スバル 新型XV 2リッター 試乗レポート|旬なコンパクトSUVジャンルに絶妙なタイミングでやってきた
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:小林岳夫
コンパクトSUVのスバル XVがフルモデルチェンジ
よりスポーティに、よりルーミーに、より快適に。
世界的なトレンドが確実にコンパクトSUVへとシフトするなか、スバル 新型XVは本当にベストなタイミングでフルモデルチェンジの時期を迎えたと思う。そしてスバルはこのチャンスを、ばっちりモノにした。
つまり結論から申し上げてしまえば、今度の新型XVは、かなりナイスなコンパクトSUVに仕上がっているとボクは思う。それは2016年10月に新型インプレッサが登場したときから、ある程度予想ができたことではあった。
秀逸な新型プラットフォーム”SGP”をXVのためにいちから仕上げてきた
満を持して投入されたスバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)の出来映えは秀逸で、これをベースに走りを磨きあげた5代目インプレッサは、瞬く間に”時のクルマ”としてスターダムへと登り詰めたからである。
となればその車高をかさ上げし、SUV風味へとクロスオーバーさせる後発のXVが、悪いわけはないだろう。
だがしかし、スバルはそうしたボクの安易な予想を裏切って、新型XVをきっちりと仕立て上げてきた。具体的にはその開発をインプレッサと同時並行で行い、最低地上高200mmの車高に対して、専用となるサスペンション・ジオメトリーを最初から与えてきた。
つまりXVはもはや、“単なるインプレッサの車高アップ版”ではないのである。
コンパクトSUVとは思えない安定した姿勢でコーナーを曲がる
実際新型XVは、インプレッサ比で70mm高くなった車高をモノともせず、キビキビと走った。
今回試乗したのは「2.0i-L EyeSight」。ロングストロークながら張り感のあるサスペンションと17インチタイヤのエアボリュームが織りなすハーモニーは絶妙で、路面のうねりや突起がもたらす入力をきっちりと受け止める。この剛性感は悪路走破をも睨んだスバル独特のオーバークオリティな乗り味。ロードユースオンリー派にしてみればややダンパーが勝ち気味とも取れるものだが、新型プラットフォームがしっかりしているため、結果的に嫌みの無いすっきりとした乗り心地にまとまっているのがニクい。
そしてコーナーでは、このロール剛性が活きる。ステアリングの切り始めからタイヤのグリップが素早く立ち上がり、切り込むほどにコーナリングGを高めて、XVはコンパクトSUVとは思えない安定した姿勢でコーナーを曲がる。
同じ2リッター同士で比べると車重が90kgほど重たいせいもあるが、その感覚はインプレッサよりも重厚。それがひとつのキャラクターとなって、XVに“いいクルマ感”をもたらしている。
唯一の違和感は、アイサイトのブレーキ制御の若干の粗さ
この軽快感と重厚さを絶妙にブレンドさせた乗り味には、内輪にブレーキをかけてアンダーステアを軽減するアクティブ・トルクベクタリングの効果も大きいのだろう。
しかしそれを大きく意識させずに自然な操作感を与えてくれるのも好印象だった。また同じ17インチタイヤを履きながら、1.6リッターでは気になった電動パワーステアリングの感触も微少舵角領域での落ち着きが増していた。
ちなみにこれだけオンロード性能が高いと、すわ「FWDのお買い得モデルを出せばよいのに」と思うユーザーも多いと思うが、それなりに背の高いコンパクトSUVのボディを支えるうえで、後輪からのトラクションを得られる4WDの恩恵はかなり大きい。
唯一違和感を覚えたのは、最新のアイサイトVer.3によるブレーキ制御に、やや粗さを感じたこと。上手なドライバーが踏力をスーッと抜くように減速してくれるその制御も、70mm上がった車高にはちょっとだけキャリブレーションが取れていないように感じる場面があった。
1.6リッターより2リッターエンジンの方が静粛性が高い
2リッターの水平対向4気筒はその最高出力が154ps/6000rpmと、決してパワフルなエンジンではない。かつ現代のユニットとしては、4000回転と結構な高回転で196Nmの最大トルクを絞り出す。
ただその回り方はかなり静かでCVTとの連携もそつないため、常用域でこれをノイジーと感じることはない。そしていざアクセルを踏み込んでも、伸びやかにトップエンドまで回ってパワーを稼ぎ出してくれた。
ちなみに1.6リッターの115ps/148Nmというパワー&トルクは1410kgのボディにやや非力で、結果的に高回転を多用するためにCVTの駆動音が盛大に耳に付いた。だからXVの場合はインプレッサとは違って、買えるものなら2リッターを選ぶ方がよいと感じた。
より高性能なエンジンを搭載した上級モデルがラインナップされたら…
ただここまでシャシー性能がよいと「もしこのXVに個性的なエンジンが搭載されていたらなぁ…」とも思う。本音を言えばこの2リッターの上にターボモデルを追加して欲しいところだが、何にせよもう少しだけエンジンに色気やパンチが欲しい。
そういう意味では走りのエディションとして、多少の燃費性能を度返ししてもBRZのようにファイナルギアを加速重視とした仕様があってもよいかもしれない。
そうしたイメージリーダーとなるハイエンド仕様を置くことは、ひいてはボリュームゾーンのモデルを沢山売ることにもつながるはずだ。たとえるならそれは、アウディで言うところの「S」や「RS」といったモデルである。
ともあれXVは、価格、性能、ルックスの良さと、どれをとってもインプレッサ以上にスバルの看板を背負える一台に成長したとボクは思う。トヨタ C-HRの人気に代表されるコンパクトSUVブームに乗っかるなら、XVを選ぶのは賢くて手堅い選択である。
[レポート:山田弘樹/Photo:小林岳夫]
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。