2016年のF1は面白い展開になる?合同テストとホンダ人事から見る今年のF1界(2/3)
- 筆者: 山口 正己
新体制の「松本-長谷川」ラインは第二期黄金時代と重なる
そう言いたくなったのは、2月23日に発表されたホンダのモータースポーツ関連人事に、とある印象を持ったからだ。
ドライバーの名前を聞けば知ってる人も多いと思うが、あの1988年、アイルトン・セナとアラン・プロストによって、マクラーレン・ホンダが16戦15勝という凄まじい成績を記録した黄金時代を思わせる“風のような何か”である。
その“風のような何か”とは、ザックリとした全体像である。マクラーレン・ホンダで向かうところ敵なしの全盛期の1988年当時のホンダは、川本信彦社長がモーターレーシングのすべての権限を掌握し、桜井淑敏総監督が指揮し、後藤治監督にリーダーをバトンタッチして凄まじいポテンシャルを発揮した。
そして今回、ホンダは人事を告げる報告書の中で、「HondaとしてF1に関わる全般の統括・監督責務を担い体制を強化するため、本田技研工業(株)にF1担当役員を新たに設置いたします」と伝えている。
今回発令された4月1日からの新人事で、ホンダはモーターレーシングの代表者に、本田技術研究所社長に松本氏を置き、F1の代表者に。そして、開発・製造・運営等の領域全般を担うF1プロジェクト総責任者に、前任の新井氏に代えて長谷川氏の就任を伝えた。
松本F1担当役員は、初代フィット開発の中心人物で斬新なアイデアマンとしても知られ、現在の八郷社長と社長レースを争ったともいわれる。要するに社長の器である。その人物が、モーターレーシングの責任者に着任した。全権を持つ川本社長時代と同じ立場と認識できる。
そして、F1の総責任者に任命された長谷川氏は、ホンダ第三期F1時代にチームを任された経験者でもあり、人選に間違いがないことを証明している。
どんな物事もそうだが、代表者が何をすべきか知っている人物に現場を任せるという連携が非常に重要である。新体制の「松本-長谷川」ラインには、第二期黄金時代を築き上げた「川本-桜井」が重なり、そうした采配ができる八郷社長にシンパシーを感じた。
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