[試乗]日伊合作＜アバルト124スパイダー＞は、めっちゃカッコよくてちゃんと”イタリアン”だった(4/4)

アバルトの名に恥じない絶妙な味付けはさすが

マツダ ロードスターには性格上、ロールを楽しむような”ゆったりドライブ”もサマになるが、アバルトの名を冠する以上そうでなくちゃ、なんて欲張ってしまうくらいに、アバルト 124スパイダーのアシ関係の仕上がりはいい。どこかマッタリ味のロードスターに比べ、アバルトはアクセルを踏ませるための味付けが本当に上手だ。

セッティングに際して、アバルトレーシングチームがかなりクチを出して完成させたというのが、深く頷ける。

右足の反応に当意即妙で応えてくれるスポーツモードの高い完成度

さらに、特にATモデルに関して、スポーツモードのアクセル踏力に対してのリニアリティの高さが印象に残った。

ギュンギュン攻めているときはもちろんのこと、タラっと流すようなシチュエーションでさえもきっちり反応して、スポーツなのにむしろ快適ささえ感じさせられるのだ。

それがどういうことかというと、アクセルペダルを一定の踏力でキープしていても、同回転数をたやすく維持できるという点。スポーツモードというものは、ともすればわかりやすく急峻な味付けをしがち。ちょっと踏んだだけでギクシャクするくらいのトルクを与えるほうが、スポーツのイメージを簡単に演出できるからだ。

だけどこのアバルト 124スパイダーのスポーツモードはとにかく扱いがラク。しかも踏めばちゃんと反応する。完成度が相当高いところに好感を持った。

高い完成度を誇る124スパイダーがアバルトブランド躍進の鍵になる

そういう、一抹の使いやすさを備えていることに対して、旧来の熱烈なるアバルト信者からはもしかしたら ”スポイルされた”という言葉が出てくるかもしれない。しかし、アバルトへの門戸を広げたという意味でこのアバルト 124スパイダーへの期待は大きい。

専売店扱いだったアバルトはフィアットディーラーでの併売となり、全国80拠点で販売をスタートさせている。このアバルト124スパイダーを皮切りに、日本でアバルトの知名度がぐっと上がることにも期待する。

だってかっこいいんだもん。

[レポート：今井優杏／Photo：島村英二]

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 Abarth 124 Spider[FR] 主要諸元

全長x全幅x全高：4060x1740x1240mm／ホイールベース：2310mm／車両重量：1130kg(6AT車：1150kg)／駆動方式：後輪駆動(FR)／乗車定員：2名／ステアリング位置：右／エンジン種類：インタークーラー付きターボチャージャー 直列4気筒 マルチエア 16V ガソリンエンジン／総排気量：1368cc／最高出力：170ps(125kW)/5500rpm／最大トルク：25.5kg-m(250Nm)/2500rpm／トランスミッション：6速マニュアルトランスミッション(6速オートマチックトランスミッション)／燃料消費率：13.8km/L(6AT車：12.0km/L)[JC08モード燃費]／サスペンション：(前)ダブルウィッシュボーン式(後)マルチリンク式／タイヤサイズ：205/45R17／メーカー希望小売価格：3,888,000円(6AT車：3,996,000円)[消費税込]