メルセデス・ベンツ GLクラス 試乗レポート

メルセデス・ベンツ GLクラス 試乗レポート
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タフなSUVでありながらSクラス並みの広さと豪華さ

GLはメルセデスではもっとも大きなSUV。全長は5mを超える5100ミリあり、全幅も2m近い1995ミリだ。

従来はMクラスがメルセデスのSUVとしては代表的なモデルだったが、GLクラスはさらにその上を行くSUVで3列7人乗りを特徴とする。メルセデスには他にカリスマ性を持つGクラスがあるが、GLクラスはこれに代わるものではなく、独自に存在する。内容はタフなSUVでありながらSクラス並みの広さとメルセデスらしい豪華さを併せ持つモデルを目指している。

この意味ではアメリカ人のために開発されたMクラスとは異なり、トラック的な味は皆無だ。搭載エンジンは5.5リットルのV8で387PS/54kg-mのパフォーマンスを誇る。エンジン特性もSUVらしくトルクバンドの広いもので、2.5トンもの重量があるGLクラスを軽々と高速域まで運ぶことができる。組み合わされるトランスミッションは7速ATだ。

メルセデスらしい威圧感とゴージャスさ

LLサイズのボディは当然ながら前後に長く、誰でも大きいな~と思う存在感がある。ただGクラスの様に平面を組み合わせたものではなく、ボクシーに見えながら現代的に曲面を使っている。 フロントはMクラスをいかつくしたようなものになっているが、メルセデスらしい威圧感がある。

インテリアはタフなSUVとは裏腹にゴージャスで、Sクラスほどではないもののドイツ流の端正なウッドパネルや、革をフンダンに使ったシートなどはいかにもメルセデスらしい。

各シートのレッグルームは広大ではないが、狭いとは決して感じないだけのスペースがあり、さらに2/3列シートはフラットになるので荷物の収納には大きな威力を発揮する。さらに前後に配置されたサンルーフや、3列目まで配慮された空調のコントロールなどが全席を快適にというコンセプトが生きている。

ロングドライブでも快適なユッタリした走り

メルセデスのフルタイムAWDシステムは4マチックと呼ばれるが、GLクラスに採用されているのは基本的にはMクラスの延長線上にあるもので、状況に応じて4輪を電子制御して駆動力、ブレーキ力をコントロールする。またオフロードモードもあってベテランオフロードドライバーのテクニックが容易に手に入る。イージーゴーイングに作られているのだ。.

走りは滑らかで、弟分のMクラスに比較するとはるかにおとなしい。エンジンは低速から豊かなフラットトルクを出すのでオンでもオフでもユッタリした走りが出来る。しかもその気になると6000回転まで一気にまわり、俊敏な加速が味わえる。

強大な加速力と重い重量とくれば止まるのが不安になるが、ストロークに応じてジワリと止まるのがもうひとつの魅力。旋回性能はさすがにこのサイズでは機敏というわけには行かないが、LLクラスSUVらしいおっとりとしたハンドリング性能が好ましい。乗り心地はソフトでロールは大きいが、ふわりとしすぎて不安を覚えるようなことはない。つまりロングドライブでも快適である。

SUVのトップカテゴリーに参入したメルセデスの意地

GLクラスは1280万もする超豪華なSUV。それだけにオフロードをガンガン走るというよりもオンロードをSUVらしくクルージングする能力が求められる。高いオフ性能はSUVとしてのアイデンティティといざという時の保険だ。SUVらしいクルージング性能とはゆったりとした安定感であり、GLクラスは見事にその要件を満たしている。一昔前のクロカン車のような高速でフラフラするのは許されない。

得意なのはこのような高速などのクルージングや大きなコーナーの続く山道などで、ボクシーで見切りが良いといっても、やはり全幅2m近いボディはゴミゴミした街中は苦手だ。特に左ハンドルのみなので右側視界が妨げられる太いAピラーなどはややわずらわしい。GLクラスはSUVのトップカテゴリーに参入したメルセデスの意地であり、北米市場を中心に販売計画を立てた一部のラグジュアリーの層に向けたクルマである。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

MOTA編集部
監修者MOTA編集部

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