運転の責任がついにクルマへ、アウディが新型A8で世界初のレベル3自動運転量産化
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史/アウディAG
ジャーマン3の中で一歩先を行く
9月じゃ遅いから、7月に出した!?
スペインの現地時間7月11日、バルセロナで開催されたアウディの独自イベント”アウディサミット”で、最高級セダンの新型A8がワールドプレミア。その最大のウリは、世界初となるレベル3の自動運転技術だ。
レベル3とは、運転の主体が運転者ではなく、車載のシステムが担うという考え方であり、日産のプロパイロットやテスラのオートパイロットなど、運転者が主体である自動運転技術とは大きく異なる。レベル3になると、運転中にメールや読書など、運転以外の行為である”セカンドタスク”が容認させることが、自動運転の国際協議の場である国連・自動車基準調和世界フォーラム(WP29)で議論されている。
そのWP29の協議では、2018年以降に自動ステアリングによる車線変更を伴う自動運転を可能とすることが決まっており、欧米や日本でレベル2の半自動運転車が続々登場する予定だ。それに対して、アウディはさらに一歩進んだレベル3での走行可能な機器を搭載したA8を2017年中に販売し、レベル3対応の法整備が終わった国から順に、レベル3の機能の使用を可能とする戦略に出たのだ。
こうしたレベル3自動運転技術の量産は、競合ドイツメーカーのダイムラーやBMWも早期の投入を見込んでおり、それに関連する発表は9月後半のフランクフルトモーターショーで行われる可能性が高い。そうしたライバルたちの一歩先に、アウディが”世界初”という冠をA8に与えたのだ。
米 自動運転シンポジウムでも異変!?
新型A8発表の翌日、アメリカ西海岸のサンフランシスコでは、米運輸省関連の団体が主催する自動運転シンポジウムが開幕した。
今年で6回目となるが、基本プログラムの中では、アウディやGMなど欧米自動車メーカーの発表がまったくない。これは欧米自動車メーカーにとって、プレミアムカーを中心とした自動運転の量産化が本格化するため、こうした業界関係者との協議の場で自社の技術を公開する必要性がなくなったということだ。
そういえば、アウディは今年1月にラスベガスで開催された世界最大級のITと家電の見本市であるCES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)でも未出展だった。アウディはこの数年、半導体大手のエヌビディアと連携し、CESで自動運転に関する様々な発表を行うことで世界の注目を浴びてきたが、2017年からのレベル3自動運転技術の量産化決定に伴い、CESに見切りをつけていた。
一方、トヨタ/日産/ホンダの日系ビック3はCESで揃い踏み。また、今回の自動運転シンポジウムではトヨタが基調講演し、それに続いて日産も講演。また、ホンダはトヨタと共に大会スポンサーに名を連ねた。その他の日系メーカーもシンポジウムに参加していたが「例年に比べて、明らかに落ち着いた」という印象を持ったという。
グーグルから始まった自動運転バブルは終焉!?
グーグルの自動運転車が話題となり始めた2013年頃から、世界中で自動運転ブームが巻き起こった。今後、自動運転の精度を上げるためには、高精度三次元地図や次世代型の衛星測位システムの採用、そしてレーザーレーダーの小型化/廉価化など、技術的なハードルは様々ある。
運転の責任を車載システムが行うというレベル3自動運転技術の量産化が、自動車産業を牽引するジャーマン3の一角によって決まったいま、日系メーカーを含めた自動車業界全体として、自動運転について、やっと冷静な目で見ることできるようになった。
総じて、自動車メーカーが中心となる自動運転バブルは終わったといえる。自動運転技術の戦いは、半導体や通信事業などの領域における事実上の標準化であるデファクトスタンダードの争いに移った。
【関連記事:自動運転に向け3次元地図で日独連携で世界標準化目指す】
[Text:桃田健史]
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