魅惑の存在感、きらめくフレンチSUVの実力を試す|DS3クロスバック試乗(3/4)
- 筆者: 内田 俊一
- カメラマン:MOTA編集部
いよいよ試乗、しなやかな座り心地と足回り
解説が長くなったが、DS3クロスバックの魅力の一端を感じて頂けただろうか。簡単にいってしまうと、かなりデザインコンシャスでありながら、安全運転支援機能や排ガス規制等にまで目を配ったクルマだということだ。
さて、前述のプロキシミティスマートキーをもってDS3クロスバックに近づいていくと、軽くカシャンという音と共にロックが解除され、ドアハンドルがせり出してくる。そのドアハンドルはきれいにメッキされており、安物感は一切感じない。これは全てのスイッチ類やこまごまとした作りに至るまで共通で、このセグメントとしては珍しいくらいのこだわりといえる。
最高級グレードのレザーシートは好ましい座り心地
ゆっくりとドアを閉めてシートを合わせる。電動パワーシートではないのは残念だが、非常に掛け心地が良く、ふんわりとしている印象だ。言い忘れたが、今回メインで試乗したのは最高級グレードの”グランシック(Grand Chic)”。内装のインスピレーションは”バスチーユ”で、レザーシートが備わる。
短時間ではあるが”ビーシック(Be Chic)”にも乗ることができたのだが、こちらのファブリックシートよりもお尻から腰回りの包み方などは好ましく感じた。フランス車のシートは押しなべてファブリックのほうがふんわりとしなやかでありながら、しっかりと腰回りをサポートする傾向になるのだが、どうやらDS3クロスバックはレザーの方がよさそうだ。
しっかりとしたサスペンションと足回り
DS3クロスバック グランシックに乗り込んで、まず駐車場から急なスロープをゆっくりと降りた。歩道の段差を超えて一般道へ滑り出した時、まずしっかりとサスペンションがストロークして沈み込む様子が伝わってきた。18インチのタイヤは少し重く感じるものの、このしなやかさはまるで柳腰のようにすっとボディへのショックを吸収してくれる。
こういった仕上がりが出来たのは、ボディがしっかりと作られているからだ。ボディ剛性が高いと、足回りをしなやかに自由に動かせるようになるのだ。路面からのショックをボディ剛性が高いことでしっかりと受け止められるようになり、また、ボディのゆがみも少なくなる。その結果、サスペンションの取り付け剛性も高められ、その分サスペンションを設計通りに自由に動かすことが出来るようになるので、乗り心地を犠牲にすることなく、クルマの性格に合ったハンドリングも設定できるようになるのだ。
そういった点でDS3クロスバックは上手く仕上げられている。ただ、若干ステアリングの取り付け剛性だけは低いようで、段差を乗り越えた時にそのショックによりステアリングがぶれる印象があった。いずれ長距離を走る機会があるだろうから、その時に関係する直進安定性の評価をしてみたい。
インテリアは改善の余地あり
さて、インテリアのセンタークラスターに配された、ダイヤの形をしたタッチパネルはそのスイッチをタッチしたかどうか反応がないのでわからないのだが、スイッチそのものは大きいので、それほどミスタッチはなさそうだ。ただし、ハザードランプのスイッチは他のスイッチ類の中に並べられて配されているので、とっさの時に押しにくい。ぜひこれは独立した場所においてほしい。また、メーター表示ももう少し大きい方が良いだろう。
もう一つ気になったのは、ドア内張りに取り付けられたアシストグリップの位置だ。現在はかなり高いところに置かれており、ついついドアポケットの端をつかんでドアを閉めてしまうことがあった。出来ることならより低い場所が望ましいだろう。
そういったポイント以外は、基本的にインテリアは好ましくその質感は高い。Cセグ以上といっても過言ではなく、落ち着いた印象もあるので、とても好ましく感じた。
>>高速と一般道で走りを確認[次ページへ続く]
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