アバルト500C 試乗レポート/森口将之(1/2)

  • 筆者:
  • カメラマン:オートックワン編集部
アバルト500C 試乗レポート/森口将之
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新生アバルトを象徴するモデル、アバルト「500C」誕生!

2010年10月に発売されたアバルト500Cは、現在販売されているサソリ印で唯一のオープンモデルであり、唯一の2ペダルドライブである。その点で、同じアバルトの500やプントエヴォとの違いを明確にしている。

一般的に、オープンカーはハッチバックやクーペよりボディ剛性が低い。ゆえに走りの限界を極めるには不向きといわれる。そこでスポーツカーであっても、クローズドボディより快適性を強調した仕立てにすることが多い。

たとえばポルシェ911は、クーペではMTの選択が可能だが、カブリオレやタルガではデュアルクラッチトランスミッションのPDKのみの設定になっている。昔のアバルトは、僕の初めての愛車アウトビアンキA112を含めて、かなりの硬派だった。だからボディはクローズド、ギアボックスはMTが当然だった。

それを知る人の中には、AT免許でドライブできる500Cに複雑な感情を抱くかもしれない。でもこれこそが、新生アバルトのブランドイメージを象徴するモデルだと僕は考えている。

ミニのクーパーSがそうであるように、スパルタンなコンパクトスポーツからプレミアムスポーツコンパクトへの転進を図っているのだ。アバルト500にはなかった2トーンカラーの設定が、なによりの証拠である。

そのボディはフィアット500Cをベースに、アバルト500と同じモディファイを施したものだ。500Cの可愛らしさを残しながら、フロントの大型インテークや左右2本出しマフラーなどで、不良っぽく装っている。このミスマッチ感覚が、なんともいえない味を出している。

ソフトトップはフィアットの500Cと共通で、サイドウインドー周辺のフレームは残り、ルーフとリアウインドー部分だけが開閉する。大型キャンバストップといえるかもしれないが、おかげで走行中でも自由に開閉できるのが便利だ。

そのソフトトップには、かなり大きめのルーフエンドスポイラーが装着されていた。アバルトとしては外せないアイテムかもしれないが、ルーフを開けたらどうなってしまうのだろうと心配になる。 でも問題なく屋根は開いた。しかもスポイラーは同じ角度をキープしている。

イタリアならではの美しさへのこだわりに、思わず唸ってしまった。インテリアもまた、見せ方じょうずだ。ブラックのトリムに赤いパネル、ライトグレーのシートという絶妙のコーディネイトにまず目が行く。オープンカーということで、見られることを意識した色使いが施されたのだ。

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