クルマでしか味わえない!辺境グルメ旅Vol.3「勝浦タンタンメンの謎に迫る!」(2/2)
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:オートックワン編集部
漁師町の元祖ソウルフードが、房総の山間部へと移り住む
さて。ここで再び本企画のメインタイトルを読み返すと、「クルマでしか味わえない!辺境グルメ旅」、とある。
勝浦タンタンメンが生まれた千葉県勝浦市は、東京からJRの特急電車に乗れば、せいぜい1時間半で向かえる場所。アクアライン経由の高速バスという選択肢もあり、そちらでも約2時間で来られる。で、勝浦の駅から、漁港や勝浦朝市の会場、そしてこのエリアで最もメジャーな観光リゾート、♪ゆったりたっぷりの~んびり、のCMでお馴染み「ホテル三日月」へも、徒歩で十分に移動できる距離にあります。もちろん、市内にも40箇所ほどタンタンメンを出すお店があり、多くは駅から徒歩か路線バスで到達できる、と。え、クルマ要らないじゃーん。
No!
勝浦タンタンメンの元祖のお店は、なんと勝浦市内にはない。正確に言えば、今はもう勝浦にはない、のです。
「江ざわ」の歴史をさかのぼると、なんと創業は昭和30年代。先代店主が勝浦市内に開いていた「江ざわ食堂」に端を発するそうな。そして、例の「ラー油メインの勝浦タンタンメン」は、現在の江ざわの店主である江澤 文彦さんのお父様(故人)が、横浜あたりで見聞した担々麺を元に、なんとか今ある食材で出来ないかと発案したというのが真相らしい。
とはいえ、実のところそれから数十年は、江ざわ食堂を中心にわずか数軒でしか食せない、地元だけのソウルフードでしかなかったというのが勝浦タンタンメンの実態でした。そして先代が亡くなり、一度は消滅した江ざわ食堂。しかし息子の文彦さんがこの鴨川の、しかも海辺ではなく山間部入口という、(失礼ながら)辺境の地で食堂「江ざわ」を開き、再び父の生み出した元祖ソウルフードの味を完全に復刻したのです。
そしてようやく、ほんの数年前。勝浦の商工会青年部が町おこしの一環として努力した甲斐もあって、加速度的に勝浦タンタンメンの名は広まりました。昨年2011年にはついに、かのB級グルメの頂点を競う「B-1グランプリ」に出場するまでに。もはや全国区ですな。
勝浦タンタンメンを創造したアイデアマンの先代店主
前置きが長過ぎました。
で、どうなのよ勝浦タンタンメンのお味は!?
そう、肝心なのはソコなんです。筆者自身千葉県に住んでいて、勝浦だってしょっちゅう訪れておきながらも、まだ一度も勝浦タンタンメンを食したことがなかったのは、あの「ラー油で真っ赤っかのビジュアル」という強烈なイメージが先行してしまったせい。えーだって辛いんでしょー、と。わたくし以外にも、そう思ってる千葉県民はとっても多いはず。
No、No!!
勇気を振り絞って(ちょっと大げさ)、レンゲですくってみた赤いスープ。飲んでみると「ありゃ辛くない、むしろ甘い」。タマネギやニンニク由来と思われる柔らか~い甘味が、醤油スープとオイリーなラー油を、実にまろやかに包んでる。不思議。へええ、あとをひく味だわ。とはいえ、冬だというのにじわじわと汗は染み出てくる。たしかに「辛い」もあとからやってくるのだけれど、ピリピリするようなエグさはなし。人によっては物足りないとすら思うかも。というニーズにも、しっかり「中辛」「辛口」の注文にも応えてくれるそうなので、そこはお好みに応じて。私自身そんなに辛いのは得意なほうではないのだけれど、次回は中辛くらい試してみようかな、と思ったくらい。でも最初はまずノーマルから行って欲しい。そして衝撃を受けて欲しい。
誤解を恐れず言えば、ノーマルの勝浦タンタンメンは「甘くて美味しい」。汗はかくけども。この味をクリエイトした先代は、相当なアイデアマンではないかな、と恐れ入った次第。なるほど見た目の印象だけじゃ、確かにこんなに流行るはずがないわな。
先代のアイデアマンぶりは、もうひとつのメニュー「とんとん麺」を食してみて、確信に変わりましたよ。白いスープの写真がそれ。
実は北海道に次ぐ第二の酪農王国だったりする千葉県が誇る「牛乳」と、あっさり白湯スープをあわせ、そしていかにも旨そうな(いや、実際旨い!)肉厚チャーシューがどっさり載ったのがデフォルトの仕様。これも先代のアイデアなんです。
時は今から30余年前。まだ関東で福岡の長浜ラーメンが流行るずっと前に、やはり何処かで見聞きした先代が、とんこつラーメンの白いスープを再現したい、と一念発起したそうな。何より面白い(そして素晴らしい)のは、勝浦タンタンメンと同じように、ビジュアルから入った!という点。味じゃないんだ。
結果として、とんこつラーメンとは似て非なるものながら、見事にオリジナリティ溢れる逸品に仕上げてる。担々麺と勝浦タンタンメンの違い、そしてオリジナリティ度の高さと同様に。ココが凄い!
