自動車ライター 中込 健太郎が選ぶ! 本当は教えたくない穴場ドライブスポット

穴場のドライブスポットとの出会いは、「ノリ」で買ったクルマ

先日ふと振り返ってみたのですが、毎月8000km~1万kmほどクルマを運転しているようです。試乗を兼ねての取材はもちろんのこと、私は積載車を所有しておりまして、それで出動するのも合わせると、距離は必然的に伸びてしまうわけです。

なぜ積載車を買ったのかと言えば、最初はちょっとした「ノリ」でした。普通クルマというのは、ハンドルを握っている、そのクルマ1台しか移動させることはできません。

しかし積載車は、大きさの制限はあるものの普通免許で運転できます。つまり、もう1台積んで運転することで合計2台を移動させることができるというクルマなのです。これは純粋にクルマ好きとして、考えただけでワクワクしてきたというのが率直な動機でした。

とは言え、業務用車両であり流通しているクルマはかなり過走行であっても高価。また駐車可能な駐車場もなかなか見つかりません。願ってもなかなか買えないという人も少なくないようです。

そんな中、購入資金、駐車場の問題など、1つずつクリアになりました。元々沖縄のレンタカーに使われていた、錆は多いが、走行と荷台動作に関しては問題のない割安な個体が出てきたこともあって「買ってみた」次第なのであります。

はじめは個人の持つクルマですので、ふざけて自分のクルマを載せてみたり、イベントに行って荷台を昇降させたり、その程度でしたが半年ほど経ったある日、知人のクルマの救援に出動してからというもの、色々お誘いを受けることが増えていったのでした。それ以前に古物商の届け出も出していましたし、職業柄、あまりメジャーではないクルマなどを「買手を探してほしい」「このクルマ売れないか」といった相談も兼ねてからちらほら入っていたので、そんな際の移送にかなり活躍してくれました。

また自家用車ではありますが、故障車・事故車の救援は講習を受けることで認められていましたので、それも取得。その「有償運送許可」を受けてからはさらに、クセの強いクルマに乗る知り合いや、ショップからの依頼も増えました。その後も、遠方の登録を依頼されたりするようなことも増え、今ではこの積載車だけで月間5000km前後を走行するまでになりました。

しかし、これによってライターとしても、易々とは出かけることができない、地域のドライブネタや、クルマのイベント、遠隔地にいるクルマ好きの方との出会いなど、様々な副産物を私にもたらしてくれたのです。やはり実際にクルマで走って出かけてみないと、出会えないもの、楽しみは少なくないですね。

そんなトラックで、また雑誌の取材で訪れた中で、最近いいなと思ったドライブコースやドライブスポットをご紹介したいと思います。

自動車ライターが語る、山陰道のススメ

皆さんは首都圏から関西を超えて、瀬戸内、九州へ行く際にどんなルートを思い描くでしょうか?

と言っても、普通はそんなところにクルマで行かないよ!飛行機か新幹線だ!という人も少なくないかもしれませんね。

しかし、なんだか数名、頻繁にクルマで九州の実家と神奈川県の住まいを往復しているといった人にも出会い、盛り上がって、やはり長距離トラックのドライバー以外にもいるのだなあと思ったりしたものですが、もちろん早さでいえば山陽道を行くのが最速でしょう。しかし、結構ファンの多いルートが「日本海側を通る」というものでした。

なぜ下道を通るかと言えば「経費削減」です。乗用車の場合はその限りではないですが、高速道路のペースに乗って走っていると燃費が著しく悪化します。同じ距離を走っても、行程によっては1回分給油回数が変わるほど燃費が落ちてしまうのです。

しかも高速道路でむやみに給油すると、結局1回か2回、余分に給油できたんではないかというほど、燃料代が違ってきます。私の積載車は100リッタータンクですので、給油の都度80リットルほど給油をすることになりますが、要はこの2回分の給油コストを浮かせると、さらに高速代も浮くというわけです。

そうすると、私がそれを稼ぐために原稿料でどの程度書かなければならないかを考えると、私の日当程度のものは、九州行きの場合、1日余分にかけても下道の方がいいということになるのです。そんなことで、よほどの時間指定でもない限り、基本は下道がデフォルトになりました。

日本海を横目に走る、国道9号線

日本海側は山陽道のような一気通貫の高速道路はありません。しかし、京都から下関まで日本海に沿って走る国道9号線は何しろよく流れます。確かに鳥取の周辺や、道なりに行くと有料道路に入ってしまう松江周辺や出雲市内など、時間帯によっては多少ノロノロになる個所もあります。他の区間からすると滞りと言えば滞りですので、混んでるな!と思いますが、冷静に振り返ると私たちが日ごろ首都圏周辺で遭遇する渋滞などに比べたら、言及するに値しない程度の滞りなのです。

また、そもそも圧倒的に信号が少ない。そして昼間でも、横断するときにボタンを押したときだけ変わるような信号がある程度。一般道ですが、1時間程でかなりの距離を進むことができます。

例えば朝、京都の手前でスタートして、国道1号線や171号線などを通って西へ進むと、下手をすると、バイパスを利用しても日没までに岡山に入れるかどうか微妙なこともあります。日付が変わるころ福山入りできるか。すなわち広島県に入れるか微妙なところです。

しかし、ずっと手前、愛知県と三重県境あたりで23号線から逸れて、木曽川、長良川、揖斐川などの堤防をひたすら上流へ走って関ヶ原へ抜け、伊吹山のふもとから琵琶湖の北岸を回り、福井県を経由して京都福知山の北あたりで国道9号線に合流するルートを通ると、日没で鳥取は越えられるでしょうし、日付が変わる頃には島根県の宍道湖のあたりは通り過ぎ、石州のあたりまで行くことも可能です。

