スバル レガシィツーリングワゴン GT30 試乗レポート
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:小宮岩男
待望の3L水平対向6気筒エンジン搭載モデルがついに登場。
レガシィに追加設定をされた『GT30』は、要は「ツーリングワゴンのボディに最新設計の「3L 6気筒エンジン」を搭載したモデル。EZ30型と呼ばれるこの水平対向の6気筒エンジンは、すでに昨年春に『ランカスター6』に搭載をされてデビューを飾ったユニットだ。
小型化を意識してボア径や補機駆動ベルトのレイアウトなどが決定されたこのエンジンの全長は、従来のEJ系4気筒ユニットに対してわずかに20mmのアップ。軽量化やフリクションロスの低減にも最大限の努力が払われるなど、最新世代エンジンらしい設計が随所に施されていることが特徴となっている。
一方でエクステリアやインテリアのデザインには、4気筒モデルからのことさらに大きな違いは見られない。横桟基調を強めたフロントグリルやホワイト仕様のサイド・ターンシグナルレンズ、新カラーのアルミホイールなどが『GT30』の“専用装備”。ひと目でわかる表示は、テールランプの左側の『6』エンブレムの装飾だけだ。
いかにも“プレミアム・ワゴン”らしく、高質な走りを味わわせてくれる
6気筒エンジンならではのメリットは、まずその静粛性面で実感できる。特にアイドリング時の印象は「ほとんど無音」。アクセルペダルを軽く踏み込むと低音ビートの効いた例の“ボクサー・サウンド”が耳に入ってくるが、そのボリュームは4気筒モデルよりも抑えられなかなかに好印象だ。
スタートの瞬間のトルク感は、正直なところ「決して細くはないが特筆すべき太さでもないナ」といった感じ。将来的に可変バルブタイミング・システムが取り入れられ、5速ATとの組み合わせが実現できれば、このあたりはさらに大きく向上する可能性“大”だ。特に“プレミアム・ワゴン”としてはイメージ上でも ATの5速化は早急に望みたい。実際には大きな不満はないが、プラス1速によりギア間のステップ比が縮まれば、より息の長い連続感に富んだ加速フィールが実現できるはずだ。
ビルシュタイン製ダンパーを奢られたフットワークは、操安性能面でも乗り心地面でも4気筒モデルの良さを受け継いでいる。ステアリング操作に対するノーズの動きの応答性は4気筒モデルと全く変わらない感触。走り出しの瞬間からのフラットな乗り味も健在だ。
4気筒モデルとの内外装の差別化は、あくまでもさり気ない。
最新デザインによって生み出された6気筒エンジンを搭載したレガシィには、そうした“特別な心臓”を積むことに伴う特別なデザイン、あるいはパッケージングというのは今回与えられなかった。前述のようにエンジンそのものがコンパクト設計ゆえ、そもそもは4気筒ユニット用に設計されたエンジンルームにも新しい6気筒ユニットは無理なく収まっている。
ボディそのものの寸法に一切手をつけていないために、当然居住空間にも変化は現れていない。すなわち、『レガシィ6』の居住性は、従来の4気筒モデルと何ら変わるところはないということになる。装備品に関しても、特に目立った“特別装備”は与えられていない。敢えて挙げればステアリング・ホイールのセンターリング部やATセレクターノブの一部にチタン調のクローム処理が施された程度。あくまでもさり気なく―それが『GT30』の生き方であるようだ。
水平対向6気筒は、走りの特徴を大きくステップアップするとともに、発展の可能性も秘めている。
世界にも稀な水平対向エンジンやフルタイム4WDシステムなどを技術的基盤にしつつ、常に走りのクオリティに磨きをかけることに尽力を費やしてきたのがこれまでの3代のレガシィ。新たに開発された水平対向6気筒エンジンは、そうしたレガシィならではの走りの特徴を大きくステップアップさせると共に、“独自の記号性”という点でもライバルたちに大きく差をつけられる可能性を秘めたアイテムだと言ってよさそうだ。
と同時に、初代レガシィ以来長年に渡って使われ続けてきた現在のEJ系4気筒エンジンが、いよいよ新世代ユニットにとって変われる次期が近づいたことを示唆するものとしても大いに注目が出来る。「6気筒で3L」ということは、そのまま2気筒を削れば「4気筒で2L」という計算。すなわち、現状よりも遥かに軽量コンパクトな4気筒ユニットが簡単に誕生することが予想出来る。EZ型6気筒エンジンは、今後にさまざまな発展の可能性を秘めたスバル待望の新ユニットでもあるのだ。
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