ライバル人気ミニバン対決! ヴォクシーとの比較でセレナが勝る4つの有力ポイントとは(1/2)

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家族が増えて、そろそろ大きなクルマに乗り換えたい…そんな時に乗換えの最有力候補となるのが“ミニバン”だ。中でも「トヨタ ヴォクシー」「日産 セレナ」の2台で迷っている人も多いだろう。

今回はそんなガチの人気ライバルミニバンを徹底比較。使い勝手や車内の居住性など、気になる7つの視点で勝敗を決める。選者は、国内外の新型車事情に精通する“クルマの鬼”こと、カーライフジャーナリストの渡辺 陽一郎氏だ!

>>ガチのライバル! トヨタ ヴォクシーと日産 セレナの内外装を写真でサクッと見比べてみる![フォトギャラリー]

目次[開く][閉じる]
  1. ファミリーミニバンの2大勢力! 「ヴォクシー」と「セレナ」
  2. 質感はヴォクシーが勝るものの使い勝手や広さではセレナ優性!
  3. 動力性能や安全機能、買い得度はいずれもセレナの圧勝だった!
  4. ヴォクシー vs セレナ 各特別仕様車は買い!?
  5. 総合評価! 人気ミニバン対決で買い得なのは「日産 セレナ」だった!

ファミリーミニバンの2大勢力! 「ヴォクシー」と「セレナ」

共に月に6000台前後を販売する人気のミニバン「ヴォクシー」と「セレナ」

ここ最近はSUVの人気も伸びているが、ファミリーユーザーの間では定番のミニバンが支持され続けている。

ミニバンは背の高いボディに3列のシートを装着して、多人数乗車が可能だ。3列目を畳むと自転車のような大きな荷物も積みやすい。新車として売られる小型/普通乗用車のうち、約25%をミニバンが占める。この中でも主力車種になるのが「トヨタ ヴォクシー」と「日産 セレナ」だ。

2020年度(2020年4月から2021年3月)には、ヴォクシーが1か月平均で約6000台、セレナも約5500台を登録している。そこでこの2車種を比べてみたい。

2020年にグレード整理が行われ、エアロ仕様のみとなっていたヴォクシー

なおヴォクシーには、姉妹車の「トヨタ ノア」と「トヨタ エスクァイア」も用意される。以前は販売店によって取り扱い車種を分けていたが、今は全店で全車を扱う。

そのため2020年にグレードが整理され、今のヴォクシーは、全幅を3ナンバーサイズに拡大したエアロ仕様のみの設定となっている。

ノアではエアロ仕様に加えて、5ナンバーサイズの標準ボディも選べる。エスクァイアは以前から5ナンバー車のみで変わりはない。今回は3兄弟の中でも人気の高いヴォクシーに焦点を絞りお伝えしていく。

日産/セレナ
日産 セレナカタログを見る
新車価格:
276.9万円479.8万円
中古価格:
19.8万円517.7万円

質感はヴォクシーが勝るものの使い勝手や広さではセレナ優性!

勝負その1! 内装の質感/視認性/操作性対決

ライバルミニバンのヴォクシーとセレナを、7つの視点で比較してみよう。まずはインテリアから見てみる。

内装の質感は全体にヴォクシーが高い。高級車のような素材は用いていないが、色合いなどが工夫され見栄えも良い。メーターも通常の乗用車と変わらない位置にある。

セレナの内装の質感に特筆すべき点はない。ファミリー向けに明るい内装色が選べるのは良い点だ。

セレナはメーターをインパネの高い奥まった位置に装着して視認性を向上させた。その代わりデジタル表示となり、メーターの見やすさはユーザーによって評価が分かれるところだ。

またセレナはD字型の変形ステアリングホイールを採用した。

開発者は「メーターの視認性を向上させるには、ステアリングホイールの径をなるべく大きくしたい。ただし円形では大きくなり過ぎるから、下側を平らにした」という。

理由は分かるが、操作に違和感が生じる場合もあり、機能は一長一短だ。

■勝者:ヴォクシーの勝ち!

勝負その2! 前後席の居住性と乗降性対決

エンジンは両車ともに、ノーマルタイプとハイブリッド(セレナの名称はe-POWER)を用意する。この内、ハイブリッドでは後席が窮屈になるから注意したい。両車とも駆動用電池が1列目シートの下に搭載され、2列目に座る乗員の足が、1列目の下側に納まりにくくなるためだ。

従ってハイブリッドの2列目にノーマルエンジンと同等の快適性を与えるには、スライド位置を後方に寄せる必要がある。そうなれば3列目の足元空間が狭まる。

このエンジンによる居住性の違いも含めて、セレナが快適だ。特に3列目シートで差が付く。1/2列目の居住性が同程度になるようスライド位置を調節すると、3列目の足元空間は、セレナの方が広く確保される。

さらに座面の奥行寸法も、3列目についてはセレナが40mmほど長い。ヴォクシーも床と座面の間隔に余裕を持たせて快適性を向上させたが、シートのサイズと足元空間の違いでセレナが快適に感じる。

乗降性はヴォクシーが優れている。床を低く抑えたからだ。セレナの床面は、ヴォクシーよりも80mmほど高く、サイドステップ(小さな階段)を介して乗り降りする。

■勝者:セレナの勝ち!

