シトロエン DS4 6ATモデル 試乗レポート/大谷達也(1/2)

  • 筆者: 大谷 達也
  • カメラマン:オートックワン編集部
シトロエン DS4 6ATモデル 試乗レポート/大谷達也
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個性を削るか、シトロエンらしさを守るか・・・シトロエンが出した結論は

シトロエン DS4(6AT)

シトロエン DSラインの4ドアクーペ「DS4」へ新たに追加された6速オートマチックモデル。なぜ発売から1年を経て6ATが追加されたのか、そのインプレッションも交えつつモータージャーナリストの大谷達也氏が試乗記をお届け!

シトロエンって、好きか嫌いかが分かれるブランドだと思う。

うーん、そうでもないか。だって、好きな人はいても嫌いな人はあまりいないような気がするから。だから、好きか、あまり関心がないかのどちらかに分かれると言ったほうが正しいかもしれない。

いずれにしても、シトロエンの個性は強烈。だから、波長が合う人と、そうでない人がはっきりと分かれてしまう。

でも、これは現代を生きる自動車メーカーにとって、ちょっと難しい状況といえる。なにしろ、いまや自動車を開発するには、環境対策にしても安全性対策にしても、莫大な予算が必要となる。この予算を確保するには、何よりも販売台数が大切。ところが、個性が強すぎると一部のファンにしか受け入れてもらえず、販売台数は伸びない。

シトロエンは、もう何十年間もこの問題に悩まされてきた。そこで、ときには“シトロエン臭さ”を少し減らしたりもしたのだけれど、そうすると昔からのシトロエン・ファンが許してくれない。台数を取るべきか、それともファンを大切にすべきか……。

さんざん悩んだあげく、シトロエンはひとつの結論に辿り着いた。

「両方やっちゃえ!」

シトロエン DS4(6AT)

以来、シトロエンは一般のクルマ好きにもアピールする「Cシリーズ」と、個性的なシトロエンが大好きなファンのために「DSシリーズ」を作ることになり、どちらも順調にセールスを伸ばすことになりました。メデタシ、メデタシ……。

なんて簡単に話をまとめると関係者の皆さんに怒られてしまうかもしれないけれど、まあ、おおよそこんな風に考えて頂いてもそれほど間違っていないと思う。

というわけで、DSシリーズの第1弾として2010年に発売されたのがDS3。さらに、その翌年にはDS4、続いて今年はDS5と、DSシリーズは次第にラインナップを充実させていった。

ようやく導入が適ったDS4の「右ハンドル&6AT」

どれもデザインは美しく、商品コンセプトもユニークだったのだけれど、ひとつだけ残念なことがあった。

SUV風クロスオーバーのDS4に搭載されているエンジンは、PSAとBMWが共同開発した直4 1.6リッターターボ。最高出力は156psと200psがあって、走り屋が選ぶハイパワーバージョンのスポーツシックが6MTと組み合わされるのはいいんだけれど、そこまでの走りを期待しないフツーのお客さんが買いたい156ps版のシックはEGS、つまりシングルクラッチ仕様のロボタイズド6MT仕様しかなかったのである。

シトロエン DS4(6AT)

「相当の高級車以外、クルマはマニュアルギアボックスで乗るのが当たり前」のフランスやイタリアだったらこれでも構わないのだけれど、日本は相変わらず圧倒的に“オートマチック”の国。しかも、DS4クラスの輸入車を買う層にとって、EGSはまだ馴染みのある存在とはいえない。

というわけで、「DS4は買いたいけれど、できれば156ps版と6ATの組み合わせが欲しい」というファンはかなりの数に上っていたようだ。

じゃあ、どうすればいいのか? 実は、こういう要望が出ることは、プジョー・シトロエン・ジャポンもDS4を導入する当初から気づいていた。気づいていたのにできなかったのは、「このままでは幅広いニーズにお答えできない」とする日本サイドの声が、フランス本国にうまく届かなかったからだ。

それでもプジョー・シトロエン・ジャポンは諦めなかった。そしてフランス本社と粘り強く交渉を重ねた結果、今回、「右ハンドル、6AT」のDS4シックをようやく日本向けに輸出してもらえることになったのである。

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大谷 達也
筆者大谷 達也

1961年、神奈川県生まれ。エンジニア職を経験後、1990年二玄社に就職し、CG編集部に配属となる。以来、20年間にわたり同誌の新車情報、モータースポーツに関する記事を企画・編集・執筆。2010年3月フリーランスとなる。現在もCGの編集・執筆業務に携わる傍ら、ENGINE、GENROQ、東京中日スポーツ新聞、レーシングオンなどにも寄稿。日本モータースポーツ記者会会員。記事一覧を見る

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