アバルト500C 試乗レポート/森口将之(2/2)
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部
ワルカワな姿を道行く人に見せつけて・・・
ハッチバックのアバルト500と違うのは、シフトレバーの位置にボタンが並んでいることだ。これが最初にも書いた500C独自の2ペダルドライブ「アバルト・コンペティツィオーネ」である。
基本構成はフィアットの500/500Cと同じシングルクラッチ5速なのだが、レバーをボタンに変えたおかげで、フェラーリのF1マチックみたいに見える。パドルも黒いプラスチックではなく、シルバーの地に赤い+-を刻んで気分を盛り上げる。ここでもアバルトの演出にノセられてしまった。
プントエヴォでは最新のマルチエアエンジンを投入したアバルトだが、500Cはクローズドボディの500同様、ひと世代前の1.4Lターボを積む。40kg重い1150kgのボディに合わせるためか、最高出力は500より5ps高い140psをマークする。
おかげでオープンだから遅いという印象は抱かなかった。 少し前に乗ったプントエヴォに比べると、サウンドはにぎやかで荒っぽいけれど、アバルトだから許せるという気になってしまう。それに屋根を開ければ3000rpmあたりのフォーンという心地いい響きが、背後からダイレクトに届いてくる。オープンだからこそ味わえる快感だ。
2ペダルMTは、ノーマルモードでは反応がおっとりしていて、シフトアップ時の減速感も気になる。
ところがスポーツモードにすると激変。スコッと瞬時に変速を完了し、スロットルレスポンスも別のクルマのように鋭くなる。こちらがアバルト500C本来の姿であることはいうまでもない。開口部からいえばセミオープンの部類に入るだけあって、ボディの剛性感はハッチバックのアバルト500に劣らない。
固めの乗り心地、キビキビした身のこなしはいままでどおり。本気で攻めるとちょっとシビアな面が顔をのぞかせるハンドリングもほぼ同じ感触だった。
やっぱり500ベースのアバルトは、ワルカワな姿を道行く人に見せつけ、活発なサウンドを高層ビルに響かせながら、街を駆けるのが似合う。それならより目立つオープンボディで、シーンに応じてイージードライブも味わえる2ペダルのほうがいいと思う人は多いはずだ。
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