勝負その3! 荷室の使い勝手とシートアレンジ対決

ヴォクシーの2列目シートは、ノーマルエンジンにはセパレートタイプ(7人乗り)とベンチタイプ(8人乗り)を設定した。ハイブリッドはセパレートタイプのみだ。セレナはノーマルエンジンがベンチタイプ、ハイブリッドはセパレートタイプになる。

この中でシートアレンジが最も充実するのは、セレナのベンチタイプだ。2列目の中央部分には長いスライド機能が装着され、1列目の間までスライドさせると、収納設備として利用できる。

この状態であれば2列目の中央に空間ができるので、車内の移動もしやすい。さらに2列目には左右方向のスライド機能も備わり、スライドドアの付近に広い空間を確保することも可能だ。

荷室を広げる時は、両車とも3列目を左右に跳ね上げて格納する。この操作はヴォクシーが簡単だ。レバーを引くと自動的に持ち上がる。

またミニバンのリヤゲートは縦長だから、開閉時には車両の後部に広い空間が必要だ。そこでセレナは、リヤゲートの上側(リヤウィンドウの部分)だけを開閉可能にした。これを活用すると、縦列駐車をしているような時でも荷物を出し入れできる。

■勝者:セレナの勝ち!

動力性能や安全機能、買い得度はいずれもセレナの圧勝だった!

勝負その4! ボディスタイルと取りまわし性対決

ヴォクシーは前述の通り、エアロパーツを装着した3ナンバー車のみを用意する。全長は4710mm、全幅は1735mmだ。

セレナには5ナンバーサイズの標準ボディもあるが、人気が高いのはエアロ仕様のハイウェイスターになる。全長は4770mm、全幅は1740mmだから、ほぼ同じサイズだ。

両車ともサイドウィンドウの下端を低めに抑えたから視界が良い。

最小回転半径は、ヴォクシーが16インチタイヤを装着して5.5mになる。セレナハイウェイスターは、15インチタイヤは5.5m、16インチは5.7mだから少し大回りだ。

■勝者:ヴォクシーの勝ち!

勝負その5! 動力性能対決

ヴォクシーとセレナにはそれぞれ、ノーマルエンジン(直列4気筒 2リッターガソリンエンジン)と、ハイブリッド(ヴォクシーは直列4気筒 1.8リッター+ハイブリッド、セレナは直列3気筒 1.2リッター+ハイブリッド“e-POWER”)の2タイプが用意されている。それぞれの性能を比較してみよう。

ノーマルエンジンの場合、性能の数値上はセレナが優れているが、シートに長いスライドレールを装着したこともあってボディが重い。ヴォクシーZSは1600kgだが、セレナハイウェイスターは1670~1710kgだ。そのために動力性能にはあまり違いが生じない。

ハイブリッド同士の比較では、セレナのe-POWERが力強い。

1.2リッターエンジンは発電を行い、駆動はモーターが担当する。そのために加速が滑らかで、巡航中にアクセルペダルを踏み増した時は、速度を機敏に上昇させる。

ただしセレナでは、ブレーキペダルを踏んだ時に、減速エネルギーを使って発電を積極的に行う協調制御が採用されない。そのために燃費を向上させるには、エコモードやSモードを選ぶと良い。

この時にはアクセルペダルを戻すと即座に積極的な充電が開始され、強い減速力が生じる。アクセル操作だけで速度を幅広く調節できるが、ドライバーによっては運転しにくく感じるかもしれない。販売店の試乗で確認してみることをお勧めする。

それでもヴォクシーのハイブリッドに比べると、セレナのe-POWERは加速力に余裕があり、週末のドライブなどでは疲労度の軽減にもつながる。ヴォクシーのハイブリッドは、車体の重さに対しやや余力が少ない印象だ。ノーマルエンジンの2.5リッターに相当するセレナのパワフルさは大きなアドバンテージである。

■勝者:セレナの勝ち!

勝負その6! 走行安定性と乗り心地対決

運転感覚はヴォクシーが軽快だ。セレナは前述の通り床が高く、全高も40mm上まわるから、重心が高い。操舵した時にも腰高感が生じる。

後輪の接地性を高めるために操舵に対する反応も少し鈍く抑えたから、峠道などを走ると曲がりにくく感じる。このあたりがヴォクシーは自然な印象だ。

乗り心地は両車ともに少し硬い。特に速度が時速50キロ以下まで低下すると、路上のデコボコを伝えやすい。

■勝者:ヴォクシーの勝ち!

勝負その7! 安全装備と運転支援機能対決

衝突被害軽減ブレーキは両車ともに装着するが、セレナは後方の並走車両を検知する後側方車両検知や後退時の車両検知機能も標準装着した。

またヴォクシーには、高速道路などで車間距離を自動調節し追従走行する運転支援機能が備わらないが、セレナは“プロパイロット”を設定した。こちらもロングドライブの際、特に渋滞時の疲労度軽減には大いに役立つ。これらの機能はセレナの圧勝だ。

■勝者:セレナの勝ち!

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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