F1のマクラーレンが造る市販スーパースポーツ「McLAREN 570S COUPE」 海外試乗レポート(4/4)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:マクラーレン・オートモーティブ
650馬力と570馬力、どちらもケタ違いの高出力だが・・・
最後のエンジンパワーはどうか。
650psと570psといえば、比率にしてたった14%の差でしかない。そもそも500psを軽く越えた領域だから、570Sの570psだってパワー不足なんてことはありえない。だから570Sで全然不満はないのだけれど、650Sが最後の最後で振り絞るようにして発揮するトップエンドパワーは腰が抜けそうになるくらいの迫力があって、普段は絶大な安心感を与えてくれるモノコックや駆動系、リアサスペンションがもう少しで悲鳴を上げそうになっているのが実感できるほど、スゴイ。
いっぽうの570Sはパワーの立ち上がり方がずっと素直なせいもあって、度肝を抜かれるようなパワーは感じられない。だから、650Sの驚異的なトップエンドパワーを諦められるかどうかが、570Sにするか、でもやっぱり650Sじゃなきゃだめなのかの決定的な違いになりそうな気がする。
これならデートのエスコートもOK!? カーボンモノコックの幅広サイドシルを低くし、乗降性が高まった
最後に、技術の進化に伴って570Sが650Sに上回ったところを紹介しよう。
サイドシルというのは、ドアを開けたときに見えるボディの下側の部分で、ここが柱のような役割を果たすことでボディの剛性感は確保される。で、650Sはこのサイドシルが、足を「よっこらしょ」と上げてまたがないと乗り込めないくらい高かったけれど、570Sは内部の構造に工夫を凝らすことでここを8cmも低くすることに成功。それでいながらボディ剛性もほとんど変わっていないという。
この違いは圧倒的で、570Sだったらミニスカートを履いた女性でも心配せずに乗り込めそう。しかも、フロントウィンドーの幅も広げられて車内の広々感が強まったほか、グローブボックス、ドリンクホルダー、ドアポケットといった収納スペースが充実し、さらには女性に嬉しいバニティミラーまで装備された。
まあ、この辺は高級車だったらどれも当然のことだけれど、誕生したばかりのマクラーレンはクルマの基本性能を追究するのに懸命で、こうした便利装備・快適装備まで手が回らなかったらしい。それが、ここにきて余裕が生まれて、ようやく手をつけられるようになったのだろう。その意味でも、マクラーレンはいまも急ピッチに進化中といっていいだろう。
[レポート:大谷達也]
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「McLAREN 570S COUPE」主要諸元[欧州値]
全長x全幅x全高:4530x2095x1202mm/乾燥重量:1313kg(軽量オプション時)/前後重量配分:42:58/エンジン種類:V型8気筒 ツインターボ/総排気量:3799cc/最高出力:570ps(562bhp/7400rpm/最大トルク:600N・m(443lb ft)/5000-6500rpm/トランスミッション:7速デュアルクラッチ式シームレス・シフトギアボックス(SSG)/CO2排出量:249g/km/燃料消費:26.6mpg(EU複合サイクル)/0-100km/h加速:3.2秒/0-200km/h加速:9.5秒/最高速度:328km/h/パワーウェイトレシオ:434ps/t/タイヤサイズ:(前)225/35R19(後)285/35R20《ピレリ・P ZERO Corsa(P ZEROも無償オプションで選択可能)》/メーカー希望小売価格:25,560,000円[日本国内価格・消費税込み]
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