ミニバン専用スタッドレスタイヤ“ウィンタートランパス”がモデルチェンジ! 冬の北海道でひと足お先に試してみた

冬の北海道、凍った路面はこんなに違う!

今年もまた冬がやって来ますよっ! さてさて、この冬はどんな過ごし方をしようかな…。と、考えた先に思い浮かぶのは気象状況。この夏、そして昨年の冬の局地的かつ突発的な降雪など、近年は節季も地域も問わず油断ができない。

となれば、クルマの冬支度も決して過信できない。どんなに性能に優れたクルマに乗っていても、最終的に路面とコンタクトをとってくれるタイヤの存在をないがしろにはしたくないのではないかしら。つまりこれからやって来る冬に備え、スタッドレスタイヤの装着が冬道ドライブの危険リスクを下げるばかりか、乗る人すべてにとって安全で安心=(不安が減って)疲れにくい移動を可能にしてくれるのは間違いないのだから。

ところで日本では相変わらずミニバンの支持率が高いうえに、この数年でSUVもすっかりポピュラーになり、ニューモデルの登場にも目が離せない。2016年度の自動車登録台数トップ30のうち、半数がSUVやミニバンなどハイト系(背の高いモデル)だったそうだ。そう、いずれの人気モデルたちにも共通する背の高いハイト系モデルは、室内空間の広さやパッケージングに優れる点が魅力だけれど、コーナリングや車線変更、横風に対してフラつきやすい傾向があり、偏摩耗もしやすい。そんなハイト系モデルたちに向け専用開発されたのが、ミニバンやSUV向けの専用タイヤだ。

その“ミニバン専用”ジャンルではパイオニアと言えるのがトーヨータイヤ。ミニバン専用として広く知られるトランパスシリーズがある。そんなトーヨータイヤから今年、新開発・発表された冬用スタッドレスタイヤの新製品が“Winter TRANPATH(ウィンタートランパス) TX”。

これはこれまでの“ウィンタートランパスMK4α”に代わるニューモデルであり、さらにSUV/ミニバン専用タイヤということで、ハイト系モデル全般の冬の足元を支える最新スタッドレスタイヤという位置づけとなる。

それはこれまでに培われてきた冬タイヤの技術、さらに夏のミニバン専用タイヤである“トランパスMPZ”や、乗用車用冬タイヤのなかでもアイス性能を飛躍的に高めた“オブザーブ・ガリットGIZ”などにも採用される最先端技術がここに集結されているようだ。

コンセプトは、“しっかり支え、しっかり走り、しっかり効く!”

ひと足早く、5ナンバーサイズのミニバンで、北海道・佐呂間(サロマ)町にあるテストコースに加え、旭川からこの佐呂間に向かう一般道の試乗もさせていただいた。

すると、ウィンタートランパスTXのアイス路面での性能の向上ぶりが第一印象として残る。

まず制動性能の向上(フィーリングも効き具合も)が嬉しかったし、発進の確かさ(手応えならぬ足応え)の頼もしさに進化ぶりがよくわかる。早朝の旭川の街中はとくに交差点付近の凸凹凍結が激しかったものの、吸い付くような密着ぶりに、凸凹に対する順応ぶりとしてうかがえた。

タイヤの縦方向の性能は申し分なし。その上、峠道の雪、ウエット、舗装路のミックスされたワインディング路でも足元をしっかりと支えている。高速道路の直進安定性も、車線変更時のフラつきもタイヤのよれるような感覚がなく、むしろしなやかに、そして静かな移動ができた。ハンドルを握っている手元に伝わるしっかり感のなかに滑らかさが混ざる手応えは、安心なだけでなく快適だった。確認はしていないものの、ドライブフィールの質感すら上がっているのではないかと、正直思えたほどだ。

そんな『トランパスTX』のコンセプトは、“しっかり支え、しっかり走り、しっかり効く!”。

多くのドライバーにとって、冬タイヤに求める最も欲しい性能であるアイスの制動性能が、MK4α比で12%短縮。しっかり支え、走るという点においては例えばコーナーリング性能も8%向上しているという。加えてしっかり長持ち、でもある。耐摩耗性能はもちろん、偏摩耗のしやすいハイト系モデルでもタイヤが路面に対して均一に接地することで性能は向上。その上、設計からのアプローチのほかタイヤそのものの軽量化も進み、転がり抵抗も減り、燃費性能も上がっているそうだ。

