欧州Bセグ上級グレード 徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
1.2リッターTSIエンジン+7速DSG
全幅が1685mmであり、今回の中で唯一の5ナンバー車となる。シンプルでクリーンなフォルムに、ゴルフ似のフロントマスクが与えられたエクステリアは、これまでよりも上級移行した印象を受ける。
また、先に導入されていた1.4リッターのトレンドラインに対し、15インチアルミホイール、フォグランプ、クロームトリムなどが装備与されている。
パワートレインは、先だって話題を呼んだゴルフのトレンドラインと共通の、1.2リッター2バルブSOHCのTSIエンジンと7速DSGを搭載。同エンジンは最高出力が77kW(105ps)で、1550rpmという低いエンジン回転数から最大トルク175Nm(17.8kgm)を発揮する。
10・15モード燃費は、下の2モデルを大きく引き離す20.0km/hを達成している。ただし、中間加速についてはターボらしい力感があるが、エコカー減税への適合の影響か、低回転域ではやや線が細い。
駐車時などの微低速での細かい動きでちょっとギクシャクするのは、乾式単板クラッチを持つDSGの宿命だが、走り出してしまえば0.03秒でシフトチェンジをこなす、途切れのない加速フィールが楽しめる。ATのトルコンのような流体クラッチを介さないため、MTと同等にダイレクト感にも優れるのも美点である。
またトップギアでの100km/h巡航時でのエンジン回転数は、下の2モデルが約2900rpmであるのに対し、ポロは約2100rpmとだいぶ低く抑えられている。
VW車らしいシュアなハンドリングや、高速巡航時の安定感など、素性のよいフットワークも、期待に応える部分である。
軽快でソフトなフットワーク
ルーフラインだけでなく、A、Cピラーも弧を描き、ボディパネルも曲線を多用するなど、全体を柔らかいラインで包んだフォルムが特徴的。
フロントウインドウ上端を極端に後退させたゼニスウインドウは、室内にいるときだけでなく、視覚上もポイントとなっている。
1530mmという全高は、今回の中でもっとも高い。このクラスながら、フロントグリルやドアミラー付け根、ドアハンドル、サイドウインドウ下端、テールゲートエンドなどにクロームデコレーションを配しているのもポイントだ。
BMWとPSAプジョーシトロエンとの共同開発による1.6リッターエンジンは、最高出力88ps(120ps)、最大トルク160Nm(16.3kgm)というスペック。これに4速ATが組み合わされる点は、下のプジョー207と共通である。ただし、いくぶん軽量であるためか、10・15モード燃費は12.3km/Lとやや上回る。
4速ATについては、言われているほど悪いものではなく、むしろイージードライブ性は積極的に評価したい。
軽快かつソフトなフットワークは、C5のような「浮遊感」というと少々大げさになるが、路面からの入力のカドを丸め、キャビンに衝撃を伝えない独特の感覚は、シトロエンらしさを求めるユーザーの期待に大いに応えるであろう味を提供している。
低速ではステアリング操舵力がかなり軽くなり、取り回し性にも優れながらも、攻めた走りでは、普通ならアンダーステアに終始する大舵角時でも、しっかり反応するという懐の深い操縦性を示す。
スポーツ性能もけっして侮れないのだ。見た目も走りも非常にユニークな味を持ったクルマである。
進化した「猫足」
全長は4,045mm、全幅は1,750mmと、今回の中でもっとも大きなボディサイズを持つ。
Aピラーは大きく傾斜し、Cピラーもクーペのようになだらかに落とした、ワイドアンドローイメージのあるスポーティなフォルムが特徴的。
2009年秋のマイナーチェンジで、やや大人しめなデザインに変更されたものの、大胆なフロントマスクは、もちろんこのクルマを象徴するアイキャッチとなっている。
また、同マイナーチェンジ時にテールランプにLEDが用いられ、新デザインのアルミホイールを採用されるなどした。
上の2モデルに比べると、ボディサイドにはプロテクションモールを配し、リアバンパーにも別体のパネルを配するなどしている点も特徴的で、このほうが補修性に優れるというメリットがある。
パワートレインはシトロエンC3と共通で、その印象も同様。やはりトランスミッションが4速ATである点がネックと言われるが、ごく普通に運転するぶんには、それほど不満を感じることはない。ただし、わずかながら車両重量が重い影響は感じられるし、10・15モード燃費についても11.2km/Lと、C3よりもわずかに下回る。
フットワークは、プジョーというと猫足をイメージするが、207味はたんにしなやかなだけではなく、ドイツ車的な引き締まった味も持っている。接地感も高く、走りには一体感があり、全体的にスポーティな雰囲気に仕上がっている。いわば進化した猫足という印象だ。
ステアリングは重みがあり、切り込んだときにセンターに戻ろうとする力も大きめ。プラットフォームを共用しながらも、シトロエンC3に比べて、このあたりの味付けがずいぶん異なるところも興味深い。
デザイン・スペックの総評
VWポロが、フランスの2モデルと違う走りのフィーリングであることはイメージどおりだが、プラットフォームを共用するシトロエンC3とプジョー207の走りの性格がずいぶん違ったところが面白い。VWポロは、いかにもVW車らしい、硬質でシュアなハンドリングを持つのが美点。シトロエンC3はその対極にある印象で、往年のシトロエンを彷彿とさせる、ソフトな乗り味を実現している。逆にプジョー207は、両車の中間的というか、「猫足」という言葉のイメージとは少々異質の、ややドイツ車的な剛性感を身につけている。
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