メルセデス・ベンツ 新型SL63AMG 海外試乗レポート/桂伸一(2/2)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
これほど全てが「高次元」で纏められたクルマは初めて
厩舎の馬たちに別れを告げ、スターターONとともに盛大なひと吠えで爆発するように目覚めたV8は、アメリカンなドロドロ系のサウンド。だが冷静に聞くと、E63AMGなどサルーン系よりもサウンドは抑えられている。SLのユーザー層が求めている“迫力”に見合う抑えられた音量と音質なのである。
AMGだから、走りは豪快なステージが用意されているに違いない。
トランスミッションは、AMGスピードシフトMCT(7速AT)。
「C(効率)」「S(スポーツ)」「S+(さらにダイナミックな)」「M(マニュアル)」4つの走行モードから「S+」を選ぶと、エンジンコンピュータはV8ツインターボの特性をフルに引き出すマッピングに変わる。
すると、回転レスポンスはさらに鋭く、サウンドも豪快に。シフトアップ時には“スパン!”と瞬間的に6気筒を休止し2気筒に着火する制御で、瞬時の変速とエンジン回転を同調しやすくする策がとられ、そこがまたドライバーをメラメラと燃えさせるのだ。
エンジンからの刺激は当然だが、このクルマ、ボディの質量を感じにくい。つまり、そこが軽量化の効果だと言える。上モノの軽さ感である。オープン時でもボディの揺れや不穏な振動、音の類もまったく感じさせない剛性感の高さを持つ。
それを強調したのが、ロールもピッチングも絶妙に抑え込んだABC(アクティブ・ボディ・コントロール)の威力だった。ステア操作に対してクルマの動きはあくまでも俊敏に、姿勢変化も少ないためフットワークはさらに軽く感じられる。
乗り味の滑らかさと俊敏なフットワークの融合
ドライバーはごく普通の操作でコーナーにアプローチ。乗員もわずかなロールを感じながら、しかしタイヤのグリップ限界に達するにはまだまだ奥深くありそうで、自然と右足のアクセルを踏み込む量が増える。
結果、コーナリングスピードが尋常ではないほどに高まっていた。S字コーナーの切り返し、高速レーンチェンジも含めて、常に最小限のボディ変化で安定している。
さらに頼れるのは、走りのパフォーマンスを一撃で静めてくれるブレーキ力だ。標準はスチールディスクで、これはブレーキ踏力に応じて強力な減速Gを立ち上げる。
一方、このクルマを選ぶユーザーだからこそお薦めするのが、オプションのセラミックブレーキ。軽いペダル踏力からブレーキパッドがディスクにまとわり付くかのように制動する。特に高速からのブレーキングは、後から引き戻されるかのような減速G。しかし強弱のコントロール性においても抜群で、それこそミリ単位で正確に反応するほど精度にも質感にも優れている。
アルミボディは軽量だが硬い。その硬さが乗り味を荒くすることは間違いない。多くのメーカーはそこを克服するノウハウを身につけているが、メルセデス・ベンツがSLで示した乗り味の滑らかさと俊敏なフットワークの融合は、このクルマの可能性、いやメルセデス・ベンツのさらなる飛躍を感じさせるのに十分な威力である。
SL63AMG、もちろん“標準”でも扱いは手に余る。
しかし一度でもPPやセラミックコンポジットブレーキによる更なる味をしめるとクセになる。2シーターのロードスターとして、完璧なクーペとして、これほど全てが高次元で纏められたクルマは初めてであった。
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