ちなみに「とんとん」とは、とんこつのとんと、チャーシューたっぷりの「豚(とん)」の掛け合わせから来ているそう。面白い! ああ、先代にもお会いしたかった!
ちなみに今、勝浦で真っ赤なタンタンメンを出しているお店は、この先代店主から直接教えを受けたか、それをコピーしたかだそう。原点は全部、この「江ざわ」からスタートしているのです。すげー。
いやいや満足満足・・・ふぅ、ごちそうさまでした。
■元祖 勝浦式担々麺 江ざわ
住所:千葉県鴨川市北風原150-1/電話:04-7097-1559/営業時間:11:30~19:00/定休日:月曜日(臨時休業有り)
日本古来の風景を守る取り組みに感銘
目的の勝浦タンタンメンを食べて、体も心もほっかほか。さ、帰るか。しかし、いくら辺境グルメ旅とはいえ、それだけじゃあ寂しすぎると思いませんか! せっかく南房総まで来たのだから、近隣も散策してみることにしましょうよ。
で、先ほどの「江ざわ」のお店の方にお聞きすると、『このあたりは棚田(たなだ)が有名ですよ』とのこと。お、それ聞いたことある! さっそく行ってみましょう。
房総半島というと海岸線ばかりが注目されるところだけど、山間部の自然の美しさも見逃せません。いやいや待てよ、羽田の発着便から観る房総半島ってゴルフ場だらけじゃんか。そうおっしゃる方も多いでしょう。確かに、房総半島の付け根部とも言える市原市は、日本有数のゴルフ場銀座です。しかしその先、房総半島の下半分は、都心から2時間で来れるとは思えぬほど山深く自然豊かな地域なのです。
中でもここ大山千枚田は、山間部の地形を生かした形状の棚田。しかも、日本で唯一雨水のみで耕作を行っている「天水田」なんだそう。それだけ十分な降雨量があり、かつ稲の生育に必要な夏の日差しも得られるというワケ。
もちろん平地の大規模な稲作とは違って、機械を使っての田植え・稲刈りは出来ず、それゆえ人手が足らずに放棄される農地もあるのは事実。しかしこの自然の風景を守るべく、都市部の人たちに農業体験をしてもらいながら、棚田や周辺の里山の保存活動を行っている「棚田倶楽部」という保存会もあるので、お、と思った方はホームページをチェックしてみては。大山千枚田のオーナー制度をはじめ、棚田のお米で純米酒を作る「酒づくりオーナー」、大豆畑づくりを支援し、収穫した大豆で味噌を作ったりする「大豆畑トラスト」なんていう様々な取り組みがあって、どれも農業を通じて日本古来の食文化を残そうという強い想いがあることに感銘。残念ながら、平成24年度のオーナー制度やトラスト制度の多くは2月で募集終了となってしまったようだけど、酒造りオーナーと大豆畑トラストについてはまだ間に合う模様。詳しくは下記のリンク先をチェック!なのだ。
■千葉県鴨川市 大山千枚田保存会[senmaida.com/NPO法人 大山千枚田保存会]
住所:千葉県鴨川市平塚540/電話:04-7099-9050/[地域資源総合管理施設 棚田倶楽部:9時~16時(火曜日定休)]
[レポート:トクダ トオル(オートックワン編集部)]
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