GM 「ヤトロファをバイオディーゼルに」プロジェクトをインドで展開
GMは、地球に優しいバイオエネルギー作物としてのヤトロファの可能性を発展させるべく、米エネルギー省と5年間のパートナーシップを締結したことを発表した。
ヤトロファはこれまで雑草とみなされていたが、ヤトロファが生成する油はバイオディーゼルに精製することができる。
同プロジェクトの目的は、ヤトロファがバイオディーゼルに変換できる大量の油を生成することを実証することと、収穫量が多く、霜に強く、北米のような温暖な気候で育つ新たな品種を多数開発することである。干ばつに強く、食用でないヤトロファは、耕作限界地においても最低限の手間をかけるだけで商用栽培することが可能となっている。
米エネルギー省長官のスティーヴン・チュウは、「バイオディーゼルを生産するための新資源を発見することは、米エネルギー省の開発研究において重要な部分を占める。この開発チームが持つ専門知識は、バイオ燃料作物としてのヤトロファの開発スピードを加速させてくれるだろう」と述べている。
2つのヤトロファ農場がインドに建設される予定である。Bhavngarにある16ヘクタールの土地(39.5エーカー)および、GMのインド自動車製造工場に近いKalolにある38ヘクタール(93.9エーカー)の土地に建設される。既にBhavngarにある30ヘクタール(74.1エーカー)のヤトロファ農場も、同プロジェクトの管理下に置かれる。
これらの農場では、選抜育種法およびマーカー利用選抜法によって、実験用に最適化されたヤトロファの品種が育てられる。米エネルギー省とGMの共同資金により、インドを拠点とする研究施設である塩・海洋化学中央研究所(Central Salt & Marine Chemicals Research Institute: CSMCRI)が、上記の84ヘクタール(840,000平方メートル)の農場全てを運営することができる。同施設はインド政府インド科学技術省の科学・工業研究評議会に属する施設である。環境的な影響を調査するために、肥料を原料から生産するところからヤトロファの実の収穫に至るまで、完全なライフサイクル分析が行われる。
GMの環境・エネルギー・安全方針担当のマイク・ロビンソン副社長は、「長期的に見て、もしヤトロファが商用的に持続可能になれば、石油への依存度や温室ガスの排出量が低下し、経済的成長が促進される。また、バイオディーゼルを燃料とする商品におけるGMのインド拡大計画も促進されるほか、GMインディアが、化石燃料への依存度を軽減すべく、地球に優しいテクノロジーや代替燃料ソリューションに真剣に取り組んでいる姿勢を改めて表明することにもなる」と述べている。
GMは次世代エタノールの新興企業であるCoskata Inc.およびMascoma Corp.に投資している。Coskataは最近、GMのホールデン事業部と連携して、オーストラリアでのバイオエタノール工場の建設を研究する共同事業体に参加する計画を発表した。米エネルギー省およびGMは、セルロース・エタノール以外に、化石ディーゼル燃料に代わり得るバイオディーゼル代替燃料を供給する必要性を認識している。インドやヨーロッパなどの国際輸送燃料市場の大半がディーゼルに頼っており、セルロース・エタノール技術の恩恵を享受することができない。これらの市場にとって、ヤトロファを原料とするバイオディーゼルは代替燃料として高い潜在能力を秘めている。特に、石油を輸入に頼っているために国家のセキュリティー問題に対する懸念が増している地域にとってはなおさらである。
インドに加え、中国やフィリピン、アフリカ諸国、アメリカ合衆国などの国々も、風化した農地や耕作限界地でのヤトロファの栽培およびヤトロファ油の抽出に関する研究プログラムに取り組んでいる。