アルファロメオ アルファGT 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
アルファロメオ アルファGT 試乗レポート
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伝統を受け継ぎながら、現代にも通用するクーペ

アルファ156のプラットホームや基本コンポーネンツをベースに作られたスポーツクーペ。外観デザインはベルトーネとアルファ・スタイルセンターの合作によるもので、かつてのアルファの名車とされるジュリア、ジュリエッタ、アルファスッドなど、スポーツモデルの系譜をしっかり受け継ぐモデルに仕上げられている。しかも現代に通用するクーペらしく、後席にも大人がしっかり座れるだけの十分な居住空間が確保され、実用的なラゲッジ容量も備えられている。ファミリーカーとしても使えるクーペなのだ。搭載エンジンは2機種で、V型6気筒の3.2リッターと直列4気筒の2リッターの2機種。V6には6速MTが、4気筒には5速シーケンシャルモード付きのセレスピードが組み合わされている。全車に本革シートやデュアルゾーン式オートエアコン、BOSEサウンドシステム付きの高級オーディオが装備されるほか、VDC(横滑り防止装置)などの安全装備も充実している。

ひと目で「アルファ」とわかるエクステリア

外観デザインはフロント回りをひと目見るだけでアルファと分かる伝統的な3部構成モチーフのフロントグリルが採用されている。全体にすっきりした印象ながら、アルファを象徴する盾型のグリルは156に比べてやや大きくなってアグレッシブな雰囲気を演出している。最初に156がデビューしたときには違和感のほうが強いくらいだったバンパーに食い込むグリルデザインも、今ではすっかりなじんでアルファらしさを感じさせるものとなっている。クーペとしてはやや長いルーフラインを持つが、これが伸びやかなイメージを作り出すと同時に後席の居住空間を確保することにつながっている。インテリア回りは本革シートが特徴となるほか、メーターパネルやインストセンター部分のデザインなどは専用のもの。ステアリングホイールだけが156と共通のものとされている。リヤシートは分割可倒式で、全部を倒すと1000リットル近い容量のラゲッジスペースが生まれる。

一段とスポーティな走りが可能になった

2.0JTSに搭載される2リッターエンジンは想像する以上に元気の良いフィールを感じさせる。122kwの実力はこのクラスのボディに対して十分なものだ。しかもアルファらしく軽快に吹き上がる上、高回転域まで回したときのパワーフィールも上々のもの。気持ちの良さが味わえるエンジンである。組み合わされるセレスピードはアルファGTでは改良を受けていて、変速に要する時間を短くしたスポーツモードが設定されたり、自動変速を抑制するホールド機構が加わるなどした。これによって一段とスポーティな走りが可能になった。ステアリングの裏側のパドルシフトなども含め、操作には多少の慣れも必要だが、慣れると本当に楽しい走りが可能になる。V6エンジンを搭載した3.2 V6 24Vは、絶対的なパワーでは上位にくるものの、フロントヘビーな印象から軽快さに欠ける感じ。18インチタイヤを履くために取り回し性能もやや悪くなっているのが実情だ。

アルファファンが所有することの喜びを感じられるクルマ

アルファGTは基本的にアルファファンのためのクルマであり、それもアルファに対する思いの強いユーザーを対象にしたクルマと言っていい。クーペとしては実用性の高いクルマに仕上げられているとはいえ、2ドアであることの制約はあり、それを超えてアルファGTを買うには、アルファに対する熱い思いが必要だろう。いずれにしてもアルファファンが所有することの喜びを感じられるクルマである。本革シートやVDCなど、快適装備と安全装備が充実していることもあり、価格設定は400万台前半から500万円台中盤までと、表面的にはやや高めな水準に達している。それを考えると、お勧め度が高いのは2リッターエンジンの搭載車で、中でもより充実した装備を持つエクスクルーシブがリーズナブルな印象。前述のようにセレスピードを乗りこなすには慣れが必要だが、走りの軽快感という観点からも2リッターエンジンの搭載車のほうがアルファらしい印象だ。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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