ボルボ 2013年モデル オールラインナップ試乗レポート Vol.1 「ボルボ XC60・XC90」編/今井優杏(2/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:オートックワン編集部
6気筒と4気筒、2つのターボエンジンの違いを乗り比べてみる
まずは、搭載されたエンジンの違う2台の「ボルボ XC60」を比較してみたい。
XC60は、ボルボ初のコンパクトSUVモデルだ。
全世界的にこのような“ちょっと気軽なサイズのSUV”は大流行していて、競合も「アウディ Q5」、「BMW X3」、「フォルクスワーゲン ティグアン」など、枚挙に暇がない。XC60も2008年の発売以来大きな成功を収めており、2009年にはボルボ内でのベストセラーモデルとなっている。
そりゃそうだよね、このくらいのサイズ感って走行時はもちろん駐車の取り回しもイイし荷物も人も積めるし、誰もにとって一番「痒いところに手が届く」存在だよね、と乗り込んでみる。
どっしりと地を掴むような重厚感「XC60 T6 AWD」
まずはXC60 T6 AWDから。
こちらにはターボ付き直6の3リッターエンジンが搭載される。組み合わされるトランスミッションは6ATで、駆動はプレチャージ式電子制御AWDだ。このAWDはフルタイム四駆ではなく、グリップ時はFF走行だが前・後輪の回転差を感知するとリアにも駆動配分をするというもの。燃費面で不安があるAWDだから、このような緊急時のみアシストしてくれるようなシステムは有難い。
3リッターエンジンは最高出力304psと猛々しい。ツインスクロールターボも近年珍しいほどに低い回転域から効き始めるので、踏み込めば背中をドンと蹴られたような加速を楽しむことが出来る。
とはいえ、燃費に振ったモデルが幅をきかせる昨今、このスペックは決して魅力的なものとは言えないかもしれない。19インチという競合に比べても巨大なサイズのタイヤを装着しているのもメンテナンス面で気にかかるし(同等グレードのX3は17インチ、Q5は18インチを選択している)。
ステアフィールはとにかく重厚で、重厚と言えば聞こえはいいが、正直オンナの細腕には持ち余りのする重量感がある。右へ左へ切り返すことの多い山道では、少し疲労すら感じる程であった。よりこれまでのボルボらしい運転感とも言える。ティピカルなボルボらしさを求める人には良いと思う。どっしりと地を掴むようなドライブを楽しめるのは確かだ。
すげえな、スカンジナビアンデザイン!「XC60 T5 R-DESIGN」
対して、この8月に追加されたXC60 T5 R-DESIGNである。
R-DESIGNはスポーツパーツや専用内装品を特装した上級グレード車で、スポーツサスペンションや本革シート、20インチのアルミホイールなどを装着する。
そもそも、ターボチャージャー付き2リッター直4 直噴エンジンを搭載し、湿式のデュアルクラッチを備えたFFのT5は、素の運動性能がとても高く、ハンドリングも非常に軽快だ。まさに新しい時代の若々しいボルボを象徴している。
車重も先述の T6 AWDが1,930kgのところT5 R-DESIGNは1,790kgと200kgも抑えられた。そのため2リッターでももうトキメいちゃうくらいしっかり走り、当然鼻先も軽く、ひらりひらりとコーナーの先を目指してくれる感じには好感が持てる。
そこにR-DESIGNが組み合わされるのだから、仕上がりの満足度には最初から期待が持てるというものだ。
なにより見た目がめっちゃカッコいい!
専用スポーツサスペンションもガッツリ硬めというより最初は硬めで奥に遊びがある減衰になっているので乗り心地も上々。
ハンドリングとエンジンが軽快なため、ボディサイズよりもクルマが小さく感じられてしまうほどの錯覚を覚えてしまうが、それくらい「操縦している感」を楽しめた。
乗り始めにすこしアシが突っ張ったような感覚があったのはボルボの規定空気圧が高めに設定されていることにも由来しているので仕方がない。小さなギャップを越えた際などに、空気をいっぱいに入れたバランスボールの上で跳ねるような感覚があった。もちろんそれは20インチという、まるでチューニングカー並みの大きなタイヤサイズにも起因している。
がしかし、確かに20インチもあれば、見た目はめちゃくちゃカッコイイんである。これも先ほど記したように履き替えやスタッドレス装着などのメンテナンスの面ではちょっと不安だが、「まあかっこいいからイイか…」とナットクさせられそうな迫力だと思う。
北欧の高いデザイン力はインテリアの細部にまで宿っていた
また、内装もしっかりとR-DESIGNに染め上げられている。
しっとりと柔らかい本革レザーシート、同じく本革巻きのステアリングホイール、専用メーターパネル、フロアマットなどなど。
いかにもボルボらしいなと思ったのは、ドイツ車のようにそっけない男臭さではない味付けになっているというところだ。きちんとインテリアとしての完成度が高く、どこかぬくもりのあるようなルーミィな雰囲気に仕立てられている。
居心地のいいリビングのソファさながらの上質なレザーに、ボルボならではのセンターコンソールである「フリーフローティングセンタースタック」がしっかりスパイスとなっていて、オトナの遊び心とはかくや!とその心地よさを享受してしまうのであった。悔しいけどやっぱり「すげえな、スカンジナビアンデザイン」と感心してしまう。
こういうヒネりの効いたデザイン力は、日本人はもとよりドイツメーカーにもひっくり返ったってマネ出来ない。さすがIKEAの国なのだ。インテリアには妥協しないのである。
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