなく、一般的な4ドアを採用した。

公開されたミッションe クロスツーリスモのイメージビデオは、サーフィンやスノーボードなどを題材として、アクティブな生活シーンでの実用性を強調した。ポルシェ幹部は同車の販売時期について「今回の発表で市場の反応をみるが、販売時期はSoon (近い)」と表現し、メディアの関心をあおった。

VWグループは続々にプレミアムEVスポーツ導入

この他、ジュネーブショー2018では、VWがI.D. VISSION、アウディがe-Tron EVプロトタイプなどポルシェと同じVWグループからのプレミアムEVスポーツのワールドプレミアが相次いだ。

また、ジャガーもSUVのEVであるI-PACEの量産型を公開するなど、ドイツ以外の欧州メーカーもテスラへの挑戦状を叩きつけている。

日系メーカーではプレミアムエントリーモデルのUXを発表したレクサスが、1月の米デトロイトショーで発表したLF-1リミットレスについて「(量産時は)プラグインハイブリッド車だけではなく、EV、燃料電池などあらゆる次世代パワートレインに対応する」と明言している。

このように今、世界各地でテスラ包囲網が形成されようとしている。

ポルシェミッションeの発売となる2019年は、プレミアムEVスポーツ元年になりそうだ。

[Text:桃田 健史]

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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