自律自動運転技術も独創を貫くホンダの秘策とは?(2/2)
- 筆者: 西村 直人
- カメラマン:本田技研工業
自律自動運転車両とのコミュニケーションという発想
2014年度よりJNCAPによる「予防安全性能アセスメント」がスタートした。このアセスメントのひとつに「車線逸脱警報装置」があるが、これは車線の逸脱傾向を光学式カメラセンサーが捉えると警報ブザーやディスプレイ表示でドライバーに報知するADASのひとつであり、この1年で急速に普及が進んでいる。
また、車種によっては警報などに加えてステアリングに振動を与え早期の回避動作を促すシステムも実用化されているが、体感警報とはこうしたステアリングへの振動に代表される手法だ。
Honda SENSINGではステアリングへの振動だけでなく、身体がクルマと触れるシートベルトに巻き上げ動作を加えたり、アクセルペダルに反力を加えたりすることで、実際の交通環境においてより効果的な危険回避を促すのだが、注目すべきは、危険な状態に近づく度合いに応じて、この体感警報も早出しとなり同時に力強くなっていくことにある。
例えば、「VSA」(車両挙動安定装置)の制御が入りそうになると、シートベルトの巻き上げがゆっくりと行なわれ車両の安定性が損なわれる傾向にあることをドライバーに知らせつつ、「衝突被害軽減ブレーキ」では警告機能にアクセルペダルの反力を加えブレーキペダルへの踏み換えを促進することで危険から遠ざかる運転を目指す、といった具合。
こうした体感を軸にした考え方は自律自動運転の分野でも主に視覚情報という形で踏襲されている。
独創を貫くホンダの次なる秘策に期待
2013年に東京で、そして2014年にはデトロイトで開催された「ITS世界会議」の場で披露されたホンダの自律自動運転では、自動走行の状態をLEDの色(緑/黄/白)で他車や歩行者に伝える試みが披露された。
LEDが緑色の状態は自律自動運転の進路上に問題がない(≒自動走行を継続する)ことを示し、黄色は進路上に他車を検知した(≒一時停止などスタンバイ状態になる)ことを表しながら、白色では他車や2輪車、そしてセニアカーとの車々間通信か、歩行者とのWi-Fi通信を行なっていることを伝えている。
このような自律自動運転車両とのコミュニケーションという発想は、今後の自律自動運転の実現に向けて欠かせない要素だ。独創を貫くホンダの次なる秘策に期待したい。
[Text:西村直人]
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