スポーツカー日本代表「マツダ ロードスター」開発者に訊く! ~マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー~(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
希少な日本製スポーツカーの代表格
今年に入りトヨタ 86とスバル BRZが登場したものの、日本車にはスポーツカーの品ぞろえが極めて少ない。
そんな中で、長く孤軍奮闘し続けているのが「マツダ ロードスター」だ。
1989年に初代モデルを投入して以来、日本の道路環境に合ったコンパクトなスポーツカーとして根強い支持を得ている。現行型は2005年に一新された3代目。2012年7月には一部改良を実施して、商品力をさらに高めた。
◎参考:
■マツダ ロードスター 一部改良 ~ソフトトップ車とRHT車でキャラ分け明確に~[2012年7月5日]
一部改良における開発の狙いなどを、マツダ株式会社 商品本部 主査の山本 修弘氏と、同じくマツダ 車両開発本部 操安性能開発部 操安性能開発グループの梅津 大輔氏に伺った。
※本文中は敬称略
「人馬一体」の走りはさらに進化
■オートックワン(以下:AC1)今では20年以上の歴史を持つロードスターですが、今回の一部改良ではどのような点を新しくされたのでしょう。
■マツダ 山本主査(以下:MY)ロードスターの開発では「人馬一体」の走りを進化させること、さまざまな喜びをお客様に提供すること、この2点に取り組んでいます。RHT(リトラクタブル・ハードトップ)の設定、特別仕様車なども、このクルマ造りを深める方向で行いました。
7月に改良を行った背景には、歩行者保護対策があります。これをきっかけに、新たな商品開発を行いました。
一部改良の内容は大きく分けて3つあります。
まずは『デザイン』。ロードスターの楽しさとして「走る/曲がる/止まる/見る/触る/聴く」という6つの要素がありますが、「見る」と「触る」がデザイン変更に当てはまります。
初代ロードスター譲りの顔つきに生まれ変わる
そしてデザインは歩行者保護対策と関係しております。
最近のクルマはヘッドランプの下側がアゴを突き出したように張り出していますが、これは「足払い」といって、歩行者に接触した時に車両の下側に巻き込まないための配慮です。この点を満たした上で、ロードスターらしい「シンプル/ファン/フレンドリー」の新しい表現を行いました。
■AC1:具体的にどの部分を新しくしたのでしょうか。
■MY:従来以上にアグレッシブにしたい、低重心でスポーツカーらしく見せたいと考えて、初代ロードスターのフロントマスクに見られる立体的なデザインを採用しました。バンパーよりも奥まった部分にグリルがあるのです。今回の改良ではグリルを47mm後退させ、フロントマスクに奥行を持たせました。生き物を感じさせる見栄えです。
フォグランプが収まるベゼルも変更し、直線的にしてボディを低く見せています。高速時の浮き上がりを抑えるため、フロントマスクの下側にはチン・スポイラーも標準装着しました。
「タイトスポーツ」と「プレミアムスポーツ」、2つの世界観を明確化
■AC1:ソフトトップとRHT(パワーリトラクタブルハードトップ)の違いはどうでしょうか。
■MY:従来型ではソフトトップはナンバープレートを少し高い位置に装着するなど違いを持たせましたが、ひとつのタイプに共通化しました。ソフトトップを含めてナンバープレートはグリルの内部に収まります。
この点では違いがなくなりましたが、2タイプで世界観を明確化しています。ソフトトップ車は「タイトスポーツ」、RHT車は「プレミアムスポーツ」のコンセプトをそれぞれ掲げています。
そのためヘッドランプはソフトトップがブラック塗装に、RHTはメッキ仕上げになっています。アルミホイールもソフトトップはダークガンメタリック塗装、RHTはシルバーです。
■マツダ 梅津氏(以下MU):初代ロードスターからの特徴として、滑らかな走りの楽しさがあります。
大切なことは荷重移動がしやすいこと。
「Gを軽く回す」というか、コーナリング時にはピッチ(車両前方の下降)~ロール(ボディの傾き)~ヨー(車両の回転)という一連の動きをスムーズに進行させたい。コーナーの手前で制動すると前輪に荷重がかかり、徐々にブレーキを戻しながらターンイン。外側のタイヤに荷重が移っていきます。そしてコーナーを抜ける時に後輪へ荷重をかけていく。これの動きをキレイに繋げたい。
重要なのは前輪側の荷重を徐々に抜く時のブレーキと、後輪に荷重を移していく時のアクセルのコントロール性です。ブレーキの変更も止まるためではなく、曲がるために行いました。
■AC1:おおっ。明快で、突き詰めた開発ですね!
トレンドとは真逆だけど・・・積極的な荷重移動こそ「スポーツドライビング」の極意!
■MU:ドライバーが荷重移動を積極的に行うことで、クルマの潜在的な能力を引き出せます。ドライバーの技量に基づいてクルマが走行性能を発揮する。これがスポーツドライビングだと思います。
日本を含む世界の自動車メーカーでは、荷重移動を伴わないフラットな姿勢を保ち、タイヤの能力によって曲がる性格のクルマもあります。また、前後、あるいは左右輪のトルク配分を電子制御で可変させ、車両の機能により積極的に曲げるクルマも増えました。現代のクルマが持つひとつの価値ですが、私たちは対極にいます。
マツダ ロードスターを操るのはあくまでもドライバーです。
車両の動きも、ドライバーに対する依存度が高い仕上がりとしました。
■AC1:なるほど、確かに先進の制御技術を備えたクルマは、安全に速く走れます。ただし運転の上手と下手を自覚しにくいところがありますね。もちろん、急制動を行って危険を回避する時に横滑りを防ぐ安全装備は不可欠です。しかしドライバーが不用意にアクセルを踏み込み、本来ならば旋回軌跡が拡大するところを、車両側が操舵角度に応じて曲がらせるような機能までいくと、賛否両論あるところでしょう。
「今のコーナー、失敗しちゃった」
と分かった方が、運転は上達します。その意味でロードスターは上手と下手が分かりやすく、ドライビングの上達も実感しやすいクルマですね。
■MU:まさにその通りです。
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。