フォード クーガ 試乗レポート(2/2)

あらゆる点でクラス格上と思わせる「直列5気筒ターボ」

エンジンが「2.5リッター直列5気筒ターボ」というのもクーガの特徴。

フォーカスのスポーツモデルSTと同じユニットだけあって、200ps／6,000rpmの最高出力、32.6kgm／1,600～4,000rpmの最大トルクは、4気筒を積むライバルの遥か上を行く。

1,640～1,670kgの車両重量はクラス平均レベルだから、5速ATを介しての加速は、全開にすればかなり強烈だし、流れに乗って走るときは車格を超えた余裕が味わえる。

静かさやなめらかさも4気筒とは別次元。あらゆる点でひとクラス上のSUVを思わせる。

乗り心地はストローク感があって、ショックをしっとりいなしてくれる。

高速道路での直進安定性は抜群。静かで余裕のパワートレインと相まって、リラックスした時間を過ごせる。それでいて山道に差し掛かれば、ヨーロッパフォードらしいハンドリングのよさを見せつけてくれる。

ステアリングの反応は鋭くはないが、油圧式パワーアシストらしいしっとりした手応えが心地いい。

コーナーに入ってからのロードホールディングは抜群で、走行状況に合わせて0：100から50：50まで前後トルク配分を可変する4WDシステムのおかげもあって、ペースを上げても切ったとおりにコーナーを抜けていってしまう。

オフロードもかなりいける。

ストロークの長い足や4WDシステム、空転した車輪にブレーキを掛けて駆動力を確保するBLD（ブレーキ・ロック・ディファレンシャル）のおかげもあるが、前後バンパーにスポイラーを持たず、スキッドプレートを備えたオフ向きのボディ形状も大きい。ブレーキやスロットルを制御して横転を防ぐARM（アンチ・ロールオーバー・ミティゲーション）も装備されているから、自信を持って悪路に挑むことができる。

切れ味あるデザインやハンドリングのよさでヨーロッパフォードの血統を受け継ぎながら、ユーティリティやオフロード性能ではアメリカフォードの経験も感じることができる。

欧米両方に拠点を持つフォードだからこそできる、「いいとこどり」のSUVだった。