マツダ 新技術i-stop試乗レポート(3/3)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:吉澤 憲治(編集部)
デキが良いだけに、市販価格が気になる
実際に試乗した印象は、停車時にエンジンが良く止まるなと思った。わざとじんわりとブレーキを踏んで、ゆっくりとクルマを停止させたとき以外は、エアコンを使っていても確実にエンジンが停止した。じんわりブレーキを踏んだときも、停車後一定時間内にブレーキを強く踏み込めばエンジンが停止する。
エンジンが止まっている間はガソリンを消費しないから、停止時間が長くなるほど燃費が良くなる。 エンジンが停止するときにはブルブルというちょっとしたショックを感じた。再始動に向けてピストンをちょうど良い位置に停止させることも影響しているのかもしれない。それに比べると再始動にはかかる時間も短いし、ショックはより小さいものとなる。ブレーキペダルから足を離してからエンジン回転が500回転に達するまでの時間が0.35秒という説明があったが、これはかなり短い。
ドライバーがブレーキからアクセルペダルを踏み替えるのに要する時間が0.4秒ほどと言われており、アイドリングストップ機構の始動時間はそれより短くすることが必須と言われているが、マツダのi-stopはそれよりも短い時間で再始動する。
アイドリングストップ機構を採用したほかの車種と比べても、マツダのi-stopは明らかに素早く小さい振動で再始動している。これは評価して良いだろう。
気になるのは価格だ。日本では残念ながらミラやヴィッツなどのアイドリングストップ採用車があまり売れていない。これはアイドリングストップ機構による価格アップ分を、燃費で取り戻すことができないためだ。マツダのi-stopもそのあたりが気になるのだが、横滑り防止装置のESC(マツダではVDC)と組み合わせることによって、トータルで価格を抑える考えのようだ。
アイドリングストップ機構は、ほかのメーカーでも盛んに研究開発が進められており、トヨタでは既にiQ用に新しいアイドリングストップ機構の開発を終えている。ここ1~2年のうちに各社のアイドリングストップ機構が出揃うことになるだろう。
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