三菱 eKスポーツ 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:森山俊一
「eKワゴン」の派生機種ではなく、スポーティモデルの新型車として登場。
昨年10月に誕生した三菱の新しい軽自動車が「eKワゴン」。コンスタントに月平均1万4千台以上の販売を続ける人気ぶりは、居住性を優先したパッケージングや楽しい発想が受け入れられているのだろう。けれどもNAだけのエンジン設定に対して、余裕の走りが得られるターボエンジン搭載を望む声は少なくなかった。
待望のターボモデルが登場したのは9月の上旬。ところが単なる「eKワゴン」の派生機種ではなかった。プラットフォームこそ共通だが、フロント回りのボディパネルを一新。ボディ剛性や足回り&マウント類の強化も図った新型モデルだった。「eKワゴン」に対する「eKスポーツ」は、ワゴンRやムーヴのターボモデルとは一線を画している。ライフとライフダンクの位置付けに近いけれども、「eKスポーツ」はNAエンジンも搭載しているのが特徴だ。
こだわりは、シンボルマークと統一感のあるブルーを内外装に装飾したことだ。
シンプルで凹凸のない面構成でスポーティ感を演出した「eKスポーツ」は、やんちゃな軽自動車とは対照的な大人っぽさが漂う。グリル&サイドスカート、ステアリングコラム上部、シート地には、Sをモチーフにした楕円のシンボルマークを配置して、ブランド志向を前面に打ち出している。ブラック基調のインテリアは、アナログのタコメーターとデジタルのスピードメーターというハイブリッドメーターが目を引く。フロントシートは5:5分割のベンチシートを採用。一見、ホールド性に欠けるように感じるが、連続するコーナーを駆け抜けるとしっかり体をサポートしてくれるのがわかる。ニット地の座り心地、肌触りも好印象だった。
実用性は、パッケージングに自信を持つ「eKワゴン」を踏襲。移動式プチごみ箱、スケルトンのカップホルダー、ドアポケットの仕切りにもなる霜取りクンといった、ユニークな装備も変わらない。
軽自動車の域を超えた走行フィールに感心させられる。
ハイパフォーマンスモデルの「R」に積まれているのは、3気筒SOHCインタークーラーターボエンジン。最高出力は軽規制枠の64ps/6000rpmを発揮するが、9.5kgm/3500rpmの最大トルクは決してトップレベルではない。ところが、アクセルを全開にした加速感は期待をはるかに上回っていた。確かに、DOHCではない分、高回転域のレスポンス感はライバル車に劣る。だけど発進からトルク感が得られ、なおかつ車速も十分に伸びていく。軽自動車特有の荒々しさがないことと、高い静粛性を持ち合わせていることにも驚かされた。このクルマの仕上がりは、コンパクトカー以上といっていい。
足回りもローダウン仕様のドレスアップ派に比べると、かなりセッティングが煮詰められている。しなやかなハンドリングとジワッと踏ん張るフットワークは、走るワクワク感につながるフィーリングだ。155/55R14インチタイヤを履き、フロントに14インチディスクが奢られたブレーキの効きもワンランク上だった。唯一の不満は、コラムシフトの操作感の節度がちょっと不足気味なこと。D4、D3の変速よりは、オーバードライブの方が使いやすいだろう。
走りの楽しさを身につけ、新たな軽自動車ウォーズに挑む。
軽自動車の場合、最速バージョンは常に4WDが担ってきた。タイヤが細く、パワーに規制があるため、四輪で駆動した方が有利だったのだ。けれども「eKスポーツ」にその定説はあてはまらない。50kgの車重の差は、多少だけど発進加速のトルク感に影響。左右に連続するコーナーでも、挙動が気持ちもったりする。もちろん、背の高いタウン派やドレスアップ派に比べればキビキビ感は味わえるけど、2WDほどの気持ちよさは感じられなかった。
走りの面白さを身につけた「eKスポーツ」は、久々に気持ちいい汗がかけるスポーツマインドに響くクルマだった。けれどもこの秋、軽自動車は一斉フルモデルチェンジから4年を迎え、ライバル車たちは次々に新型へとスイッチする。今年から来年にかけて、新しい軽自動車ウォーズが幕を開けるのだ。「eKスポーツ」の善戦に期待したい。
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