中国の若者に“ジープ”が絶大な人気を得ている意外な理由【上海ショー2017】
- 筆者: 加藤 久美子
- カメラマン:Hiroto.Kato・FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES
ジープの親会社であるFCAが中国に進出したのは僅か3年前
上海モーターショー2017で、ジープの次世代コンセプトカー“Yuntu”が披露された。
Yuntuとは『雲図帳(うんずちょう)』という意味で、ジープブランドらしく知的でワイルドなイメージを与える言葉が車名として選ばれた。
このYuntuコンセプトは、ジープブランドの中で最新の3列シート7人乗りのPHEVであるが、中国専売車種でありながらプレスカンファレンスではあふれんばかりの各国からのジャーナリストがその発表を待ちかまえ、世界中にニュースが発信され、いま多くの人々の注目を集めている。
しかし、実はまだ中国におけるジープのクルマの歴史は始まったばかり。親会社であるFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)が広州汽車との中国合弁会社となる“GAC FCA”を設立したのは僅か3年前の2014年。その翌年の2015年からジープ・チェロキーが、2016年からジープ・レネゲードの現地生産を始めたばかりだ。
だが、すでに中国でのジープ人気は定着していると言って良い。その理由は、意外なところにあった。
中国でのジープ人気がすでに“定着”しているその理由
実は、中国におけるジープブランドはクルマ以前に“ティンバーランド”や“ロンドンフォグ”といったアパレルブランドとして若者を中心に絶大な支持を得てきた背景がある。
中国全土ではライセンスを得たジープの衣料販売店が実に二千店舗近くもあり、「冒険心に富んだリッチなライフスタイル」をイメージさせるブランドとしてすでに人気は定着していたというわけだ。
そこへ、本来のジープブランドである車両の現地生産が始まり、折からのSUVブームの波にも乗って瞬く間にクルマも高い人気を獲得。実際、今回の上海モーターショーにおけるジープブースも非常に活気があった。
何より驚いたのは、他のSUVブランドのブースでは見かけなかった、白人の高身長イケメン男性モデルが爽やかな笑顔とともに、お掃除係&コンパニオン的な役割を演じていたこと。
なるほど!ジープらしい演出である。これは、注目を浴びないわけにはいかないだろう。
中国の途方もない数のジープファンが発売を待ち望んでいる
さて、肝心のYuntuコンセプトの話に戻ろう。
そのスタイルや内装は確かに未来的ではあるが、市販車とかけ離れたイメージではなく、ジープコンパスやチェロキーなど最新の市販モデルに通じるシャープな顔つき、インテリジェンスで高級感も十分。LEDヘッドライトは特に際立って美しく輝いており、大きなバンパーは悪路走破性の高さもアピールしている。
室内は絵に描いたような近未来仕様で、白木の木目を多用した明るいインテリアが特徴的。後席には2枚のスクリーンが配置され、専用の情報エンターテイメント・システムが充実している。
中国では今、7人乗り3列シートのSUVが絶大な人気を誇っており、さらに中国政府の新エネルギー政策によってPHEVがガソリンやハイブリッド車を超えて主流となる日も近い。
ジープコンセプトはSUVに必須な条件をスマートにクリアしつつ、若者たちに支持されるオシャレで高級なジープブランドのイメージも安定している。数百万か数千万人か、途方もない数のジープファンが市販を待ち望んでいるはずだ。
>>発売されれば中国で“爆売れ”の可能性も、ジープ Yuntuコンセプト 画像ギャラリー
[TEXT:加藤久美子/PHOTO:Hiroto.kato・FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES]
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