山陽瀬戸内側、仮に福山から朝スタートでは、日没までに関門海峡を渡れたら御の字でしょう。しかし、世界遺産石見銀山の周辺からドライブをスタートさせたら、昼前後に関門海峡を渡ることも可能です。ざっくり半日違うでしょう。走行距離はおそらく数十キロ長いドライブになっているのですが、それでもです。

時間的に早いだけではありません。午後はまるまるサンセットなのです。行ってみれば。首都圏で育ち暮らしてきた者にとって朝日が昇るのはよくなじみがありますね。しかし、西日になったら、日没までずっと、そしてじっくり、時に猛々しい日本海の景色を横目にドライブができるのです。旅情を感じ旅愁に浸る。いろんな道を走りますが、ここはその意味でもとてもいい道でドライブの妙味があると思うのです。

島根では、電車の運転体験も

白兎海岸や、出雲大社、そして石見銀山などもあります。時間に余裕があれば島根県の宍道湖沿いを走る一畑電車で運転体験をするのもよいでしょう。(※開催曜日要確認、事前申し込みのこと)これは、「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」にも登場したデハニ50型を雲州平田駅構内の専用コースで実際に運転体験できるというもの。筆者もかつて3回ほど参加しました。こんな風に、このルートならではのアクティビティも充実です。

今年は、たまたま春先に、島根県江津市から広島県三次市まで運転されていたローカル線三江線の配線間際に江津駅に立ち寄ることもできました。日本のニュートラルな景色にたくさん出会えるのがこの山陰コースの魅力ではないでしょうか。

体の芯から温まる「温泉津(ゆのつ)温泉」

このコース上で発見した温泉で、とても気に入ってしまった温泉があります。それは島根県大田市にある温泉津(ゆのつ)温泉。

この地名からして絶対温泉があるだろうと、初めて通った時に思い、国道を外れて古い町並みを降りていくと、確かにその名の通り湯治場として古くから栄えた温泉街と、その先に小さな港(津)がありました。

今でもある立ち寄り温泉施設「薬師湯」はそのレトロな雰囲気もたまりません。日本の温泉は1000m~1500mほどの深い場所から沸いているものが多いですが、ここの源泉はほんの数m。

滾々と沸くお湯は季節によってそのお湯の色も替えるナトリウム・カルシウム一塩化物温泉。もちろん源泉かけ流し。平日でも、たいがい遠方から来た温泉ファンと居合わせ、体の芯から温まる温泉は是非とも入りたいと思わせます。今年は2回も立ち寄ることができ、とても満足でした。

熱々うどんが食べられる自動販売機!?

また最近ご縁があるが、昔懐かしいドライブインで販売されているうどんの自動販売機です。去年くらいからでしょうか。ご縁があって北は秋田港の道の駅、近所は相模原、北関東エリアでもちらほら見かけ、ついあると立ち寄ってしまうのです。みんな同じ機械なのですが、お金を入れると30秒足らずで熱々のうどんが食べられるこのうどん。実は仕込みは管理しているお店で様々なので、味がみな違うのです。

その中で一番好きなうどんの一つも、やはりこの9号線沿いにあります。島根県益田市にある後藤商店自販機コーナーのおうどんです。実はラーメンもあって毎回迷ってしまうのですが(おなかがすいていれば両方食べることもw)スタミナうどんは肉やてんぷら、ゆで卵とわかめなど具沢山。さらにおつゆには、地元産のゆずの皮が浮かべられていたりして、香りがひと際良いのが特徴なのです。

もちろん大きな長距離トラックも前に停まって、ドライバーさんがうどんをすする光景もしばしば見かけますが、営業周り風の人や、乗用車で来る親子連れ、深夜でも、ベンチに座って何やら悩み事の相談に乗ってあげている先輩後輩がスクーターでやってきて、一緒にうどんをすする光景なども散見。地元の人に愛され、コミュニケーションの場にもなっているのがわかります。

ちなみにラーメンはラーメンで、ちょっと器負けではないかと思うほど立派なチャーシューが入っていたりします。所詮自販機うどんでしょ?と馬鹿にできない、「ここでしか出会えない味」がしっかりとする後藤商店のおうどんです。

やがて、山口市を抜けて宇部の手前で、国道2号線、山陽道と合流します。ここまでくれば九州ももうひとっ走り。今年は取材でも4回ほど、それ以外でも5回ほど通りましたでしょうか。

クルマは何より走ってみること。そして、地元でもないところなのに、妙に通いなれた道や、なじみのお店ができたりして。そんなことで友達の輪が広まったりするものですね。

本当はもっといろいろ紹介したいスポットがあったし、このうどんのシリーズも結構いろいろ面白い特徴があるので、筆者なりに紹介しようと思ったのですが。何か機会があればまた改めて。

[筆者:中込 健太郎/撮影:中込 健太郎]

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中込 健太郎
筆者中込 健太郎

自動車ライター。1977年生まれ。神奈川県出身。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電気電子工学科・水素エネルギー研究センターを卒業。自動車産業向け産業機械メーカーを経て、大手自動車買取販売会社で店舗業務からWEB広告、集客、マーケティングなどに携わる。現場経験に基づくクルマ選びや中古車業界の事情に明るいことから、ユーザーはもとより、自動車販売の現場からの信頼も厚い。幼少期からクルマをはじめとした乗り物好きが高じ、車種を紹介するコンテンツなども手掛ける一方、「そのクルマで何をするか」をモットーに全国をクルマで旅行し、食べ歩き、温泉巡り、車中泊といったカーライフに関する執筆も多数手がける。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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