「まさかコレが…」爆発・火災の原因!? 夏の車内に残すと危険なモノとは
- 筆者: MOTA編集部
「車に置きっぱなしのモバイルバッテリーやライター、爆発しない…?」連日の記録的な暑さで、そう不安に感じている方も多いのではないでしょうか。そして、その心配は決して大げさではありません。
この記事では、実際の事故事例やJAFの実験データに基づき、夏の車内に潜む「本当に危険なモノ」や「実はトラブルのリスクになるもの」を徹底解説。事故が起こる前に、知っておくべきことをまとめました。
車内は60℃付近、ダッシュボードは80℃付近まで上昇
2025年現在、気温35℃は当たり前となりました。そんな中で、車内は何℃になっているかご存じでしょうか?
JAF(日本自動車連盟)の実験データは衝撃的です。外気温35℃で行われた車内温度計測では最高57℃、ダッシュボードは79℃という結果となりました。
車のボディカラーが白でも黒でも、危険性は同じ。JAFのテストでは、両者の車内温度の差はわずか5℃程度しかなく、どちらの色でも危険な温度に達します。
フロントウインドウからの日差しを遮る「サンシェード」を使っても、車内は最高50℃、窓を3cm開けても最高45℃まで上昇し、決定的な対策にはなりません。
特に、直射日光が当たるダッシュボードは前述のとおり79℃と高温です。そこに置かれたあらゆる物が、なんらかのダメージを受けるのは想像できますよね。
| 車内最高温度 | ダッシュボード最高温度 | |
|---|---|---|
| 対策なし黒ボディ | 57℃ | 79℃ |
| 対策なし白ボディ | 52℃ | 74℃ |
| サンシェード装着 | 50℃ | 52℃ |
| 窓開け(3cm) | 45℃ | 75℃ |
| エアコン作動 | 27℃ | 61℃ |
夏の車内が高温状態になる理由とは
本題に入る前に、なぜ車内はこれほど高温になるか、簡単に解説します。
車内が高温になる原因は「温室効果」と同じ原理です。太陽の光が窓ガラスを通り抜けて車内に入り、熱が密閉された空間にこもることで、外気温をはるかに上回る温度まで上昇します。
では、この高温状態において、車内に置いておくと危険なモノはどんなものがあるのでしょうか?
【危険度:大】爆発・火災リスクがあるモノ
ここから本題です。爆発・火災のリスクがあるモノを【危険度:大】、爆発・火災ほど危険ではないがトラブルのリスクがあるモノを【危険度:小】と大きく2つに分けてご紹介します。
まずは【危険度:大】です。文字通り、爆発や火災に直結する最も危険性が高いアイテムです。
スマホ・モバイルバッテリー・加熱式たばこ
スマホ・モバイルバッテリー・加熱式たばこなどに使われるリチウムイオン電池は高温に非常に弱く、「熱暴走」という連鎖反応を起こし、バッテリー内部の物質が急激に分解し、可燃性ガスが発生、最終的に爆発や発火に至ります。
実際にNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)の実験では、晴天時に放置されたモバイルバッテリーから発火し、車両火災に至る危険性が確認されています。
PSEマークを確認
車内(特にダッシュボード上)に置き忘れないことが重要ですが少しでも発火の可能性を下げるためにも、リチウムイオン電池を使った商品は、国の安全基準を満たした証である「PSEマーク」がついた製品を選びましょう。マークのない非正規の製品は、特に危険です。
水入りペットボトル・メガネ・吸盤など(収れん火災)
意外な盲点が、飲みかけの水入りペットボトルやメガネ、カーナビ固定用の透明な吸盤です。これらが凸レンズとなり太陽光を一点に集中させ、シートなどを発火させる「収れん火災」を起こすことがあります。
<実際の事故事例:ペットボトルによる収れん火災>
2024年9月、浜松市で車内に置かれたペットボトルが原因とみられる車両火災が発生しました。水の入ったペットボトルがレンズの役割をし、太陽光を集めて発火する「収れん火災」の可能性が指摘されています。
飲みかけのペットボトルやメガネは日の当たらないところに置く、吸盤などは窓ガラスに貼り付けないといった対処だけで、火災のリスクを避けることができます。
スプレー缶・ガスライター
制汗剤や冷却スプレー、使い捨てガスライターは、高温で内部のLPガスが膨張し、容器が耐えきれずに破裂します。漏れ出た可燃性ガスに静電気などの火花が引火すれば、一瞬で車両火災につながる二重の危険性があります。
ライターをダッシュボードのトレイに置きっぱなしにしている車をよく見かけます。サンシェードをしていない場合、ダッシュボードは80℃近くまで高温になる場所であるため、爆発のリスクが高いことは容易に想像できますよね。