採用される技術は何かひとつが特別に優れているというのではなく、優れた技術の総合力の賜であることがわかる。

アイス路面性能を支えてくれる数々の独自技術

トーヨータイヤのスタッドレスタイヤの特長といえば、氷とタイヤの摩擦によって発生するミクロの水膜を“吸水”し、氷面に“密着”、そして“引っ掻く”。

新しいウィンタートランパスTXでは、左右非対称パターンの左右の役割をよりパターンと配合で強化。イン側はアイス性能、アウト側はアイス/ドライに効く。ゴム(配合)はガリットシリーズにも採用されている“NEO吸着ナノゲルゴム”を採用し、イン側はスーパーソフト、アウトはソフトコンパウンドを採用。

パターンではまずアイスの制動性能を高める“3Dダブルウェーブグリップサイプ”が新しい。路面と設置した際にサイプ上方がしなやかに動きと下方の隣り合う左右のサイプに凹凸部を設け、支え合うことでサイプと倒れ込みを抑制、絶妙な剛性調整を行っている。

新技術をもう一つ挙げるなら“アーマーサイプ”かしら。アウト側のブロックに刻まれるサイプが“斜め”なのだ。これは氷路のコーナリングでもしっかり路面を捉えるべく、解析技術で得られた適切な角度が刻まれている。開発者の方が「鎧のようなものです」とおっしゃったのが印象に残る。ちなみに、アウト側のブロックはイン側に対し、かなり大きい。このブロックそのものがフラツキを抑え、コーナーでも踏ん張る性能を持っているようだ。

コーナリングやコーナーでもしっかり走るためには、タイヤのボディ剛性そのものの重要だ。大きな特徴は夏のトランパスMPZにも採用されている、サイドのプライコードの巻き上げをさらに高くした“スーパーハイターンアップ”で剛性アップ。実はちょっと専門的な余談を盛り込ませていただくと、TXはMK4αで採用していた2プライ構造から1プライに変更。サイドの剛性を上げ、トレッド部は1プライでしなやかに、トレッドパターンをより効果的に動かし性能を出す設計がされているという。またチューニング(設計)によって、クルマのリヤの荷重領域=しっかり感も上がっている。そこで舗装路の街中から高速までハイト系モデルの安定した走りを支えている。このあたりも夏タイヤのトランパスMPZの思想が活かされているのだろう。

専用スタッドレスタイヤでこの冬を安全で快適に、しっかり、ちゃっかり楽しもう♪

ところで、耐摩耗性能も上がっているという点では、接地面が路面に均一に接地することで耐摩耗性も良くなる。またハイト系のクルマはイン側の偏摩耗が原因でタイヤ交換をすることも少なくない。TXのイン側にはスーパーソフトコンパウンドを採用しており、「大丈夫なのか?」と思ったのは私だけではないハズ?

前述したように、ボディ剛性バランスを適切に保つ設計が採用され、背の高いモデルならではの荷重変動の大きさは計算ずく。トレッドパターンが上手に減ることで、キレイに使うこともできるそうだ。

高剛性のボディをつくっておいて、吸着性の良いゴムを用い、表面のトレッドパターンやサイプを効果的にしなやかな動きができるように工夫されている。もちろんサイプを含む表面のトレッドパターンがグニグニ動かないようなテクノロジーがさらに、新たに、開発され採用されているからこそ、冬のアイス路面のみならず、乾燥路でのしっかり感や加減速、ハンドリングのコントロール性も十分得られるのだ。

耳にタコ、釈迦に説法、かもしれないが、「備えあれば患いなし」。この冬、ウィンタードライブを“しっかり走り、支え、効く”専用タイヤで、安全で快適に、しっかり、ちゃっかり楽しもう!?

[レポート:飯田裕子/Photo:TOYO TIRES]

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飯田 裕子
筆者飯田 裕子

OL時代に始めたレース活動をきっかけに、クルマへの興味/関心を深め、フリーの自動車ジャーナリストに転身。自動車雑誌への執筆や自動車系TV番組出演などから、活動の場を広げ、現在では女性誌および一般誌、新聞、Web、ラジオ番組でのパーソナリティ、TV、トークショーと活躍の場は幅広い。ドライビングインストラクターとしてのキャリアも長く、自動車メーカーをはじめ、一般企業、保険会社、警視庁などが主催するスクールでの指導にも定評あり。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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