スバル XV ハイブリッド 新型車解説(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
ベースモデルからの燃費向上率は27%。それでもHVとしての燃費性能は説得力がイマイチと感じるが…
水平対向エンジンを搭載した後輪駆動のスポーツカー、スバル「BRZ」とトヨタ「86」の登場は、両社の業務提携が商品開発まで踏み込んだことを印象付けた。
そしてついに、スバル「XV」にもハイブリッドが登場。“トヨタ「プリウス」のハイブリッドをXVに積むのか!?”などとアレコレ考えていたら、「XVハイブリッド」のメカニズムは、トヨタのTHSIIとはまったく違っていた。
メカニズムの内容は、従来型に当てはめればホンダのコンパクトカーに積まれるハイブリッドに近い。リニアトロニックと呼ばれるCVT(無段変速AT)に、コンパクトなモーターを組み込んだ。
モーターの最高出力は10kW(13.6馬力)で、ホンダ「フィット」や「フリード」のハイブリッドに幅広く使われるタイプと同程度。トヨタ「アクア」が用いる45kW(61馬力)と比べればかなり小さい。
1個のモーターが駆動と減速時を中心とした発電の両方を担当するから、トヨタのハイブリッドのように、モーター駆動と発電を同時には行えない。ハイブリッドのメカニズムとしてはシンプルだ。
専用の電池はボディの後部に搭載するが、充放電の効率が高いリチウムイオンではなく、フィットやアクアと同様のニッケル水素を使う。これもオーソドックスといえる。
重視されたのは、スバル車としての“走行性能”と“楽しい運転感覚”
組み合わせられるエンジンは水平対向4気筒の2リッター。これもハイブリッド車のエンジンとしては不思議だ。XVのベースになる「インプレッサ」には1.6リッターも用意され、単純に考えて、燃費性能を向上させるなら排気量は小さい方が有利になる。
駆動方式はXVと同様に4WD(スバルはAWDと呼ぶ)。これまた燃費性能を突き詰めると疑問に思える。スバルの4WDは常に4輪を駆動しており、主力となる駆動輪が空転した時だけ、もう一方に駆動力を伝える方式ではない。4WDになれば走行時の抵抗は増えるから、2WD(前輪駆動)の方が良いのではないか。
以上のように、1.6リッターエンジンに強力なモーターを組み合わせ、リチウムイオン電池で効率を高め、2WDにして軽量化と抵抗の軽減を図る、といった誰でも考えそうなことは一切やっていない。
なので肝心のJC08モード燃費は20km/L。ベースとなった2リッターのXVは15.8km/Lだから、ハイブリッドの燃費向上率は27%になる。フィットの向上率とほぼ同じだが、1.6リッターエンジンを積んだインプレッサスポーツの2WDは17.6km/L。インプレッサシリーズ全体で見ると、ハイブリッドとしての燃費性能は説得力がイマイチと感じる。
“なぜだ!? 燃費性能を追求しない理由は何だ!?”開発者に尋ねた。
「XVハイブリッドでは、燃費性能だけでなく、スバル車としての運転の楽しさを重視しました。となればシンメトリカルAWDは不可欠です。エンジンを1.6リッターにすれば燃費性能では有利ですが、車両重量は相応に重く、走行性能を低下させてしまう。そこで2リッターを選びました。ニッケル水素電池にしたのは、信頼性が高く、価格の上昇も抑えられるからです」と言う。
つまりXVハイブリッドを開発する上で重視されたのは、XVを始めとするスバル車の“走行性能”と“楽しい運転感覚”だった。その上でモーター駆動を用いることにより、適度にエンジンの駆動力を支援して、燃費性能と動力性能を高めるのがねらいだ。いかにもスバルらしい考え方だと思う。
そこでプロトタイプ(試作車)を試乗すると、開発者がコメントした意味が理解できた。
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