ホンダジェット、日本での引き渡しがついに開始 | ホリエモンらが手に入れた“空飛ぶシビック”、未来を変えるか!?

  • 筆者: オートックワン 編集部
  • カメラマン:オートックワン 編集部・ホンダ

ホンダの作る飛行機、ついに日本人の手へ

ホンダは2018年12月20日、ホンダジェットの「ファーストデリバリーセレモニー」を羽田空港 大型格納庫で行った。ホンダジェットは米国を始め海外で多くのユーザーが愛用しているが、日本のユーザーの手に渡るのは今回が初。ホンダにとっては、満を持しての“凱旋”となる。

自動車・バイクをはじめ数多くの製品を手掛けるホンダの“新型モデル”に迫った。

◆【画像】ホンダジェットのエンジン、真正面から見るとこんな感じ

ホンダジェットとは

ホンダジェットは、ホンダの航空機事業子会社である「ホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)」が製造する小型ビジネスジェット機。

主翼上面へのエンジン配置を始めとする独自開発技術により、クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能、静粛性および室内サイズが実現された。既に北米・欧州・中南米・東南アジア・中国・中東で販売されており、これらの地域に続いて日本でも発売される運びとなった。

日本に導入されるのは、ホンダジェットの最新モデルである「ホンダジェット エリート」。航続距離が約17%(+396km)延長されたことを始め、各種性能が向上している。

カラーバリエーションは、今回会場に展示されていた「アイスブルー」を始め「レッドパール」「クラシックブルーパール」「ディープグリーンパール」「イエローパール」「シルバーパール」「ルビーレッド」「モナークオレンジ」の全8色。

日本初のホンダジェットオーナー、購入のきっかけはテレビCM

ホンダジェットの引き渡しに先立ち、型式証明書の授与式が行われた。式典には国土交通省航空局長 蝦名邦晴氏が登壇し、HACI社長 藤野道格氏へ証明書が手渡された。

その後、ホンダジェットオーナーへのデリバリーセレモニーが行われたのだが、セレモニー開始前の時点では、報道陣にもオーナーが誰なのか知らされていない状態。詳細は当日会場で発表となった。

HACI社長 藤野氏に促され壇上に上がった日本初のホンダジェットオーナーは、「ドローンファンド」(正式名称:千葉道場2号投資事業有限責任組合)の代表パートナーを務める投資家の千葉功太郎氏。

ビジネスジェットとドローン、共に空を飛ぶものという共通点があることから、ホンダジェットに興味を持つのも自然な流れではあるが、なんと購入を検討するきっかけとなったのはテレビCMだという。

購入のきっかけとなったテレビCM

「毎週日曜日夜に放送されている『イッテQ』を見ているんですけれど、ホンダジェットのCMが毎週流れている時期があり、家族と見ながら欲しいなあ、欲しいなあと思って」ときっかけを語った。その後2018年6月に日本でも発売されることが発表されると、すぐに申込金を入金したという。

同時に、今回は自身を含む3人で購入し「共同オーナー」という形をとったと明かす千葉氏。千葉氏以外の2人を紹介するスクリーンには、グリー株式会社の共同創業者として知られる山岸広太郎氏、そして“ホリエモン”こと堀江貴文氏の名前があった。

ホリエモンも絶賛するホンダジェットのポテンシャル

千葉氏に続き登壇する堀江氏と山岸氏。共同購入にあたっては千葉氏が他2人に声をかけた形だというが、ホンダジェットに初めて乗ったのは堀江氏だという。

堀江氏は、ホンダジェットの印象について「(1970年代に)シビックがアメ車に殴り込んだぐらいのインパクト」とコメント。かつてアメリカで施行された「マスキー法」に、ホンダがCVCCエンジンで挑んだ過去を例に挙げ、航空機メーカーではなかったホンダが高性能ビジネスジェットを作り上げたことを称賛した。

千葉氏もそれに同調し、さらにホンダジェットの凄さを具体的に語った。

ホンダジェットのここがスゴい! その1:加速

現在、ホンダジェットを操縦する為の訓練を受けているという千葉氏。その中で、“見習いパイロット”としてコ・パイロット席(車でいうところの助手席)に座って搭乗したとき、最初に抱いた感想は「ゼロヨンのような加速」だという。

千葉氏によれば、ホンダジェットは「発進時、スポーツカーのゼロヨン(自動車の0-400mフル加速)のような加速をした後に、約200km/hでふわっと離陸する」という。また、離陸した後は1分間に1,300メートルのペースで上昇する。ちなみに、千葉氏が現在練習で用いている他社製の訓練機は500m/分の上昇だそうだ。

数々の名スポーツカーを生み出してきたホンダらしさが、ホンダジェットにも息づいていることを印象づけた。

ホンダジェットのここがスゴい! その2:操作性

続けて千葉氏が挙げたポイントは、操縦の操作性。ホンダジェットでは、コクピットにタッチスクリーンが取り入れられるなど操作のしやすさが追求されている。千葉氏の教習機と比べ「簡単すぎてヤバい」と表現し笑いを誘った。

HACI社長 藤野氏はこの点について、タッチスクリーンの採用にあたり誤操作の懸念から慎重に開発が進められたと明かした。その結果、スクリーン両端を掴みながらタップする、ということを念頭においたホンダジェットの操作系が作り上げられたという。

ホンダジェットのここがスゴい! その3:巡航高度

ホンダジェットの最大運用高度は43,000フィート(約13,100km)となっている。これは同クラスビジネスジェットより優れた数値。千葉氏によれば、この性能が安心感に繋がっているという。

「旅客機は35,000フィート~39,000フィートぐらいを飛行しているのですが、ホンダジェットは43,000フィートを飛行できるんですね。旅客機が飛ばない世界を飛べることで、“衝突することはない”という安心感を得られる。また、43,000フィートの世界は空気が薄いので、風切り音が少ないというメリットもある」と語った。

ホンダジェットが日本に根付くことで、日本のモビリティさえ変わる!?

現在日本に存在するビジネスジェット機は90機程度で、そのうち民間が保有するものは半数程度といわれている。しかし、ホンダジェットは現時点で国内から10機以上の受注を獲得しており、市場規模自体を拡大させるほどの勢いがある。

自分たちが所有することでビジネスジェットのインフルエンサーを増やしたい、と意気込む共同オーナー3人。堀江氏はホンダジェットの使い方について「北海道でロケット事業の打ち合わせをした後に、羽田空港でトランジットして、休みを沖縄でとる、みたいな生活を送りたい」と明かした。

法律面・環境面の整備さえ整えば、これから先そのようなライフスタイルを送る人が増えていくだろう。

近い将来、2018年は“ビジネスジェット元年”と振り返られることが起こりうるのかもしれない。

[筆者:オートックワン編集部 / 撮影:オートックワン編集部・ホンダ]

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監修者MOTA編集部

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