ライターなどの爆発のリスクの高いものは、できるだけダッシュボードに置きっぱなしせず携行し、使わない場合は自宅に保管しましょう。
アルコール消毒液
コロナ禍で車内に常備する人が増えましたが、これも極めて危険です。
熱で容器が破損するだけでなく、揮発したアルコール蒸気は、主成分であるエタノールの引火点が約13℃と非常に低く、静電気などのわずかな火種で引火します。
夏場に静電気は発生しづらいですが、タバコの火など小さな火種で発火する危険性があります。携行するか、アルコール未使用のウエットシートなどの利用がおすすめです。
【危険度:小】トラブルのリスクがあるモノ
火災には至らなくても、愛車や財産にダメージを与えるアイテムです。
乾電池
電池の寿命が短くなり、腐食性の電解液の漏出することによって、車内の精密機器や周辺の内装を損傷させる可能性があります。
医薬品
薬は高温の環境下に置かれることで医薬品の有効成分を分解・変質させ、その効果を減少または消失させます。インスリンなど生命維持に不可欠な薬剤にとっては、これが致命的な結果を招く可能性があります。
食品
20~50℃の温度帯ではサルモネラ菌や病原性大腸菌といった細菌が最も活発に増殖するため、高温の車内に食品を放置すると腐敗と食中毒のリスクがあります。車内に放置せず、クーラーボックスや冷蔵庫を活用しましょう。
炭酸飲料
JAFのテストでは、高温の車内に放置された炭酸飲料の缶が破裂する事例が繰り返し確認されています。これは猛暑日だけでなく、外気温23℃の比較的過ごしやすい日にも発生しており 、車内を汚損し、電子機器を故障させる原因となります。
ETCカード
ETCカードに内蔵されているICチップの動作保証温度は45~50℃前後と、夏の車内温度よりもはるかに低く設定されています 。熱で変形・ICチップが故障し、料金所のゲートが開かない等のトラブルの原因になります。
化粧品
高温によって、化粧品に含まれる油分と水分の分離、口紅などのワックス成分の溶解、そして製品全体の品質劣化を引き起こします。これにより、肌への刺激が出る恐れや、製品が使用不能になる可能性があります。
おもちゃなどのプラスチック製品
溶けたプラスチックは、ダッシュボードや内装に取れない汚れを残す可能性があります。
【命の危険あり】人間・ペットは車内に残さない
これまで車内に置き忘れると危険なモノについて解説してきましたが、最も注意したいのは人間、特に子どもの命の危険です。
JAFのテストでは、気温35℃の日にエアコンを停止すると、車内の暑さ指数(WBGT)はわずか15分で人体にとって「危険」なレベルに達することが証明されています。
「ちょっとコンビニで買い物するだけ」「子どもが寝ているから起こしたくない」など、その「少しの間」という油断が、最悪の事態を招くかもしれません。
エアコンをオンの状態にして車を離れても、子どもやペットが誤ってエアコンスイッチをオフにしてしまう可能性もあります。そのため、いかなる理由があっても、子どもやペットを車内に残して離れるのは絶対にやめましょう。
また、真夏に子どもやペットの車内閉じ込めが発生してしまった場合は、直ちに救急(消防・救急車)に通報しましょう。必要であれば、子どもやペットから最も遠い窓を割り、救出することも検討してください。
まとめ:車を降りる前・乗り込む前にやるべきこと
夏の車内の危険は、少しの注意で回避できます。車を降りるときは、以下を確認しましょう。
車内温度上昇を抑えることも重要
気を付けていても、夏の車内では危険物と化すものを持ち出し忘れる可能性があります。そこで、以下2点も実施しておくと、車内温度の上昇を抑えることができるため、爆発や発火などの可能性を下げられるかもしれません。
1. サンシェードを活用する
直射日光を防ぎ、ダッシュボードの温度上昇を大幅に抑制できます。JAFのテストでは、最高温度を約25℃も低く抑えられたという結果が出ています。
2. 少しの窓開けと日陰駐車
窓を2〜3cm開けることや、建物の影や木陰に駐車したりするだけでも温度上昇を防げます。ただし、窓を開ける場合は防犯には十分に注意してください。
乗り込む前に換気も重要
最後に、車に乗り込む際は、まず助手席の窓だけを開け、運転席のドアを数回開閉して車内の熱気を逃がす「ドアパタパタ」も効果的です。万が一ガスなどが充満していた場合でも、空気を入れ替えることで、引火などを防ぐことができます。
40℃に迫るほど暑いこの夏、正しい知識と習慣で、車内での事故を防ぎましょう。
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